ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

低学年と中学受験

中学受験が特別な家庭のものではなくなって来て、また不況の影響で改めて学歴に注目が集まり関心が高まっています。低学年のお子さんをお持ちのご家庭の方からも、中学入試についてよく質問を受けるようになりました。今までも低学年からの中学受験準備について次のような記事を書いてきました。

その中では、低学年では先取り学習よりも、家庭学習の習慣作りが大切だということ、将来の学習につながる様々な知識のインプットが重要だということを説いてきました。最近脳の認知科学や学習科学の理論を知って、その方針が間違っていないとの感を強めました。今回はその点について書いてみます。

■脳をいかに使うかが重要

人類は脳を大きく発達させて誕生しました。ですから本能では「苦い食べ物=毒」としてさける物も、美味しいと感じて食べることができます。私たちの五感はそのままストレートに処理されるのではなく、いったん脳で経験と照らし合わされて処理されています。

したがって人が最大限に能力を発揮するためには、脳のネットワークをどれだけ広く使うかということが重要です。勉強も同じです。入試問題は中学受験に限らず過去問の集積があります。それを分類して解き方のパターンを見いだして生徒に教えていくのが塾のやり方ですが、それで十分でしょうか。解き方のパターンを学ぶ前に、自分で考え試行錯誤の経験を積んでおかないと、パターンをはずれた問題に歯が立たなくなるおそれがあります。

もちろんこの方法は間違いではありません。問題の8割は過去に出題されている問題の類似問題とならざるを得ないからです。本格的に受験体制に入ったら、こうした学習をしなくてはなりません。では、いち早く低学年からパターン学習に取り組んだら、受験生になってから楽ができるのでしょうか。

■低学年の児童の脳は未完成

人の脳は10歳前後で成人の9割程度の発達となり、論理的な思考などがこの頃からできるようになります。大人のような物言いをし始めるのもこの年頃です。一方で低学年の児童の脳は未熟なもの。しかし幼稚園や保育園の頃は勉強面で大きな期待をしていなかったのが、小学校へ入学すると同時に成績が気になり始めます。

それは大人の身勝手であり、子どもはまだ子どもの世界の住人なのです。低学年の子どもには大人に物を教えるような指導は通用しません。彼らはまだ自分たちの世界が心の大部分を占めているので、これを今やっておくと将来役に立つというような見通しは持てないのです。

彼らはやりたいもの、やりたいことはやるけれども、そうでないものはやりません。まず子どもをやる気にさせるのが一苦労。楽しいと思ったことはやるので、楽しく学習できるように環境を整える必要があります。

また、まだ頭が柔軟な時期にはパターンをインプットするよりも、できるだけ広い思考ができるようにした方が、子どもの能力が伸びます。早くからパターンを与えすぎると、使われなかった脳の回路がさびついてしまいます。

■低学年の児童の指導は専門家が必要?

この点で学生アルバイトが主力をつとめるような塾では役に立ちません。もし低学年の勉強を誰かに見てもらいたいというのなら、小さい子どもの心理や扱いをよく知っている人に頼む必要があります。ですが学習内容は親御さんでも十分理解できるものなので、子どもをよく知っている親が家庭で見てやることは十分可能です。

■低学年での家庭学習は、将来使える引き出しを増やすこと

次のような経験はないでしょうか?勉強や仕事で壁にぶつかって考え込んでいます。すると過去のある出来事が思い出されて、「これはあれと同じ方法が使えるかも知れない」というように解決策が思い浮かんだ、というようことが。私はエンジニアをしていたので、こんな経験が数多くあります。

直接同じトラブルでもなく同じ分野でもないけれども、似たようなアプローチでトラブルを解決したり、幅広く様々な経験を積んでいる人ほど、困った時に力を発揮できるものです。子どもだって同じではないでしょうか。高学年で本格的に受験勉強を始める前に、そこで使えるさまざまな「頭の使い方=脳の使い方」をたくさん経験しておくと、パターンにない問題に対しても、取り組んでいけるようになるはずです。

私がお勧めしたいのは、遊びを通じての体験学習です。

  • ・折り紙…図形や空間をとらえる力が養え、手先が器用になる
  • ・紙飛行機…物理法則を体感し、より良く飛ぶようにくふうすることで試行錯誤できる
  • ・トランプ…神経衰弱は記憶力を鍛え、スピードは数の連続を瞬時に判断する力、大富豪は他人の残りのカードを推理しながら戦略を練るなど、高度な判断力が養える
  • ・数独(ナンバープレース)…推理力と論理力を養う
  • ・クロスワードパズル…語彙力や言葉の運用力を養う。辞書を使いながらだとなお良い。
  • ・間違い探し…注意力を養う
  • ・ボードゲーム…将棋、五目並べ、オセロをはじめ様々なもの
  • ・ジグソーパズル…図形の認知力の向上。都道府県のパズルなら地理の学習も。

他にもさまざまなパズルやゲームの類が使えるでしょう。できるだけ人と遊ぶのがポイントです。コンピュータゲームでは相手の反応がありません。負けて悔しいという感情表現も人によって違います。自分とは違う他人の反応を見ることで、コミュニケーション能力が育ちます。

■学力は基礎学力重視

勉強では何をすれば良いかというと、まずは読み書きの「読む」です。国語以外の教科でも教科書もテストも文字で書かれているから。低学年でのつまずきは、ほとんどが問題文を読み切れていないことにあります。読み書きは遺伝的に脳にプログラムされていないため、繰り返し脳の回路に信号を流して使えるようにしてやる必要があります。

そして「読む」ためには「聞く」から始めなくてはいけません。なぜならば耳にしたことのない言葉を口にすることは難しいからです。日常会話の世界から書き言葉の世界に慣れるようにします。低学年の教科書に出てくるような語彙と言い回しは、十分なじみのあるものにしておきたいですね。読むのが苦手な子には無理矢理よませるのではなく、まず読み聞かせをしましょう。それから音読をします。美しい言葉の本を選ぶことで、言葉のセンスが育ちます。暗唱できるくらい繰り返します。

算数は数の操作をする以前に、日常生活で数が操れるようにします。お菓子を分ける、ジュースを分ける作業等を子どもにやらせます。計りや計量カップを使って重さ・体積を量る際にも子どもに、「この目盛りまで入れてね」とやらせます。日常の中で数量を経験していると、数字という抽象的な世界につながって行きます。

また、文章題は簡単な段階から絵を描いて考えるように指導します。「リンゴが2個あります。花子さんから2個もらったら、いくつになるでしょうか」という問題でも、リンゴ2個にリンゴ2個加わる絵を描くのです。やさしい問題の絵を描いていれば、入試問題でも絵にすることができるようになります。絵や図が描けると8割の問題は解くことができます。今からその準備をしておきましょう。

■まとめ

低学年の学習は、毎日少しずつ継続的にやる習慣をつけ、楽しみながら頭を使い、基礎学力に集中すれば十分です。余力のある子は教材を増やしても構いませんが、基礎ができる前に背伸びをすることはさけなければいけません。勉強が好きになれば学力は自然とついてくるものです。お子さんを信じていただけたらと願います。

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