【栄冠への道】
本科教室の補助テキスト。授業で使用されることはなく、自宅学習用の教材として活用される。本科教室だけでは問題数が確保できないため、類題演習の教材としては欠かせない。補助的役割のため、問題についての解説はないが、国語の「解法のポイント」などは、端的に重要な内容が込められていて、効用が高い。
【カリキュラム】
日能研のカリキュラムは、中学受験対策として極めてスタンダードな進度と言える。サピックスのように5年生で算数のすべての範囲を一通り終えるような速度ではなく、また大手以外の塾で見られる進度の遅さもない。地道に理解を固めるには問題のない内容になっている。ただし、入試過去問演習の開始時期だけはなぜか遅い。教室によっては12月まで手をつけないように言われることもある。秋以降は塾の指示は聞いたうえで、独自の判断で過去問演習に着手する強い意志を持つことが必要である。
【カリキュラムテスト(カリテ)】
1週間分(4年生は2週間分)の演習範囲の復習テスト。全クラス共通に解く「共通問題」と、クラスによって問題の分かれる「基礎問題」「応用問題」の二部構成になっている。偏差値は出ず、10段階での評価となる。復習徹底主義の日能研では、このカリテの成果が理解の指標にもなるので、テストの見直しが必須となる。試験日から2,3日後にインターネットで答案が返却される(【DI学習支援システム】参照)というスピードがその特徴のひとつである。
【記述力模試】
記述重視の上位校対策を目的とした模試。当初は5年生のみが対象であったが、現在は6年生が3月に、4、5年生が8月に受験する。問題が難しいため、上位校志望の生徒のみが対象となり、教室によっては上位クラスにのみ案内される(半強制とする教室もあり)。6年生については3月に実施されることもあり、難問に手を焼く生徒がとても多い。したがって受けるかどうかについては状況に応じた判断が必要で、無理をする必要はない。
【共通問題・応用問題】
カリキュラムテスト(カリテ)での問題の名称。センター模試にはこの区別はない。「共通問題」は言葉通り、テストを受ける全員が解答する問題。「応用問題」は、各教室の上位クラスの生徒が解答する問題。下位クラスは「基礎問題」を解くことになる。「応用問題」と「基礎問題」の問題レベルの差は科目によっても異なるが、総じて大きい。上位にもう少しで届く状況の生徒にとっては、「基礎問題」から卒業することがモチベーションのひとつにもなる。
【クラス編成】
日能研は、習熟度別のクラス編成で、教室によって構成は異なる。かつての栄冠・マスターといったクラスは今やほとんどの教室で見ることはなく、代わりにR・G・Wといった区別をし、WについてはW1、W2とさらに細分化される。教室によってはRがなく、MやAといったクラスがあるなど、未だに統一されていない感が強い。1クラスは20名前後で、サピックスや四谷大塚より若干多い程度。成績によるクラス替えはあるが、その回数は教室によって異なる。また、テスト結果によって、クラスの席順が変わり、それを生徒への動機付けとしている。
【月謝】
日能研の月謝システムはクラスによって異なる。SAPIXや四谷大塚のような、テスト代・テキスト代込みでの提示ではないことに注意が必要。一例として、日能研小6のMクラスで38,475円であるのに対して、SAPIX小6の平常授業が49,785円と違いがあるが、上記のようにその他の費用が含まれるかどうかもあり、トータルして塾選びの要素とすべき程の違いはない。
【合格オン・ザ・ロード】
日能研が開催する入試報告会の名称。入試終了後の3月頃に会場をわけて開催される。内容としてはスタンダードな構成になっており、営業色は薄い。会の進行や会場整理なども無駄がなく、塾としての体制の強さを感じる。特筆すべきは、冒頭に流されるビデオ映像の完成度。内容としては日能研生の1年間の過ごし方に始まり、合格発表ならびに生徒の声で終わるのだが、毎年合格発表の場面になると、会場が一斉に涙につつまれる。この映像の完成度は他塾を大きくリードしている。
【シカクいアタマをマルくする】
入試過去問題から日能研が選んだ「考える力」を求める問題群。電車の額面広告に記載されており、受験に関係のない人々までもが、車内で問題を解こうと凝固している風景は頻繁に見られる。その知名度の高さから、書籍化さらには任天堂のDSソフトとしても売り出されるに至っている。受験生でなければ持ち得ない技術がなくても解ける難問、がほとんどで、結果として「中学受験で学ぶ内容は社会常識につながる」ことを見事に表現している。
【進学レーダー】
日能研の関連企業である「みくに出版」が毎月刊行している情報誌。学校情報ひとつをとっても、併願パターンからの分析や通学路別の紹介など、様々な切り口で発信がされている。また、生徒用のテキストからは想像もつかないほどに、色彩豊かでビジュアル的にも見やすく作られている。マンガや写真をふんだんに使っているので、読物としても飽きが来ない。日能研の情報面での強さを見せつけられる逸品。
【ステージ】
日能研のカリキュラムの段階を指す名称。具体的には小3がステージT、小4前期がステージU、小4後期+小5前期がステージV、小5後期+小6前期がステージW、小6後期がステージXと分けられている。ステージXは実戦問題対策の時期に入るので、実質のカリキュラムとしてはステージWまでで一旦仕上げることになり、その時期は極めて重要になる。
【セキュリティ】
防犯Nブザー(【Nバッグ・防犯Nブザー】参照)以外にも、日能研では生徒を保護するシステムが明示されている。それが「Nセキュリティ」と「キッズセキュリティ」。Nセキュリティは警察OBだけの防犯組織の名称で、キッズセキュリティはPASMOを使った生徒の入退室確認システム。他塾と比べてもそうした防犯システムのアピールは徹底されている。
【知の翼】
日能研の通信講座。全学年が対象となっているが、実質は低学年がメインターゲットになっている。趣旨としては、通信講座で体験的に日能研カリキュラムを提供して、後に日能研本体への入塾につなげることを目的としている。そのため低学年が対象となることが多いが、5、6年生も受講可能である。内容としては本科教室のカリキュラムだが、特に低学年向けにはゲーム感覚を重視しており、好評を得ている。
【日特】
「日能研入試問題研究特別講座」の略称。「日曜特訓」の略ではない。学校別の日特は後期からで、前期日特は後期で言うところの「合同日特」と同じ内容になる。「学校別日特」の対象校は増加しているが、上位校に絞られる状況は変わっていない。志望する学校の日特がない場合には、似た傾向の学校日特を勧められても、慎重に検討する必要がある。また学校別ではない「前期日特」や「合同日特」についても、無理に受けるだけの価値があるかどうかは疑問。志望校の日特がない場合に、早稲田アカデミーのNNを受講するケースが見られる。
【日能研リーグ】
日能研のカリキュラムを他塾で受けられるシステム。四谷大塚のYTネットの日能研版とも言える。
【本科教室】
日能研のメインテキスト。塾ではこのテキストを使って授業が進められる。レベル別に問題が構成されていて、例えば算数であれば、基本問題・発展問題・練成問題とレベルアップして行く。練成問題は入試問題の抜粋となるため、難問が揃う。四科とも解説が充実しているが、全紙白黒のためか、特に理科・社会では扱いづらさ、馴染みづらさが感じられるケースがある。6年生の後期からは名称が『合格力完成教室』に変わる。
【ユリウス】
日能研の個別指導部門ならびに家庭教師派遣部門。個別指導部門では基本は生徒1名に対して講師2名のスタイルとなっており、希望によっては1対1のかたちも選ぶことができる(料金は約1.5倍)。個人の特徴を踏まえて集団ではできない学習を、という理念と日能研の情報を活用できるというメリットは大きい。ただし、講師が大学生中心であること、1対2の授業形態で集中を維持することの難しさなどを考えると、周りに流されずに勉強に取り組むための、確固たる意志が必要になる。
【DI学習支援システム】
日能研が誇る、インターネットを活用したテスト採点システム。日曜日に受けたテストの答案が、インターネット上で火曜日には表示される、といった他塾にないスピードで、早期に見直しをすることができる。登録IDがなければ答案を見ることはできないため、セキュリティは徹底されている。各問の全体正答率が表示されたり、「偏差値ランクを上げるためにはこの問題」といったかたちで問題が抽出されるなど、教材としてのテストの価値を一層高める効果を生んでいる。
【MY NICHINOUKEN】
インターネットを活用した会員サービス制度。上記DIシステムもこのサービスに登録することで利用することができる。テストの結果以外にも、入試の過去問題や、学校情報などが提供される。
【Nバッグ・防犯Nブザー】
日能研生専用のカバンをNバッグと呼ぶ。青地に大きく「N」と書かれたカバンが会社帰りのサラリーマンの間をかいくぐる風景は、21時頃の駅でよく見かけられる。日能研生のほとんどが入試会場にもこのカバンで現れるため、Nバッグが大挙して会場に集まることになる。他の受験生に対して無言の圧力をかける武器ともなり、また「あのカバンには負けない」と思わせる刺激剤にもなる。Nブザーはカバンの肩ひも部分に装着する防犯ブザー。
【R4偏差値】
日能研センター模試(【センター模試】参照)の結果で、合格率80%の指標となる偏差値。RはRANGE(範囲)の頭文字で、「R4=80%、R3=50%、R2=20%」となっているが、学校案内などに掲載されている四谷大塚や首都圏模試の偏差値表も合格率80%のデータなので、日能研でもR4以外はほとんど使われることはない。日能研のR4は四谷大塚の80%と近似するが、受験層の違いなどから、早稲田実業(2月1日・女子)→四谷大塚69・日能研66、明大明治(2月2日・男子)→四谷大塚60・日能研62、と僅かだが違いもある。