四谷大塚『合不合判定テスト』
四谷大塚が実施する志望校判定のための公開模試で、長い歴史を持つ中学受験模試の代表格です。対象は6年生のみで、4月と7月に予備テストがあった後に、9月から12月まで毎月1回、全4回実施されます。多くの受験生が、この合不合判定テストの結果を最終的な志望校選定の要素としています。このテストは出題範囲が幅広いので、志望校判定だけでなく各科目の苦手分野の発見にも効果を発揮します。偏差値が40以下から70以上の受験者が、実力通りに分布されるように、基本・標準・応用のどの難度からもまんべんなく出題される模試になっています。
2010年からサピックスが合不合と同じ日程で塾内テストやオープンテストを実施し、2011年からはそれらが全てオープンテストとなったため、これまで上位を占めていたサピックス生が合不合を受験しなくなるだけでなく、サピックス生以外の上位層がサピックスオープンに流れてしまう可能性が懸念されます。今後の偏差値の動きには注意が必要です。
<合不合判定テスト「算数」の特徴>
合不合判定テストの問題の特徴は、第一に問題量の多さにあります。算数の場合(予備は除く)、大問11問から13問、小問にして30問にも及びます。制限時間50分で解くには、それに対応できるだけの「解くスピード」が求められます。目標点を設定したうえで、その目標に到達するための問題の取捨選択が必要になります。最難関校に合格した生徒さんでも、最後の大問1、2問には捨て問題をつくっているくらいです。目標とする学校の偏差値から、目標点を設定して、個別の戦略設定をするようにしましょう。
合不合判定テストの大問の問題構成は、第1問→計算3問、第2問→小問集合(基本レベル)6問、第3〜6問→割合や比、速さ、図形などの文章題で各小問2問、第7問→小問集合(応用)、第8問以降→応用・発展問題で各小問2問となっています。
つまり基本問題から応用の初歩までが、上記の「第7問まで」となっているのです。そこで例えば偏差値55の学校を目指す場合、合不合では基本的に平均点が75から80点となるように問題作成がなされていますので、算数単科で55となるには90点前後が必要になります。その場合は、算数の小問はすべて5点配点ですので、18から20問を正解することになります。実は上記の通り、大問の第7問までで、ちょうど小問20問となっていますので、この応用の初歩までの第7問までをどれだけ正解できるか、がポイントになると言えるでしょう。
ただし、それまでの範囲の中で、特に第7問には、全体正答率が30%を切る難問がさりげなく含まれています。そこで、そうした問題は無理に深追いせずに、第8問以降の応用問題の(1)だけでも正解することを目指します。限られた時間内ですので、その取捨選択はできるだけ早く判断する必要がありますが、そうした判断力、戦略的なテスト演習力が求められるのも合不合判定テストであると言えます。
さらに上位校を目標とするのであれば、第8問以降でより正答率を上げ、(1)(2)ともに正解できる問題を増やすといった戦略になるでしょう。逆に偏差値50以下の学校を設定する場合には、第7問までの中で、上記のような取捨選択を徹底し、間違えた問題をしっかり見直しすることが必要となります。
<合不合判定テスト「国語」の特徴>
漢字10問、知識7〜10問、読解25〜30問(うち記述2問)いう構成になっています。
最も特徴的なのは、読解問題の文章が、ほかの模試と比べ最も長く、難易度の高いということです。首都圏の中学校の入試問題の平均よりも多めの文章量(6000字超)ですから、中堅校を目標に勉強されているお子様には、すべての問題について「考えて解く」という作業がかなり難しいテストといえます。
もう一つの合不合の特徴は、長くて複雑な選択肢問題にあります。通常、誤答選択肢には、わかりやすい「ウソ」が含まれていますが、合不合の場合は、もう少し複雑です。まぎらわしいものを比べて、より正解に近いニュアンスのものを選べるかどうかが鍵になります。
記述問題は、文章中の語句を使用して答える問題がほとんどですから、自分で言葉をひねり出すよりも、文中表現をどう利用するかがポイントになります。
中堅校を目指す場合、まずは「できる問題」をしっかり解くことが大切です。漢字や知識は8〜10割正解できるはずです。その上で、読解問題の問1、問2などの導入問題や、消去法で解ける選択肢問題をしっかり解けば、十分な成績が戻ってくるはずです。さらに、文中表現を拾いながら記述問題を書けば、より上位をねらえるでしょう。
上位校を目指す場合は、選択肢、書き抜き問題の正答率を上げることが大切です。選択肢を丁寧に読み、迅速に判断していくことの積み重ねが大切です。