SAPIX(サピックス)の特徴
メリット・デメリット
メリット
上位校を目指すならばサピックス、の定評もすっかり確立しているように、御三家を中心とした上位校の合格実績では、他塾を大きく引き離す成果を挙げています。綿密に組み立てられたカリキュラムを軸にして、多量の宿題を出題する進め方は、生徒さんにとってはハードに感じられることはありますが、しっかりとついて行くことで、早期に実力をつけられる強さがあります。特に算数については、5年生終了時には基本的な範囲はほぼ演習を終えて、応用問題での繰り返しスパイラルに入るという、他の塾よりもかなり先を進むカリキュラムになっています。塾内テストの成績によるクラス替えの頻度は、他塾にはないもので(→下記カリキュラム項目ご参照)、「上のクラスに上がりたい!」という明確な動機と、競争心を生徒さんに持たせる効果があります。また、カリキュラムの進度が早いため、夏休みから過去問演習が取り入れられるなど、志望校対策も早期にスタートすることができます(→下記志望校対策項目ご参照)。
デメリット
大手塾の中では、最も相性が分かれるのが(サピックス)ではないでしょうか。メリットとして挙げた内容が、逆にデメリットとなってしまう生徒さんも少なくないと言えます。密度の濃いカリキュラムは上位クラスに在籍していない限りは、かなり難しい内容であり、それがハイペースで進んでしまい、弱点補強をしようと思っていても、塾からの課題が多くて、手がまわらない、といった悪循環を生じかねません。特に6年生になってからのスパイラルは、応用問題中心の繰り返しで、基本を見直すことについて塾ではなかなか時間をつくってもらえません。基本要素を自身で理解している生徒さん以外にとっては、何が何だかわからないうちに進んでいるといったことが起こりえます。
また、頻繁なクラス替えも、逆に精神的な負担となってモチベーションを上げられない結果にもなることもあり、テキストについては、日能研のような本のかたちではなく、毎回分がその都度冊子として配布されるため(→下記テキスト項目ご参照)、ご家庭での整理が大変になります。意識してファイリングなどをしなければ、部屋にデイリーが散らばっていて、どこに何があるかわからないといったことが起きかねません。
上位校を目指す生徒さんに特化している、との指摘は確かにあてはまっている感があります。それでも実績のある(サピックス)について行きたいとされる際には、テキストの整理やスケジューリングなどの環境づくりを、ご家庭でしっかりとサポートすることが不可欠です。
転塾について
サピックス→他塾の場合
難関上位校の実績を毎年高く挙げているサピックスですので、そのカリキュラムにしっかりついて行くことができれば、志望校合格への道は大きく開けると言えます。ただし、上記にも触れましたように、カリキュラムの進度にどうしてもついて行くことができず、結果、悪循環を生じてクラスが下がり続けてしまう、といった現象起きて、しかもそれが続いてしまった際には、転塾を考えることもひとつの方法です。その時期と転塾先ですが、転塾先のカリキュラムがある程度進んでいても、サピックスの進度が先んじているケースが多くありますので、絶対に年度替わりで、とこだわることはありません。ただし、迷ったままにあまり時間を置いてしまうことは、転塾するかしないに関わらず、よい結果にはなりませんので、春休み明けまでをひとつのリミットとして考えるべきでしょう。
転塾先については、それぞれの生徒さんと塾との相性もあり、また大事な決断になりますので、慎重に選ぶことが必要です。ひとつの考え方としては、早稲田アカデミーのような、より面倒見がよく、受け入れ体勢のしっかりとしている塾へ移ることが候補に挙がります。
他塾→サピックスの場合
逆に他塾からサピックスへの転塾を考える際には、6年生になってからでは、カリキュラムの遅れを取り戻すことは難しく、それまでの積み上げがないままに、サピックスでのクラスを上げることは困難ですので、できるだけ早く、5年生の夏くらいまでには入塾することが必要です。サピックスは教室によってクラスの数なども異なりますので、通う候補となった教室に足を運んで、様子をしっかりと確かめてから、最終的な判断をするようにしましょう。
志望校対策
サピックスでは6年生の夏休みに、教室から学校数を指定されて、過去問を宿題として解くことになります。まだその時点では、結果がすなわち合格の可能性の指標とは言い切れませんが、早めに過去問を解くことで、学校の傾向に触れること、目標意識を明確にできること、などの効果があります。また、夏休みから過去問演習に入れるところに、サピックスカリキュラムの進度の早さも伺えます。サピックスでは6年生後期に学校別オープンテストも実施しており、各校の出題内容に合わせたシミュレーションとして、精度の高い実戦的なテストを受けられるメリットがあります。
テキスト
サピックスの通常授業は、『デイリーサピックス』を主要教材として、黒板授業を進めるかたちとなります。演習教材として『デイリーサポート』、算数では基礎範囲の対策として『基礎力トレーニング』が配布される他、授業プリントで補う構成となっています。『デイリーサポート』については、授業ですべての問題を演習はしませんので、自宅学習で復習や未演習問題を解き進めながら、理解を固めてゆくことになります。サピックスでは、日能研や四谷大塚のように教材がまとめて本のかたちにはなっていません。毎回の授業ごとに1部ずつ配付されますので、予習はできず、徹底的な復習スタイルが確立されています。
『デイリー』や、土曜の特訓講座で配布される『ウィークリーサピックス』については、ファイルするなどの整理方法を早期に固めるようにしましょう。そのままにしておくと、部屋中に教材が散乱して、どこに何があるかわからない、といった状態に、あっという間になってしまいます。
カリキュラム
サピックスの特徴として、クラス編成と頻繁なクラス替えが挙げられます。αと呼ばれる最上位クラスの下にAクラスまでアルファベット順に並ぶ編成になっており、在籍クラスはテストの成績によって決定されますので、いかに毎回のテストで得点を上げるかがポイントになります。サピックスのカリキュラム・授業の進度の早さは際立っており、ほとんどの科目において5年生を終了するまでに、ほぼ全範囲の8割近くを消化することになります。6年生ではほとんどの教室が火曜・木曜を通常授業とし、土曜には『土特』と呼ばれる実戦的な内容を進める授業が、また9月からは志望校別対策となる『SS(サンデーサピックスの略)』が実施されます。極めて密度の濃い内容となりますので、自宅学習も含めて、計画をしっかり立てることで、課題に追われてただ塾に通っているだけ、の状態にならないようにすることが必要です。
テスト
上記にもありますように、サピックスの特徴は塾内テストの成績によって在籍クラスが頻繁に替わることにあります。テストの内容は毎月ごとに行われる『マンスリーテスト』と、年に3回のペースで行われる『組分けテスト』になります。『マンスリー』はそれまでに演習した内容が範囲となりますので、復習テストの意味合いを持ち、『組分けテスト』は範囲がないため、実力テストとして位置づけられます。まずは復習を固めることで毎月の『マンスリー』を確実に得点し、少しずつでもクラスを上げることを目指し(クラスアップに制限があります)、『組分けテスト』で、実力を測りながらより上位クラスでの在籍を固める方針になります。ただし、6年生の後半からは、志望校対策が中心となりますので、在籍クラスにこだわりすぎず、生徒さんそれぞれに自分の状況と志望校の傾向を見合わせることに主眼をおくことが必要です。また、サピックスの生徒さんは9月から四谷大塚の『合不合判定テスト』を受験しますので、その結果を見て、志望校選定を進めることになります。