日能研の特徴
メリット・デメリット
メリット
塾としてのこれまでの歴史、全国に広がる校舎の数などを見ても、日能研は日本最大級の塾であり、その規模だからこその、蓄積された情報の質量ともに見られるレベルの高さは、圧倒的な強さと言えるでしょう。また、「DI採点(→下記DI採点項目ご参照)」と呼ばれるシステムは、生徒さんのその都度の状況を正確にかつ見やすく、何よりスピーディーに把握できる点で、他塾にない強さになっています。 カリキュラムは、対象が成績上位に限定されることなく、幅広い層にまで行き届いた標準スタイルですので対応しやすいと言えます。テキストは、科目によって単調さを感じることはありますが、解説も充実しており、とてもわかりやすくなっています(→下記カリキュラム・テキスト項目ご参照)。通っていて確かな安定感と安心感を持てる塾、と言えるのではないでしょうか。
デメリット
一方で規模の大きさゆえに、個々の生徒さんの状況に対して、塾側からのフォローが必ずしも行き届いているとは言えないこともあります。例えば早稲田アカデミーでは慣行されている、講師からご家庭への電話かけも、積極的に行われているとはいえません。担当講師と話をしたくても、窓口が別になってしまうことも時折見られます。日能研が、時に淡白、と言われてしまうのも止むを得ないかな、の感はたしかにあります。教室とのコミュニケーションを密度濃くされたい場合には、少し物足りなさを感じるかもしれません。
また、6年生秋以降の志望校対策が教室によって、かなり遅いスタートになることがあります(→下記志望校対策項目ご参照)。すべての単元を完成させなければ過去問を解く意味はない、の考え方はわからないではないのですが、志望校の出題傾向をできるだけ早くつかむことは大事ですし、過去問演習が生徒さんのモチベーションアップにもつながる効果は軽視できないのでは…の思いはあります。 塾のシステムや情報を有効に活用しながら、生徒さんそれぞれが抱える課題をご家庭で早期適確に見つけることが必要になるでしょう。
転塾について
日能研→他塾の場合
日能研に在籍している生徒さんにとっては、幅広いレベルに対応できるカリキュラム、豊富な情報量、安定した塾のシステムへなどへの信頼は厚いものがあり、他の塾へ移ることはあまり考えられないのではないか、とも思われます。それでも、より難関校の合格を目指したい生徒さんにとっては、最近数年の上位校での合格実績で、サピックスとの差が開いていることを見て、サピックスへ転塾した方がよいのでは…と考えることがあるかもしれません。その際には、できるだけ早くに決断することをお勧めします。サピックスのカリキュラム、授業の進度は際立って早く(特に算数)、期の途中からその流れに乗って、サピックス内でのクラスを上げて行くことはかなり難しいです。できれば5年生の夏くらいを時期的なリミットと考えて、慎重な決断をすることが必要になるでしょう。
また、ご家庭と教室・講師とのコミュニケーションがどうしても行き届かない、塾側からの働きかけに物足りなさを感じるといった際には、まずは塾に相談して状況改善を目指すことが優先ですが、それでも変わらない場合には、早稲田アカデミーなど、面倒見のよい塾へ移られることも検討の価値は十分にあります。
他塾→日能研の場合
逆に、抜群の安定感を持つ日能研に魅力を感じて、他の塾から日能研への転塾を考えられるケースもあるでしょう。その場合には、できるだけステージ(→下記カリキュラム項目ご参照)の途中からの入塾は避けましょう。サピックスのようにカリキュラムがかなり先を進んでいる塾からでしたら対応はしやすいかもしれませんが、できるだけステージの初めから在籍をして、確実にカリキュラムの順を追うこと、塾内テストのシステムに早期に慣れることが、より早く日能研生としての方向性を定めるうえでは必要になるでしょう。
どの塾にもあてはまりますが、大事な選択になります。慎重に考えましょう。
志望校対策
先にも触れましたように、教室によって対応が異なりますが、日能研では過去問演習のスタートがやや遅くなることがあります。「まだ過去問を解くレベルではない」との理由で、演習を止められるケースも耳にします。確かに基本の定着から余りにかけ離れていては、過去問演習の効果は見えづらいことはありますが、カリテやセンター模試の結果だけで、志望校を選定することはとても危険です。できるだけ早めに、より多く過去問を解くことで、生徒さんと過去問との相性を見て、問題の特徴に慣れるようにすべき、とも思われます。塾の先生の言葉はしっかりと受け止めた上で、冷静な判断をするようにしましょう。
DI採点
日能研の特徴を語るうえで、欠かせないのが、このDI採点と呼ばれる採点システムです。生徒さんが受けたテストの答案を専用スキャナで読み込み、答案をイメージデータとして扱う方式のことなのですが、この採点方式によって、テストを受けて間もないうち(2日後前後)に「答案用紙」の採点&解説、成績データをパソコン上で見ることができます。これにより、テストを受けた記憶の新しいうちに見直しができるメリットは、かなり大きいものです。特に国語などでは、1週間もすると問題文の内容や、自分がどう解いたかを忘れてしまうことがあります。そうなると、もう一度文章を読み直すロスは避けたい、結果見直しをしないままに終わってしまうということにもなりかねません。そうした流れをつくらず、テストの演習価値を大きく上げる、とても価値のあるシステムです。いずれ他塾も追随することになるのではないでしょうか。
テキスト
授業演習用の『本科教室』と自宅学習用の『栄冠への道』の二冊がメインとなります。
基本→発展・練成と、問題構成がはっきりとしていますので、生徒さんの状況に応じた問題選択がしやすく、またどの科目も解説が充実しています。
理科・社会は、解説は極めて充実しているのですが、写真も含めてすべてが白黒で、やや見づらさを感じる生徒さんもいます。その場合はカラーの資料集や他の参考書(四谷大塚『予習シリーズ』など)で補うなどの方法も有効です。
カリキュラム
3年生から6年生までを以下の5つの「ステージ」に分けています。
- 3年生:「ステージT」
- 4年生前期:「ステージU」
- 4年生後期と5年生前期:「ステージV」
- 5年生後期と6年生前期:「ステージW」
- 6年生後期:「ステージX」
の構成です。
6年生からは、通常授業の他に、毎週日曜に実施される『日特』や特別講座が開催されます。いずれもより実戦的な演習ですのでメリットは多くありますが、時間の拘束や、体力的な問題は十分に考えて、注意深く受講を選択することが必要です。特に追加で案内される特別講座については、塾からは「カリキュラムの消化をより確実にするため」、との目的で受講を勧められますが、結果として生徒さん自身で復習をする時間が少なくなる→焦りがうまれる、の悪循環で、必ずしも効果が上がらないケースもあります。生徒さんの状況をしっかりと見て、適切な選択をすることが大事です。
テスト
復習テストにあたるカリキュラムテスト、通称『カリテ』が、毎週ないし二週間に一回のペースで実施されます。この成績に応じて所属のクラスや席順の昇降が判断されるので、自宅学習の目標を明確にできますし、「カリテで高い点数を取りたい!」という動機を、生徒さんに自然に持たせることができるメリットがあります。
『センター模試』は、一ヶ月単位で実施されるオープンテストで、6年後期からは『合格判定テスト』と、本格的な名称に変わります。日能研の生徒さんは四谷大塚の『合不合判定テスト』をほとんど受験しませんので、この『合格判定テスト』が志望校を選定するうえでの貴重な材料になります。