親子で過去問に取り組む
パパとママの勉強部屋では、今月読み返して欲しいタイムリーなバックナンバーに『過去問演習の鉄則とコツ』が掲載されています。生徒がどのように過去問に取り組んだら良いか的確なアドバイスがされているので、ぜひお読みください。
また、わが子を合格に導くヒントとテクニック過去記事に『[2013/01/22] 中学入試過去問題は親も解いてみるべき』がありますので、こちらも併せてお読み下さい。
ところで過去問は生徒だけが解けばよいのでしょうか?「親が過去問を解くなんて意味が無い」「難しくてできないから無駄」という声があります。しかし私は受験生の親としての立場から、過去問にはぜひ親子で取り組んで頂きたいと思うのです。いえ、保護者が解いてみることを強くお勧めします。その理由と取り組み方は次のとおりです。
■保護者が過去問に向き合う方法
生徒は志望校の入試問題に慣れ、また合格可能性を知る手段として過去問を利用します。受験勉強の一環として行うので、どうしても上位の志望校の過去問は手がけても、第3志望以下の学校の過去問演習まで手が回らなかったりします。そこで保護者の出番です。保護者は過去5年〜10年の問題を解く必要はありません。正解できなくても構わないのです。合格点を取らなくて良いからです。まずは出願するつもりの学校全ての過去問に目を通します。そして入試問題のレベルを判断するのです。
難関校型の新しい傾向の出題が多いのか、標準的な問題の割合がどれくらいなのか、記述が多いのか少ないのか、そうした分析をします。できれば科目ごとに表を作ると良いですね。出題分野や問題の構成も把握します。
例えばこんな具合です。国語は大問2題で1問目は物語文、2問目は説明的な文章。文章量は多めだが、塾の模試と同程度。内容は小学生にはやや難しい。漢字の読み書き等知識問題は読解問題の中で問われる。書き抜きだけでなく、作文要素を含む記述がある。算数は計算問題少なめ。しかしレベルの高い複雑な逆算が出る。整数の問題と図形の問題が毎年出題されていて、図形の問題は点の移動が頻出される。理社は必ず時事的な要素を含む問題が出される。社会は明治維新が頻出問題で、理科では気象がよく出る。
なぜこんな分析が必要なのでしょう。入試問題は学校からのラブレターというような表現もあるように、どのような生徒に来て欲しいかという希望が込められています。それを知ることと、わが子の性質とその傾向が合致しているのかどうかを判断するためです。
項目別に考えていきましょう。
■志望校の出題形式を知る
最も重要なのは、他校にない特徴的な出題があるのかどうかという点です。詩歌が苦手な生徒に、毎年詩歌が出題される学校を受験させるのは、あまり好ましくありません。そうしたことを避けるためにも、大まかに出題分野と形式をつかんでおく必要があります。また解答用紙を見ると、単位が予め印刷されているのか、自分で書くのかなどを知ることもできます。子どもが落とし穴にはまることを防げます。
■わが子との問題の相性を知る
問題を見れば、わが子の実力からして「これはできてもおかしくない問題」「できるかどうか半々の問題」「ちょっと歯が立たない問題」がざっとわかるものです。現在の実力で最低何点取れ、上手く行けば最高何点取れるのか予想が立ちます。模試の合格判定の他に、過去問によって志望校のレベルが子どもに合っているのか判断材料として使えます。また、現状より底上げが必要な分野を把握できますね。
■入試で注意すべきポイントを知る
「解答用紙には解答以外を書いてはいけない」のような注意書きのある学校が見られます。うっかり計算を書いてしまわないように、事前に注意することができます。また理社の用語に「漢字で書きなさい」という指定があったら、それを守るように言っておけます。こうした入試問題に特有の注意事項を事前に把握しておくことは大切です。
子どもの実力を判断するには、塾が行っている模試の結果を使うのが一般的です。確かに様々な数値が記載されているので、客観的で信頼性があるように思います。でも、親としては実感がわかないものです。数値をどこまで信じてよいのかわからないから。
ところが過去問を見ることで、その客観的データと実感を近づけることができます。中学入試を保護者の手元に引き寄せる効果があるのです。ですから、問題を読んでみるだけで構わないので、一度は過去問に目を通してはいかがでしょうか。その価値はあると思います。