攻略!早稲田中の国語

第3回 平成15年度から17年度の問題より:
抜き出し問題

貝塚講師(中学受験鉄人会スーパープロ家庭教師)

 

 今回は『抜き出し問題』の対策をテーマとします。早稲田中では頻出であり、この単元を確実に得点できるかどうかが、合否の鍵となるとも言えます。

 多くの生徒さんが、選択問題には取り組みやすさを感じていますが、一方で選択ならではのリスクもあります。よく言われている、ゼロか100か、の部分点がないリスクだけでなく、選択問題には不確かさ→不安・迷いといった悪循環から、時間をロスしてしまうリスクもあるのです。これは多くの生徒さんが経験されたことと思われますが、「考え直したら正しい答えから間違いに直してしまった」といったケースがあります。この点は前回の記号選択で触れましたように、時間を制限することで防ぐことができます。

 その点今回取り上げます「抜き出し問題」は、そういったリスクを回避できる点が多くあります。確実にポイントをつかめばより正答率を高くできる可能性を大いに含んでいるのです。

 この単元は生徒さんによっての得意不得意が大きく分かれる問題です。「抜き出し問題」は、得意とすれば点数を安定させられる武器となり、取りこぼしてしまうと、差がつけられてしまう重要な単元であると言えます。 現状で、「抜き出し問題」を苦手に感じられる生徒さんの多くが、暗中模索の状態になってしまっていることがあります。

 これから、そうした状態から抜け出せるような、道筋を示す灯りとなるポイントを挙げてゆきます。

(1)物語文での抜き出し

 抜き出し問題を具体的に見て行くうえで、物語文と論説文のそれぞれについて具体的に問題を取り上げてみます。

 まずは物語文ですが、例として、平成17年度・第1回・第1問を取り上げます。出典はねじめ正一の自伝的小説からとなります。

問1:「思いつめたような顔で正一を見ていた」とありますが、正一から見て、父親の考えはどのようなものですか。最もふさわしい一文を文中から探し、初めの五字を書きぬきなさい。

 文を抜き出す際は、字数指定がないだけにヒントが少なくなります。例えば「十二字で」の指定があった場合に答えが十二字でなければ、正解になることはありえません。その点では、重要なアイテムがひとつないままで敵に挑むようなことになります。それでも根本的な解法は、字数指定の有無にはかかわりません。

 国語の読解が「宝探し」に例えられることがあります。文章中の答えを見つけることは、文章という大きな森に隠された、答えという宝を見つけることに類似します。抜き出し問題はまさにその宝探しの最たるものと言えます。

 ではいざ宝探しに出かけるとして、東京ドーム何個か分の森に何の方向も定めずに足を踏み入れても、どこに向かえばよいかが分かりません。そこでまずすることは「場所の限定」です。地図の中で限られたエリアであれば、同じ宝を探すにもやりやすさが違います。

 抜き出し問題も同じです。文章を読み終えた後に、また長い文章全てを見通して答えを探す作業は大きなロスになります。必ず該当箇所を含むエリアの限定から始める必要があります。そのためには、文章全体の構成に気をつけなければなりません。ここで言う構成とは論説文であれば段落ごとの関係などであり、物語文では心情や場面の展開といったものとなります。

 ここで取り上げました文章は、商店街で起きた火事を事件として、それからの消火活動が取り上げられています。段落が進むごとに消火も進み、それに連れて心情も変化してゆきますので、まずは同じ状況にある問題該当部の近くに注意します。

 ここでポイントですが、前回の記号選択と同様に、【早稲田中の読解問題は解答の鍵となる表現がはっきりと文章中に存在することが多くあります。】その表現は宝探しで言えば、目印の旗のようなものです。その旗さえ見つかれば、正解に大きく近づきます。

 この問題での旗はどこにあるでしょうか。

 問題で聞かれている内容は「父親の考え」です。問題該当部から7行先に進んでみましょう。旗が見つかったでしょうか。<父親の顔つきとおびえたような声の調子から、父親の考えていることがよくわかる>に、「考え」そのものの表記があります。

 その直後の一文が答えの第一候補となります。ほぼ確信が得られましたが、念のために先まで読み進めますと、終盤に無事鎮火した後に安心してまくしたてる父親の台詞が続きます。<「消防車に放水でも…」「火事で恐いのは…」「乾物屋とか呉服屋とか…」>とありますが、これでは一文にまとまられません。そこで答えとなる文は先ほどの一文「町内の人たちの手前…」の文となり、正解は「町内の人た」となります。

 このように、文章全体の流れから正解が含まれるエリアを限定し、さらに鍵となる表現で正解に行き着くことができます。

 同じ第1問より、別の問題でもう一度解法を確認しましょう。

問5:火事騒ぎが一段落してようやく我にかえった正一の様子が具体的に表されている一文を探し、初めの五字を書きなさい。

 ここでは問題文にすでにヒントが隠されています。「火事騒ぎが一段落して」とありますので、文章の後半に答えがあることになります。また「具体的な様子」とありますので、正一の「心情」ではなく「様子」を描写した箇所に注目することが重要になります。

 まず火事騒ぎが一段落したのですから、エリアとしては、<「ご苦労さまです、ご苦労さまです」商店街のおやじ連中が…>の箇所以降となります。

 ここからはスピードアップです!正一の姿を探してみましょう…<正一はガラス戸をあけて…>で正一が登場します。その直後の文で<体の中まで冷たくなり、感覚がなくなっている足をこたつに入れると、くるぶしのあたりからじわじわと痒みが這い上がってくる>とあります。内容としても「我にかえる」といった問題指定の変化が表されています。そこで本文が答えとなり、正解は「体の中まで」となります。

 このように、物語文では、場面・時間の流れから意味段落を分けます。そのうえでどのエリア、どの意味段落に答えがあるのかを考えながら、答えにつながる鍵の部分を見つけましょう。早稲田中では、その鍵がはっきりと現れていることが多くあります。

(2)論説文での抜き出し

次に論説文ですが、例として、平成15年度・第2回・第3問を取り上げます。随筆的要素の強い論説文になります。

問2:「もしその機会に、近くにいた大人にぼくの幼い質問をぶつけたら相手はなんと答えてくれたろう」とありますが、大人はどのようなことをしたらよいと筆者は考えていますか。文中から最もふさわしいことばを十二字以内で書きぬきなさい。

 本文の内容ですが「虹の根もと」がどこにあるかという疑問を抱き続けていた筆者が、小説との出会いを通じて、子供の問いかけに答える大人のあるべき姿、について書かれた ものです。本問の「幼い質問」とは「虹の根もとがどこにあるか」を指します。

 まず注意すべきは、問題の順番と本文の流れは関係ない、ということです。この問題は全7問中の2問目になりますが、2問目だからといって答えの箇所が本文の最初にあるといった考えはすぐに捨てなければいけません。あくまで、問われている内容と合う場所を本文から探すのですから、問題の順番とは全く関係ありません。

 この問題で問われている内容は「質問に対して大人はどのようにしたらよいか」といったことですので、本文全体の主旨にあたります。

本文の構成ですが、「虹の根もと」への疑問→小説との出会い・そこで学んだこと→結論、といった流れになります。その流れの中では、大人のとるべき態度は後半にある可能性が高くなります。早稲田中の問題文は長くはありませんし、その後半となるとかなり範囲は限られます。

 ここからはスピードアップです!論説文の場合は物語文と違って直接的な表現が多くなります。まして早稲田中の場合は先にも書きました通り、鍵となる表現が示されています。先ほど宝探しでの目印の旗としました、その鍵の表現を探しましょう。答えはそのすぐ近くにあるはずです。

 この問題では、「大人はどのようなことをしたらよいか」を問われています。そこで類似表現に注意します。つまり本文中、後半部に絞った中で「大人がすべきこと」に近い表現がないかどうかを探してみるのです。すると最終段落の6行目に<大人に出来るのは>という表現があります。すべきと出来る、同意ではないですが、かなり近しいと考えられます。そこでその直後の文<子供の疑問に性急に答えることではなく…>に注目します。この中に指定の「十二字以内」を探してみましょう。すると最後に<そっと見守り続けること>が十一字であります。そこが正解となります。

 こうして見ますと、早稲田中の場合は物語文でも論説文でも基本的な取り組みは同じで、エリアを絞って、ヒントとなる表現を見つけることで正解に近づくことが分かります。 いかに本文の構成に気をつけるかがポイントです。

 さらにもう一問、同じ第3問から考え方を確認してみましょう。

問7:筆者は『幼年時代』をどのような作品と考えていますか。「〜作品」につづくように、文中から二十字以内で書き抜きなさい。

 『幼年時代』とは、筆者が影響を受けた小説のことです。先に述べました展開からすれば、中盤に答えがある可能性が高くなります。もちろんそれ以外の部分で、筆者が小説を定義づけしているところがないとは言えません。ですが、まずは可能性の高いところから目をつけて探すことがより効率的になります。

 そこで本文の中盤、<ドイツの作家、ハンス・カロッサの『幼年時代』…>で始まる段落からが、小説の説明になります。今回も答えを探すにあたって重要なヒントとなる文章がはっきりと見えます。そこが早稲田中の特徴になります。段落の2行目、<『幼年時代』は…>から始まる文の終わりが<…な小説である。>で終わっています。その文末はまさに定義づけに相応しいものとなっております。ここでひとつ問題があります。一般的に答えとすべき文や部分は、完成されたかたち、つまり穴埋めなどがないことが条件になります。今回は文中に空欄がありますので、一瞬この部分は避けなければならないかと、迷うことがあります。

 ただし今回の問題では、文ではなく部分の抜き出しですので、空欄を気にする必要はなく、文の中盤にある<人間の本源的なものが生きて輝いている>が十八字で正解となります。

 今回の正解は、意味段落の初めにありました。文章全体の要旨が文の初めか終わりにあるように、具体例が挙げられた場合に、その例の持つ意味は意味段落の初めか終わりに述べられていることが多くありますので注意しましょう。

以上、今回の内容をまとめますと、

  抜き出し問題では、文章の構成に注意して、該当部分が含まれる「エリア」をまず絞ること。構成への注意とは、物語文では場面や時間の流れを、論説文では段落ごとの関係をさす。

 さらに早稲田中の場合、正解に直結するヒントの部分が本文中にはっきりと示されていることが多い。宝探しで、場所を示す旗を探すように、ヒントとなる部分を見つけ出すと、近くに隠れている正解を掘り出すことができる。

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