第7回
-夏休みが終わったけれど-
吉田講師(中学受験鉄人会スーパープロ家庭教師)
これから受験までどう過ごせば良いのか?本当にこのまま塾に通っているだけで良いか?不安になってきたというご両親も多いと思います。
大切なのは今までも述べてきたように、やはり目標を明確にして、それに向かって主体的に勉強することでしょう。
成績が上がらない、または普段のテストでは何とか点が取れるが、実力テストではなかなか・・・という人も多くいると思いますが、国語においては、漢字・慣用句・四字熟語・ことわざがまだ不安定ならば難しい読解に取り組むより、それらの暗記がまず最初だと言えます。
中〜中の上位ぐらいの学校(特に女子校)では、知識問題を比較的多く出題する傾向にあるので、知識が不足している人はとても不利になってしまうのです。
漢字は特にしっかり得点したいものです。これは、精神的に読解問題に与える影響の大きさを考慮すれば当然とも言えるのです。
塾に通っているので、それらが出来ないというのは言いわけに過ぎないのです。塾の内容より本人のやるべき課題が重要であるということを決して忘れないでいて頂きたいと思います。
もちろん、御三家、早稲田、慶應などの対策を行っているのであれば、それが最優先となるのは間違いありません。
成績が伸びていれば良いのですが、恐らくそのようなお子様をお持ちの方は、今ここを読んでいらっしゃらないと思われるので、伸びていない場合について書きますが、基本を完璧にすることが最重要だと思います。
それには、今まで塾で使用していたテキストを復習する、暗記冊子(市販)でチェックしていく、偏差値50あたりの学校の過去問に取り組む
――ただ、各レベルごとにオーソドックスな形式(設問)・内容(本文)になっている学校と、特徴的になっている学校とで、傾向が大きく異なるのが国語の難点なのです。
ここで、オススメ(本文・設問とも比較的オーソドックス)の学校をいくつか挙げておきますので参考にして頂ければと思います。(偏差値:首都圏模試※第1回試験)
玉川聖学院(43)、女子聖学院(44)、山脇学園(53)、実践女子(54)、江戸川女子(56)、東京女学館(57)
学習院中等科(男子)(64)、巣鴨(62)、渋谷教育学園幕張(70)など他にもあると思いますが、私の思いつく限りのところです。
話が少し外れましたが、今後の塾との付き合い方ですが、必要なものを取捨選択して受けることが望ましいと言えます。教科ごとに申込む形式になっていても4科まとめて申込む形式になっていてもそれは変わらないことです。
4科まとめての場合は出席しない科目があっても費用が発生してしまうのでもったいない感はありますが、そこにこだわっていては成果は期待できません。
これまでに学習した範囲を定着させるために、復習の時間(自主的勉強の時間)を取ることが、新しい知識を入れることより優先されるべきです。今までそれを実践してこなかったから実力として身についていないのです。基礎が出来ていなければ何を学んでも定着するわけはありません。
例えば、理科・社会ではいくらしっかりノートに板書を写してきても、それを脳にinputする時間を取らなければ意味はないのです。
テキストを振り返りながらご両親と一緒に調べながら問題を解いてみる、漢字などは電子辞書(ほとんどの方が持っていると思います)で調べる、間違った漢字は問題をコピーして、毎日少しでもテストをすることが重要です。
くり返しが実力になるのです。「継続は力なり」です。
もちろんこれを各教科バランスよく行うことも重要です。一週間の計画表を作成し直してみるのも良いでしょう。
同じことをくり返すのは、同じマンガを何度も見るのと同様に面白味にかけるのですが、その都度新しい発見があるものです。私自身、英語も教えているのですが(大学受験)、英検1級レベルの単語・イディオムを覚えている時は、毎日2〜3ヶ月単語帳とにらめっこしつつ何かひらめいたり法則(パターン)に気づいたりしたものです。
ここで最後に読解力upの一助として、論説文・説明文の論理展開パターンを解説しておきます。
- ・論説文では、異文化理解・言語論・現代批判(環境破壊等)が最頻出テーマです。
- ・説明文では動物(ほ乳類)・昆虫(アリ・ハチ等)が最頻出テーマです。
どちらも先に例に挙げた学校から該当する問題を選んでチャレンジする、また、既習のテキストで再確認してみると良いでしょう。それぞれのテーマで使用されている用語は共通しているので、くり返すことにより定着するでしょう。
各々、論理展開パターンを簡単に示しておきます。
異文化理解のパターン
何か自分が到底理解できない、異文化を持つ人々の習慣を見たりしてギモンに思う
↓
何かのきっかけで彼等の習慣・ふるまいの理由がわかる
↓
ナゾが解ける
↓
自分の視点でなく相手の視点で物事をとらえるため、相手を理解することが重要
現代批判のパターン
現代文明の利点(便利さ、快適さ)
↓
現代文明とひきかえに人類が失ったものの大きさ(自然破壊等)
↓
自然と共生・共存すべき/大量生産・大量消費をやめるべき