第1回
吉田講師(中学受験鉄人会スーパープロ家庭教師)
今回から、この連載を担当させて頂くことになりました、吉田です。国語の勉強の仕方がわからない、家庭学習についてどうすればよいかよくわからないという声に、出来るだけ応えていくつもりですのでよろしくお願いします。
私はと言えば、現在、某塾にて、元気のあり余る子供達相手に奮闘するとともに、中学受験鉄人会でプロ家庭教師として活躍(?)させて頂いております。
今回は初回ということで、まず、中学入試の心構えといいますか、日頃私が考えていることですが、保護者の方々とお話する機会がなかなかないことから始めたいと思います。
[1]「何の為にわが子に中学受験をさせるのか?」
公立中は荒れていてどうも・・・、いじめが心配、大学までストレートで楽に行けるように、より高い教育を受けさせたい、など様々な理由があると思いますが、後々の志望校選びを左右するので、ここではっきりさせておくべきでしょう。
[2]「どれくらいの勉強量にわが子は耐えられるのか?」
中学受験塾では、各教科ともドッサリ宿題を出す場合が多く、さらに授業についていけない場合には復習もやらなければならず、途中で消化不良になって退塾してしまうということになりかねません。
急に子供の元気がなくなったり、行動が反抗的になったりして初めて子供の変化に気付く場合もあるでしょう。
国語の学習量について
そこで、例えば国語については、
- ◎ 「詩・短歌」は必要最小限で済ます。
- ◎ 助動詞等の文法を後回しにする。
- ◎ 一方で漢字は少しずつでも日々しっかりやる。
などメリハリが必要でしょう。
国語の学習量についてですが、私個人としては「量より質」というスタンスをとっています。問題文(本文)及び設問の中途半端な理解なまま、ただやみくもに数をこなしたところで、読解力、解答力(記述力)はつきません。
どこまで深く内容を理解することができたか、一問一問が大切なのです。
テキストの重要性について
そういった意味で、国語という科目の性質上、良問を選ぶということが非常に重要になってきます。講師が自ら説明文や物語を書くわけにはいかないからです。本文の内容が浅いものだと、一歩つっこんだ理解につながらず、設問もすぐわかるような抜き出しになっていたりするものです。
また、あまりにも複雑で難しいと設問は簡単にせざるを得ず、これも良くありません。
塾のテキストでは、様々な生徒のレベルに合わせなければならないという事情から(各教科ごとにレベル別になっていれば話は別ですが)、前者と後者が入り混じっている場合がよくあります。
もちろんレベルの高い問題をうまく解説して生徒に内容を理解させるのが講師の仕事ではあるのですが、ある程度は生徒が自分で理解できるというのが前提での話なのです。
極端な話、100%内容をかみくだいて説明すれば生徒は当然わかるようになりますが、下手をすれば全くといって良い程自分で理解しなかった(頭を使わなかった)ということになってしまいます。
ですから、やはり各生徒に応じた問題選びが大切になってきます。
「4年生から塾に通っているけれど、なかなか国語の成績が伸びない」「クラスが上がった(国語以外の教科のおかげで)けれど、ますます国語がわからなくなった」などという声が多いのも、これが原因である可能性があります。
私は集団授業では、各個人別に各問について各個人のレベルにあわせてヒントを出す量、タイミング、やるべき設問を決めています。
家庭教師としての仕事
そういう点では、家庭教師としてはカリキュラムに制約されずに済むので、講師が生徒に合わせて、時には学年を超えて、問題(課題)を選択できるのがメリットの1つだと言えます。
私が指導上特に気を配っている点として、
[1] あまりに完璧な記述を要求しないこと。
解答例のような素晴らしい解答を書ける人は皆無と言って良いので、まず、本質的に合っているかどうか、日本語として正しいかどうかチェックすることにしています。
それが出来ていれば書いているうちにだんだんまとまりが出て来ます。
もちろん、本人(生徒)が書いたものをベースに添削し合格レベルに変えていくこととしています。
これが国語の講師の力量だと思います。
[2] 正解しなくて良いものであれば、気にしないようにする。
入試は100点を取る必要はなく60〜65%の出来で合格ラインに致することを考えれば、また、試験時間は50分が一般的でとても十分な時間とは言えないことを考えれば当然なことです。
[3] ご両親とのコミュニケーションを十分に取る
これは6年生の担当では特に気をつけていることですが、親子で直接ケンカしないよう仲介すること、生徒さんの現状、方向性について常に情報をご両親と共有することが必要不可欠であると考えているからです。
[4] 子供をほめる(何でもないことでも)
生徒との信頼関係を築くうえで必要であり、日常の中でなかなかほめられることがないという現状が多いからです。
この辺りで今回は終了と致します。
次回は<塾の授業styleと家庭学習>というテーマを予定しております。