中学入試合格実績に見る各塾の特徴

 このコーナーでは、大手塾が発表した合格実績をまとめた結果から「数字から見ることができる塾の特徴」を分析いたします。

2015.04.27
2015年度中学入試 合格実績に見る各塾の特徴

今回は、大手塾が発表した合格実績をまとめた今年度の中学入試の結果から、「数字から見ることができる塾の特徴」を分析することとします。

まず分析の要素となる数値のデータ元については以下の通りとなります。

  • 学校発表の合格者数:各学校のHPで発表された数値、ならびに四谷大塚入試報告会資料で発表された数値。
  • 塾の合格実績:各塾のHPで発表された数値。
  • 学校偏差値:四谷大塚2015年度結果80偏差値(共学校は男子と女子の平均値、複数回受験のある学校は初回実施分の値、栄東中はAと東大選抜Tの平均値、西武文理中は第1回と第1回特選の平均値)。

分析には以下の「学校比」を使います。

  • 学校比:学校発表の合格者人数に対する割合
       (合格者数÷学校発表の合格者数×100)

例えば同じ塾でA中学校、B中学校ともに100名の合格実績を挙げたとします。A中学校の合格者数が200名であるのに対し、B中学校が1000名であるとすると、学校比ではA中学校は50%、B中学校が10%となります。学校比で見るとその塾はA中学校でより高い実績を挙げた、と言えることになるのです。

この学校比を指標として、塾ごとに今年度の傾向を分析して行きましょう。

【サピックス】
〜最難関校での圧倒的な強さ変わらず。
共学難関校も大きくアップ。

今年の中学入試は、2月1日が日曜日にあたることから、女子のキリスト教系学校の多くが入試日を2月2日に移すという「サンデーショック」に該当しました。サピックスの実績を見てもその影響が大いにうかがい知れます。以下が今年のサピックス学校比のベストテンです。

《サピックス2015年度 学校比ベストテン》 
※( )内は偏差値を表します。
 
筑波大附属(69)73.75%
筑波大附属駒場(74)70.31%
慶應中等部(68)65.71%
桜蔭(72)63.10%
開成(72)62.03%
女子学院(70)61.47%
慶應普通部(64)61.05%
駒場東邦(67)59.70%
巣鴨(54)54.25%
聖光学院(70)51.76%

筑波大附属、慶應中等部といった「共学校の最難関校」が上位にランクインしていることが注目に値します。これまでも両校のサピックス学校比は高かったのですが、いずれも昨年度から数値が増加しました(慶應中等部50.70%→65.71%、筑波大附属61.25%→73.75%)。両校とも合格者数を昨年からほとんど増やしていません(筑波大附属は同値)ので、この変化の原因にサンデーショックがある可能性は大いに高いと言えます。
両校ともに2月3日に入試が実施されます。2月1日から2日に試験日を移動した学校があることで1日・2日の併願パターンが変わり、2日までに合格を得るチャンスが増えた上位層の中で、3日に筑波大附属か慶應中等部を受験するケースが増えたとも考えられるのです。

その2校以上にサピックスの学校比が昨年から大きくアップした学校が、女子学院です(46.13%→61.47%)。15.34%のアップは今回分析対象にした60校の全塾データの中で、1の値でした。これは言うまでもなくサンデーショックにより、桜蔭&女子学院、雙葉&女子学院という例年では不可能な併願が可能になったことによります。例年であれば3校のうち1校を選択していた受験生が、2校の併願が可能になり、もとより最難関校に強いサピックスがその力をいかんなく発揮した結果と言えるでしょう。
サンデーショックと言われる現象も、場合によっては「サンデーチャンス」にもなることがよくわかります。

筑波大附属駒場は昨年も65.63%と非常に高い値でしたが、今年はついに70%を超えました。全合格者の7割以上がサピックス生という凄まじい現象が起きています。桜蔭、開成はいずれも昨年の値からは微減(桜蔭64.12%→63.10%、開成65.09%→62.10%)しましたが、それでも60%以上はしっかりキープしています。

その他、東京御三家をはじめとした最難関校の実績を見てみましょう。

麻布(67)47.29%(日能研は22.22%、早稲田アカデミーは13.95%)
武蔵(63)21.08%(日能研は28.65%、早稲田アカデミーは33.51%)
雙葉(67)42.18%(日能研は27.21%、早稲田アカデミーは19.73%)
豊島岡女子(70)46.95%(日能研は20.42%、早稲田アカデミーは17.84%)
浦和明の星(65)39.48%(日能研は24.90%、早稲田アカデミーは20.42%)
渋谷教育幕張(71)42.25%(日能研は22.64%、早稲田アカデミーは17.80%)

圧倒的な数値と言えます。東京男子御三家のひとつ武蔵中だけは他に数値が及ばない結果になっていますが、これは今年に限ったことではなく、サピックスの特徴のひとつと言えます。

西東京の雄として知られる桐朋中も、武蔵と同様にサピックスの中では例年決して高い実績を挙げている学校ではありませんでした。それが来年2016年末までに校舎改築が完成することもあって、人気が上がり、サピックスの学校比でも数値のアップが見られました。

桐朋(54)18.34%(昨年度は12.61%)

また、A日程の入試日を2月1日から2日に移動した東京女子の名門、東洋英和はドラマの影響もあって人気がさらに大きく上がり、サピックスの実績もアップしました。

東洋英和(58)40.30%(昨年度は29.50%)

例年通り、慶應義塾付属校ではサピックスの強さが目立ちます。

慶應普通部(64)61.05%(日能研は17.37%、早稲田アカデミーは23.68%)
慶應中等部(68) 65.71%(日能研は11.43%、早稲田アカデミーは25.71%)
慶應湘南藤沢(65)44.32%(日能研は12.43%、早稲田アカデミーは21.08%)

今年のサピックスは神奈川男子御三家の聖光学院・栄光学園では学校比が下がりました(浅野は39.18%→41.49%と微増)。

聖光学院(70)51.76%(昨年度は59.28%)
栄光学園(66)51.44%(昨年度は56.74%)

それでも両校ともに半数以上はサピックス生となり、他塾を圧倒する結果であることに変わりはありません。

【日能研】
〜満遍なく広いエリアでの高い実績。女子上位校での優位。

日能研についても学校比ベストテンを見てみましょう。

《日能研2015年度 学校比ベストテン》
淑徳与野(58)49.26%
立教新座(59)38.73%
横浜雙葉(59)37.82%
晃華学園(55)37.75%
横浜共立学園(60)34.51%
筑波大附属(69)33.75%
桐朋(54)33.62%
フェリス女学院(66)32.50%
共立女子(52)32.12%
栄東(60)31.85%

ベストテンを比較することで塾の特徴の違いがより色濃く見えてきます。
1位が淑徳与野で2位が立教新座、そして栄東が10位に入っているというところに、埼玉エリアでの日能研の強さがうかがえます。埼玉の男子校でトップクラスの立教新座はサピックス学校比(19.36%)のちょうど倍の数値になります。また、今年度合格者数を増加した晃華学園(2014年度1,2回合計90名→2015年度同151名)、サピックスでも数値がアップした桐朋などもランクインしています。

フェリス、横浜共立、横浜雙葉の神奈川女子御三家がすべてランクインしているように、神奈川女子に強いという日能研の伝統は継承されています。
その他にも神奈川の女子難関校で高い数値を出しています。

洗足学園(62)25.33%(サピックスは23.73%、早稲田アカデミーは12.27%)
鎌倉女学院(53)26.10%(サピックスは15.11%、早稲田アカデミーは3.02%)
カリタス女子(50)29.45%(サピックスは9.39%、早稲田アカデミーは9.06%)

広いエリアでの日能研の強さは、千葉の学校での実績の高さにも出ています。

昭和学院秀英(59)25.00%(サピックスは16.67%、早稲田アカデミーは18.87%)
専修大松戸(53)29.54%(サピックスは11.81%、早稲田アカデミーは14.21%)
開智(55)55.18%(サピックスは12.63%、早稲田アカデミーは10.54%)
 

その他、東京の女子校で近年注目を集めている学校でも強さを発揮しています。

山脇学園(51)28.89%(サピックスは6.91%、早稲田アカデミーは14.57%)
東京女学館(51)25.09%(サピックスは22.32%、早稲田アカデミーは10.21%)
香蘭女学校(52)29.47%(サピックスは12.11%、早稲田アカデミーは15.26%)

また、大学付属校の中で以下の学校での学校比のアップが目立ちました。

学習院中等科(54)24.91%(昨年度は18.52%)
明治大明治(61)25.36%(昨年度は15.50%)
  

いずれも毎年高い人気を集めている学校です。

【早稲田アカデミー】
〜早稲田はじめ大学付属校での優位は譲らず。

早稲田アカデミーの学校比ベストテンは以下の通りです。

《早稲田アカデミー2015年度 学校比ベストテン》
早稲田高等学院(62)51.82%
早稲田実業(66)40.13%
明治大明治(61)37.86%
早稲田(65)35.36%
武蔵(63)33.51%
立教新座(59)32.37%
女子学院(70)27.35%
慶應中等部(68)25.71%
筑波大附属(69)25.00%
学習院中等科(54)23.86%

本年度も、早稲田付属校での実績は堅実な強さが見られる結果となりました。

早稲田(65)35.36%(サピックスは33.78%、日能研は25.23%)
早稲田実業(66)40.13%(サピックスは33.12%、日能研は19.75%)
早稲田高等学院(62)51.82%(サピックスは43.80%、日能研は12.41%)

今年は共学校の早稲田実業でサピックスの猛追を受けました(2014年度実績は早稲田アカデミーが46.95%、サピックスが20.73%)。ここにもサンデーショックの影響がある可能性があります。女子の上位生が1日に早稲田実業、2日に他校を受験することが可能となり、サピックス生の中で早稲田実業を1日に選んだケースが増えたとも考えられます。いずれにしても早稲田系での牙城はしっかり守った結果となりました。

女子最難関校での躍進も光りました。

女子学院(70)27.35%(昨年度は18.31%)
フェリス女学院(66)14.50%(昨年度は7.29%)

いずれもサンデーショックの影響が大ですが、こうした最難関校でも早稲田アカデミーが確実に実績を挙げてきていることが証明されました。

また、東京男子御三家のうち武蔵については、早稲田アカデミーの強さが近年大変目立っています。今年も変わらずその強さを見せた結果となりました。

武蔵(63)33.51%(サピックスは21.08%、日能研は28.65%)

千葉・茨城の学校での実績の伸びも注目に値します。これまでこのエリアは日能研と市進学院が高い数値を挙げていましたが、今年の結果を見ると、早稲田アカデミーがそこに参戦してきている様子が見てとれます。江戸川取手では市進学院の高い壁がありますが、今後の動きに注意が必要です。

昭和学院秀英(59)18.87%(日能研は25.00%、市進学院は15.69%)
江戸川取手(57)16.12%(日能研は13.22%、市進学院は32.75%)

早稲田アカデミーの特徴として大学付属校での強さもあります。今年も早稲田系はもちろんのこと、明治、法政、中央、立教の付属校で高い数値を維持しています。

明治大明治(61)37.86% (サピックスは21.43%、日能研は25.36%)
立教池袋(57)21.17%(サピックスは31.39%、日能研は18.25%)
中央大附属(52)22.45%(サピックスは11.02%、日能研は21.63%)
法政大(54)28.13%(サピックスは16.52%、日能研は22.77%)

【市進学院】
〜千葉・茨城地区での高い実績を堅持。

市進学院の学校比ベストテンは以下の通りです。

《市進学院2015年度 学校比ベストテン》
江戸川取手(57) 32.75%
芝浦工大柏(54)20.91%
昭和学院秀英(59)15.69%
東邦大東邦(62)13.12%
市川(64)12.26%
共立女子(52)8.20%
青山学院(58)7.10%
渋谷教育幕張(71)6.78%
西武学園文理(51)6.72%
筑波大附属(69)6.25%

市進学院といえば千葉県・市川市から塾展開をスタートしたこともあり、千葉地区での実績ではこれまでも高い評価を得てきました。今年度も千葉の学校が多くランクインしています。

千葉最難関校の渋谷幕張・市川・東邦大東邦については以下の通りの結果となりました。いずれも絶対的な全体塾生数の違いもあり、学校比では20%に届かない水準になりました。

渋谷教育幕張(71)6.78%(サピックスは42.25%、日能研は22.64%)
市川(64)12.26%(サピックスは34.90%、日能研は20.21%)
東邦大東邦(62)13.12%(サピックスは31.69%、日能研は22.83%)

それでも以下の学校では、広いエリアで強さを発揮する日能研に及ばない学校こそありますが、市進学院の強さを見せています。

麗澤(51)17.73%(日能研は22.70%、早稲田アカデミーは8.51%)
国府台女子(51)12.12%(日能研は37.58%、早稲田アカデミーは10.30%)
千葉日大一(42)23.25%(日能研は17.09%、早稲田アカデミーは11.97%)

また、以下の学校で昨年度からの大きな数値のアップが見られました。

 
青山学院(58)7.10%(昨年度は1.10%)
栄光学園(66)2.52%(昨年度は1.06%)
フェリス女学院(66)3.00%(昨年度は1.56%)

神奈川の男子、女子ともに最難関と言われる学校で数値を伸ばしたことは、今後の市進学院の神奈川での躍進を大いに期待させるものです。

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