第3回 分配算・差分け算
斎藤講師(鉄人会スーパープロ家庭教師)
今回は決められた割合にしたがってお金などを分配する問題を考えます。その中で,もとにする量(基準量)が同じ問題だけを取り上げますが、これはもとにする量(基準量)が異なる問題への基礎となるとらえ方ですから、しっかりと理解するようにしましょう。
線分図のとらえ方は第1回と同じになり、考え方は第2回の相当算と同じになります。割合関係を和の線分図や差の線分図に表しながら、実際の単位がある量がどれだけの割合にあたるのかを求めればよいのです。
差の線分図は書ける人が多いと思うので、差の線分図の方がとらえやすい問題を除いてはできるだけ和の線分図でとらえてみます。ここに出てくる問題は、割合関係を比に表して解くこともできます。しかし、比を最初から使おうとするのではなく、問題文をそのまま線分図に表せるように練習してください。比でとらえるのは線分図に表してからでも遅くはありません。最終的には比にたどり着きますが、理解できないのにもかかわらず、早くできるからという理由で比を使って教えたり考えようとするのは、かえって理解をさまたげることにもなります。
割合で分からないから比で解くのだという意見あるかもしれませんが、割合が理解できないと比は理解できません。多くの指導内容でも必ず割合の後に比が出てくることからも分かります。個人的な体験からすると、割合で解ける問題は割合で解いてしまえばいいと思います。テストでは制限時間の関係で、速く解けるようになることが求められるので、比が必要ないとは思いません。しかし、あくまで理解することのほうが優先されるべきだと思います。割合を十分理解していれば、自然に少しずつ比で解くようになっていきます。
[例題1]分配算-余りの出ない割合関係
次の問いに答えなさい。
- (1) 兄弟が父からもらった3000円のおこづかいを分けようと思います。兄が弟の4倍になるように分けると、兄と弟がもらうお金はそれぞれ何円ですか。
- (2) 60枚の折り紙があります。姉が妹の倍の枚数をもらうとき、姉と妹はそれぞれ何枚もらうことになりますか。
- (3) 2.7の水をコップでくみ出します。大きいコップでちょうど2杯くみ出したあと、小さいコップでちょうど4杯くみ出すとなくなりました。小さいコップは大きいコップの40%の大きさです。大きいコップと小さいコップはそれぞれ1杯で何mずつくめますか。
[解説]
(1)
これは整数の割合とみることができます。もとにする量は弟のもらうお金です。3000円が弟のおこづかいの5倍にあたるので、弟は3000÷5=600円、兄は3000-600=2400円をもらいます。
(2) もとにする量は妹のもらう枚数です。60枚の折り紙が妹の1倍にあたるので、妹は60÷1=36枚、姉は60-36=24枚をもらいます。
(3) もとにする量は大きいコップ1杯の容積です。小さいコップは大きいコップの40%=の割合です。すると、2.7=2700mが1×2+×4=3にあたるので、大きいコップは2700÷3=750m、小さいコップは750×=300mです。
[練習1](解答はこの回の最後にあります。)
次の問いに答えなさい。(必ず線分図を書くようにしましょう)
- (1) ある日の昼の時間が夜の時間の1になりました。昼の時間は何時間何分ですか。
- (2) ある日、まり子さんたちは、子ども10人と大人4人で遊園地に行きました。入園料は子ども1人が大人1人のとが同じ料金でした。まり子さんたちの入園料は全部で3500円でした。子ども1人の入園料はいくらですか。
[例題2]分配算-余りの出る割合関係
次の問いに答えなさい。
- (1) 整数Aから整数Bをひくと700になり、AをBでわると商が15で余りが28になります。整数Aはいくらですか。
- (2) 兄弟2人でためた貯金が8700円になりました。兄は弟の3倍より2400円少なくなるよう分けると、兄がもらうお金は何円ですか。
- (3) A,B,Cの3人の持っているおこづかいの額は,AはBより1200円多く、BはCの1.4倍より400円少ない額です。3人の持っているおこづかいの合計が6100円のとき、Bが持っている金額を求めなさい。1700円
[解説]
(1)
ここでは差が分かっているので、和の線分図より差の線分図(図1)の方がとらえやすいでしょう。「AをBでわると商が15で余りが28」ということは、AはBの15倍より28多いということになります。線分図から700-28=672が15-1=14にあたることが分かります。このことから、整数Bは672 ÷14=48となり、整数Aは48+700=748です。
(2) これは和が分かっているので、和の線分図(図2)でとらえましょう。兄は弟の3倍に2400円足りないので、あと2400円あればちょうど3倍になります。8700+2400=11000円が1+3=4にあたることが分かります。弟のもらうお金は11100÷4=2750円になり、兄がもらう金額は8700-2750=5950円になります。
(3) おこづかいがもっとも少ないCをもとにして考えます。Cをもとにすると、AはCの1.4倍より1200-400=800円多くなります。これは差の線分図(図3)でとらえると分かりやすくなります。和で表すときは、Cを真ん中するととらえやすくなります。(図4)6100-800+400=5700円が1+1.4+1.4=3.8にあたるので,5700÷3.8=1500円がCのおこづかいです。Bのおこづかいは1500×1.4-400=1700円になります。
[練習2](解答はこの回の最後にあります。)
- (1) 2つの整数A,Bがあり、Aの2倍とBの和は2207です。また、AをBでわると、商は5であまりは23になりました。整数A,Bはそれぞれいくつですか。
- (2) 700枚の紙を,さとし君、よしお君、たける君の3人に配りました。さとし君はよしお君より17枚多く、たける君はよしお君の1.2倍より11枚多くもらいました。3人はそれぞれ何枚もらいましたか。
- (3) A,B,C,D4人のおこづかいについて次のことが分かっています。AはBのお金の2倍より200円多い。BはDより500円多い。CはAより1100円少なく、Dの3倍より100円少ない。4人のおこづかいの合計は3000円。このとき、4人の所持金はそれぞれいくらですか。
[例題3]余りの出る相当算
次の問いに答えなさい。
- (1) A,Bの2種頬のセーターがあります。AはBよりも3500円高く、BはAのよりも800円安くなっています。Bのセーターは何円ですか。
- (2) BはAより360円少なく、AはCより450円多く持っています。Cが持っているお金は3人の合計のにあたります。3人の持っているお金はそれぞれ何円ですか。
[解説]
(1)
ここは差が分かっているので差の線分図でとらえましょう。図1のように表せば、3500-800=2700円が1-=にあたることが分かります。このことから、Aは2700÷=6300円になり、Bの値段は6300-3500=2800円になります。
(2) 一見すると差の線分図を利用した方がよさそうに見えますが、全体の合計金額をもとにしているので、相当算として和の線分図に持ち込んだほうがいいでしょう。しかし、3人の差をとらえるには差の方が分かりやすいので、ここでも両方の線分図で表してみましょう。差の線分図(図2)から、BはCより450-360=90円多いことが分かります。和の線分図(図3)ではやはり、Cを真ん中にして線分図を書きます。前回の相当算の時と同じようにして考えれば、450+90=540円が1- ×3=にあたることが分かります。全体の合計金額は540÷ =4590円になります。Cのお金は4590 =1350円 Aは1350+450=1800円、Bは1350+90=1440円になります。
[練習3](解答はこの回の最後にあります。)
- (1) 4つの数A,B,C,Dを加えると180になり、Aの5倍、Bの、Cに5を加えた数、Dから5をひいた数はみな等しくなります。Aはいくつですか。
- (2) A,B,C3人の所持金を比べると、AはBよりも200円多く、BはCよりも300円多く持ってました。また、Cの持っていたお金は3人の持っていたお金の和のでした。Aの持っていたお金はいくらですか。
◆練習問題の解答
(練習1)(1)10時間40分(2)210円
(練習2)(1)A…312、B…1583
(2)A…227枚、B…210枚,C…263枚
(3)A…1600円、B…700円、C…500円、D…200円
(練習3)(1)5 (2)1500円