第23回 - 頻出の化学物質 -
安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)
中学受験の理科では、大問4問のうち1問から2問は、ものの性質(化学物質)について問われています。例えば、麻布中学と開成中学の平成12年から14年の入試問題理科の内容は、次のようでした。
麻布中学:
平成14年度
- 第1問:タンパク質のつくられ方(生物分野:狂牛病のプリオン感染経路)
- 第2問:ものの重さと体積(化学分野:金属)
- 第3問:大気の温度について(地学分野)
- 第4問:物体の落下運動(物理分野)
平成13年度
- 第1問:鉄の強さ(物理分野、化学分野)
- 第2問:気体の発生(化学分野:金属の反応)
- 第3問:食品に含まれる成分(生物分野)
- 第4問:海底の拡大(地学分野)
平成12年度
- 第1問:花の咲く条件(生物分野)
- 第2問:音の伝わり方(物理分野)
- 第3問:ものの溶け方(化学分野)
- 第4問:水や空気の渦(地学分野)
開成中学:
平成14年度
- 第1問:温度と水の変化、熱の伝わり方(化学分野)
- 第2問:顕微鏡の使い方、水中の小さな生物(生物分野)
- 第3問:オリオン座の動きと見え方(地学分野)
- 第4問:力のつりあい(物理分野)
平成13年度
- 第1問:水溶液の性質、気体の発生(化学分野)
- 第2問:種子の発芽とその条件(生物分野)
- 第3問:地球と宇宙の総合問題(地学分野)
- 第4問:電磁石、力のつりあい(物理分野)
平成12年度
- 第1問:水の循環、状態変化、性質(地学分野と物理分野、生物分野、化学分野の総合問題)
- 第2問:水の性質と生物とのかかわり(生物分野、化学分野)
- 第3問:川のはたらき(地学分野、生物分野、化学分野)
このように、出題番号は不定ですが、物理、化学、生物、地学の4つの分野からまんべんなく出題されています。そして、化学分野から、ものの性質や実験については、必ず出題されるとみていいでしょう。内容的にも、中学課程だけではなく、高校課程や大学受験を相当意識しています。中高一貫校では、中学1年から中学課程と高校課程を混合した内容を履修することが多いことから考えても、それらにつながる設問があるのは当然かもしれません。特に、元素周期表や詳細な化学式、化学反応式を中学から詳細に習うようになってきているので、それを意識した出題が目立ちます。この傾向は、どの中学の入試問題でも共通といえます。
そこで、ものの性質(化学分野)で入試に出題されやすい内容を整理すると、次の通りとなっています。
- 1) 金属の反応と性質(鉄、銅、銀、亜鉛、アルミニウムなど)
- 2) 気体の反応と性質(酸素、二酸化炭素、水素、塩化水素など)
- 3) 水の性質(沸点、融点、水蒸気、氷、密度など)
- 4) 実験や工業で使用する化学物質(塩酸、硝酸、水酸化ナトリウムなど)
- 5) 日常生活にかかわる物質(酸性物質(酢など)、アルカリ性物質(石けんなど)、食塩、砂糖、水など)
今後、このコーナーでは、上の各項目について詳細に調べて対策を練っていきます。