面白くて得点源になる理科のはなし

第21回 - 力の問題 -

安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)

 

 中学受験理科では、中学課程や高校課程と直接つながる内容を習います。力学分野では、重力、作用反作用、支点、作用点、力点、浮力、てんびんの重さときょりの関係(力のモーメント)、ばねのしくみ(フックの法則、単振動につながる)、速度などが主体となってきます。

 中学受験の理科力学分野で受験生に期待されているのは次の通りです。

  • 1) 力のはたらく地点、向き、大きさを図で理解すること、
  • 2) 比例関係を利用した計算問題

 1) は、特に高校課程物理以上で、三角関数などの力学的問題の最も根本的な基礎となります。
力の様子をイメージすることで、数式であらわすことができます。従って、物理的センスを養うためにも、小学生に早めに学習させるのでしょう。

 例を挙げると、次のような場合があります。

 例1: 作用と反作用は、反対方向に同じ強さではたらく。(ことばだけだと理解しにくいですが、図を見ると、とてもわかりやすくて理解できますね。)

作用と反作用の図

  例2: 水中の物体(ぶったい)には、浮力(ふ力)がはたらくので、実際に下向きに働く力は、重力より小さい。浮力は、重力と反対向きに働く。
 重力が10kg重、浮力が2kg重のとき、実際に物体には、重力と同じ向きに8kg重がはたらく。

水中の重力の図

 2)比例関係は、理科や算数で最も要求されている思考力といえます。そして、この比例関係は、中学課程以降(高校、大学以降も含めて)の理系の最も基礎的な思考となります。力学では、てこと滑車、ばねののびなどで比例関係の計算をします。重さと長さの関係に注目します。中学受験では、簡便でわかりやすい比例を中心にとりあげます。まずは、下のような基本的な比例を確実に理解することが大事になります。

  例1: ばねの長さとおもりの重さ(フックの法則)

10cmのばねに、10gのおもりをつけると12cmになる(2cmのびる)
20gのおもりをつけると14cmになる(4cmのびる)
30gのおもりをつけると16cmになる(6cmのびる)
40gのおもりをつけると18cmになる(8cmのびる)

  例2:てんびんにおもりをつるすとき、重心からの反対側のきょり×おもりの重さは等しい。

てんびん図

40cm×30g=24cm×50g=120
あるいは、
40cm:24cm = 50g:30g
あるいは、
40cm  = 50g
24cm  = 30g

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