第11回 - 出題されやすい植物1 -
安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)
夏休みが過ぎて9月に入ると、だんだんと秋の気分になってきます。しかし、暑さはしばらく続きますし、代表的な夏の花も相変わらず咲いています。
例えば、9月や10月の早朝にアサガオが盛んに咲いていて驚くことがあります。これは以外に思えるかもしれませんが、アサガオが短日性をもつ短日植物なので自然な現象です。短日性(一日の夜の長さ(暗期)が一定時間以上長くなると開花する性質)をもつ短日植物は、最も暗期が短い夏至の日(6月20日頃)以降から冬に向かって開花します。アサガオが咲くのは、夏になって気温が高いから咲いているわけではなく、日が短くなったからというのが原因ということです。短日性と長日性(暗期が一定時間以上短くなると開花する性質)については、通常高校生物の課程で本格的に習いますが、中学受験のテキストや参考書で扱っています。それは、アサガオのように小学理科で詳しく扱う植物がもっている重要な性質の一つなので、自然の摂理として覚えてもらうほうがより望ましいからだと思います。
短日植物にはアサガオ、イネ(胚や胚乳の様子、単子葉植物、デンプン、不完全花)、キク(小さい花が集まった集合花)、コスモス(キク科の仲間)、ダイズ(マメ科)、オナモミなどがあり、長日植物にはアブラナ(アブラナ科で4枚の花びらからなる)、キャベツ(アブラナ科でモンシロチョウのえさとしてアブラナとともによく出題される)、ダイコン(アブラナ科)、コムギ(単子葉植物、イネと同様にデンプン質を多く含む重要な作物)、アヤメ(単子葉植物で3枚単位の花びらからなる)など、そして短日性も長日性もない中性植物にはセイヨウタンポポ(キク科で葉がロゼット状に地面に張り付く、帰化植物)、トマト(ナス科で食用作物)、ナスなどがあり、どれも小学理科で扱う重要な植物です。
長日植物は春から夏にかけて咲く花、短日植物は夏から秋以降に咲く花に多いという特徴があります。小学生自身に栽培と観察をしてもらい、詳細を習うことになっています。
例えば、種の形態(大きさ、三角錐様の形、黒色など)、種まきの時期(4月から5月)、発芽の様子(最初にふた葉が芽生え、本葉1枚がつるについている様子)、つる性植物としての性質(支柱が必要で、支柱につる状の茎が右巻きに巻きつく)開花時間(早朝に開花し数時間でしぼむ)、花の様子(合弁花という5枚の花びらが接着した形態)、などです。
小学生はこれらの細かい内容を概ねよく把握できるようです。他の重要な植物を含めて応用問題で詳しく問われると思いますので、正確に整理して覚えてください。