第10回 - 人体のしくみ 生殖器官 -
安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)
人体のしくみは中学受験理科の中で頻出事項です。特に、受精と生殖については、ヒトとほ乳類、鳥類を含めて小学理科でかなり詳しく習います。保健体育の内容とも重なることもあり、年齢に見合った適切な教育項目として取り上げられているのでしょう。また、クローニング、体外受精、代理母といった先端科学技術と社会事情とも関連しており、現代人の知識として早くから知る必要が増えました。
まずは、男性生殖器(輸精管、精巣、ぼうこうや尿道とのつながり)と女性生殖器(卵巣、輸卵管、子宮、ちつ)の違いと部位の名称が問われます。
特に、女性の排卵(卵巣からの1ヶ月ごとの排卵や、輸卵管での受精、受精卵の子宮への移動と着床)、妊娠(胎盤、羊水)、妊娠期間(280日)が必要事項となります。ヒト(あるいはほ乳類)では、卵黄や尿のう(老廃物を貯蔵する部分)が未発達ですが、これは胎盤を通して養分供給(母体の動脈)と老廃物の排出があるからです。
対照的に、鳥類では母体からの供給が断たれるため、卵黄や尿のうが発達しています。
女性あるいはメスの生殖器から出された卵と、男性あるいはオスの生殖器から出された精子が受精する様子についてもある程度詳細な知識が必要です。
卵のほうが精子より大きいが、数は精子が圧倒的に多いこと、精子の形態(頭部、中片、尾部(べん毛))は必ず図や写真で習います。
要注意なのは、受精は動物だけではなく植物でも行われ、そのしくみは同じということです。受精する植物は、被子植物(単子葉植物のイネやコムギなど、双子葉植物のモモ、カキなど)、裸子植物(イチョウ、ソテツなど)、シダ植物(ワラビ、ゼンマイなど)、コケ植物(スギゴケ、ゼニゴケなど)、藻類(シャジクモなど)があります。
裸子植物、シダ植物、コケ植物、シャジクモでは精子と卵が合体しますが、被子植物では、精子のかわりに精細胞が卵と合体します。
これは、被子植物では花粉が柱頭について受粉することによって受精が行われるので、水中を精子が泳いでいけないからです。