第7回 - 生物分野 人体その2 -
安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)
前回(人体その1)の中で、人体の部位(重要な器官、組織、細胞)の名称と位置、働きを、完全に暗記する必要性を述べました。今回は、それを踏まえた応用問題について考えてみます。
生物分野の総合問題として最頻出なのは、ヒトと他の動物との比較問題です。理科総合の要点集を見ると、必ず一項目になっています。
まず、セキツイ動物間の比較があります。セキツイ動物は、魚類、両生類、は虫類、鳥類、ほ乳類(ヒトを含む)で、背骨(脊椎)をもつという特徴があります。その中で、同じほ乳類綱内のヒト以外の動物、あるいは哺乳類以外のセキツイ動物を、ヒトと比較させることがあります。その主な内容は次の通りです。
体温(変温動物(魚類、両生類、は虫類)か、恒温動物(鳥類、哺乳類)か)、
呼吸(えら呼吸(魚類)、両生類の幼生(オタマジャクシなど))、皮膚呼吸(両生類)か、肺呼吸(は虫類、鳥類、ほ乳類))
生殖器系(卵生(魚類、両生類、は虫類、鳥類)か胎生(ほ乳類)か)、
循環器系(心臓(心房と心室のつくりで、1心房1心室(魚類)、2心房1心室(両生類、は虫類)、2心房2心室(鳥類、ほ乳類))、
脳のつくり(大脳(前脳)、中脳、小脳(後脳)、間脳、延髄)、
排出系(腎臓は共通、排出物はアンモニア(魚類、両生類の幼生)、尿素(両生類、ほ乳類、)、尿酸(は虫類、鳥類))、
消化器系(消化器官はほぼ共通している)
体表(うろこ(魚類、は虫類)、粘膜(両生類)、羽毛(鳥類)、体毛(ほ乳類))、
生活場所(水生(魚類、両生類の幼生、は虫類、ほ乳類(クジラ、イルカ、オットセイ、ジュゴンなど))か、陸生(は虫類、鳥類、ほ乳類)か)
より詳細な内容は出題されないはずですが、特徴をすべて踏まえた上で総合して答える考察問題が、よく問われます。
例題を挙げますと、
問い:魚類は赤血球をもつか?
答え:持ちます。(セキツイ動物は赤血球を持ち、無セキツイ動物はもたない)
このことは直接的には習いません。しかし、血液(赤血球、白血球、血しょう、血小板)とセキツイ動物は重要事項として習うので、少しひねって質問されることは考えられます。
また、上述したように、セキツイ動物では消化器がほぼ共通しているので、各動物の解剖図を比較して、胃、肝臓、心臓、肺、肺動脈、肺静脈は、それぞれどれか、問われることもあるでしょう。
このように、意外な盲点を突いてくる問題について、今後もできるだけお話していきます。