第2回 - 植物となかよしになろう その1 -
安達めぐみ講師(鉄人会レギュラープロ家庭教師)
お元気ですか?6月に入って紫陽花の季節になりました。藍色、紫色、桃色など、多彩な紫陽花を見ていると心が潤います。
中学受験理科でも、生物分野の植物の教材として、この紫陽花(和名でアジサイ)が取り上げられることがあります。アジサイの4枚の花びら(装飾花)と思われている部分は、実は、ガク(ガク片)です。
真の花は、花弁の基部にくっついている点のような部分です。クリスマスの時期に人気のあるポインセチアもこのタイプで、観賞する赤い部分が葉であり、真の花はごく小さいですね。
アジサイは、落葉性低木で、挿し木で増やします。
これは、遺伝子型が全く同じクローンを増やしてよい性質を保存し、それらを栽培して市場に出荷するためです。
このような生物学、農学の詳細な知識を中学受験生は覚える必要があります。小学生理科では、ジャガイモ、サツマイモ、アサガオ、ヒマワリなど、実生活で馴染んでいて分かりやすい材料を教材にしています。それらの形態の観察や栽培を通じて、生物学的分類や生理的成長の特徴を学びます。
教科書や参考書、塾のテキストでも、カラフルな写真や図はあるのでどんどん暗記しやすくはなっています。
しかし、百聞は一見に如かず、です。少しでも機会があれば、実物に触れて、テキストや図鑑等と比較するように心掛けることが、理科を得意にするコツだといえます。
例えば、庭・畑仕事の時、花屋さんに行った時、花束をもらった時には、花や葉の細かい観察ができます。花弁が5枚で離れている離弁花のタイプなのか、それともアサガオのような花びらが離れていない合弁花タイプなのかなど、嫌々暗記するよりずっと楽しいはずです。
料理の時もジャガイモやサツマイモを比較して芽の様子を観察できます。
また、ハイキングの時、冠婚葬祭の時など、植物や自然と触れ合う機会はどこかであるはずです。
子どもは、興味があれば大人でもびっくりするくらい細かい知識を覚えることがありますし、興味がなくても経験のなかで親しみが増していくものだと思います。
写真やカラフルな絵は白黒の文字や図よりずっとわかりやすくしてくれますが、本というものは平面的なものです。
どうしても、立体的で常時変化していく本物にはかなわないわけです。
今後もこのコーナーでは、中学受験理科の重要な植物を取り上げて、興味深い内容を提供していきたいと思います。