2018.8.9配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
筑駒 貝塚正輝のもう中学受験塾はいらない!(志望校合格をたぐり寄せる、過去問演習の鉄則とコツとは?)
今回の目次は以下の通りです。
1.なぜ過去問演習が不可欠なのか?
- (1) 志望校の問題傾向、時間配分に慣れることができる唯一の教材であるから。
- (2) 受験生のモチベーションを上げる効果があるから。
- (3) 苦手分野を克服しなければ志望校に合格できないと自覚できるから。
2.過去問をより有効活用するための演習の進め方とは?
(1) 過去問はどれくらい解けばよいのか?
- @ 第一志望校:10回分(10年分または5年分×2回)、少なくとも7、8回分
- A 第二、三志望校:6〜8回分
- B 第四志望校以下:3、4回分
(2) 古い年度から解くのか?新しい年度から解くのか?
3.過去問演習はいつから始めればよいのか?
- (1) 過去問演習は夏休みから始めましょう。
- (2) なぜ過去問演習を夏休みから始める必要があるのか?
4.過去問演習をより効果的にするために必要なこととは?
- (1) 目標点を「合格者最低点」に設定する。
- (2) 『過去問演習記録表』を活用する。
5.まとめ
こんにちは!入試対策室の貝塚です。
夏休みも中盤を迎え、6年生の方々は9月からの本格的な志望校対策に向けて、日々演習を重ねておられることでしょう。塾によってはすでに過去の入試問題(以下、過去問)の演習をスタートしているところもありますが、この過去問演習こそが志望校合格のための最重要プロセスなのです。
今回は、過去問演習を進めるうえで、ぜひご注意頂きたいポイントをお伝えしていきます。
1.なぜ過去問演習が不可欠なのか?
まず大前提として、過去問演習が以下の3つの理由から、志望校対策において不可欠であること を認識しておいてください。
(1) 志望校の問題傾向、時間配分に慣れることができる唯一の教材であるから。
中学受験の入試問題は学校によって傾向が大きく異なります。例えば国語で記述問題が多いのか、 記号選択問題が多いのか、算数で解答のみの形式か、式や考え方をかかせる形式なのか。また、制限時間の中で、どのように自分の解答時間を配分するかは、過去問でしかわからないことです。そうした問題傾向、時間配分を知るためには、過去問を演習することが最も早く的確なアプローチとなります。
(2) 受験生のモチベーションを上げる効果があるから。
自分が解く問題に志望校の名前があるだけでも、その学校を受験するのだという自覚が芽生えます。同時に緊張感も高まりますが、その緊張感が集中力をアップさせる効果があるのです。
(3) 苦手分野を克服しなければ志望校に合格できないと自覚できるから。
苦手分野をピックアップして対策するのは模試や普段のテキストでもできることでは、と思われるでしょうが、過去問であるからこそ、より高い点数を求める気持ちになり、だからこそ誤答への悔しさもより強くなります。間違いの原因がどこにあったのか、それを振り返る際に悔しさがあることが、苦手な問題を克服しようという精神面での下支えになるのです。
2.過去問をより有効活用するための演習の進め方とは?
このように志望校対策において不可欠である過去問を有効活用するには、どのように解き進めて いけばよいのでしょうか。ここからは具体的な進め方について触れていきます。
(1) 過去問はどれくらい解けばよいのか?
小学生のお子さんにとって問題傾向を認識することは、決して簡単ではありません。少しでも多く問題を解いておきたいところですが、時間に制限があります。ひとつの目安が以下の通りです。
- 第一志望校:10回分(10年分または5年分×2回)、少なくとも7、8回分
- 第二、三志望校:6〜8回分
- 第四志望校以下:3、4回分
ただし、1月校を併願でお考えの際に、ぜひ気をつけて頂きたいことがあります。市川、渋谷幕張、浦和明の星などの1月校の中でも難関と称される学校は、問題傾向がかなり特殊で、非常に解きづらいことがあります。そうした学校を志望される際には、第一志望でなくとも7、8回以上は演習しておく必要がありますので、十分に注意しておいてください。
(2) 古い年度から解くのか?新しい年度から解くのか?
必ずどちらかでなくてはいけない、というルールはありませんが、古い年度から最近の年度へと解き進める方がよいでしょう。というのも、問題傾向がわずかでも変わっている学校の場合は、より最近の傾向に合った問題を入試近い時期に演習した方が、最新の傾向をインプットして入試に臨むことができるからです。
ただし、最新年度の問題は、最後のシミュレーション用として使えるので、演習する順番を最後にした方がよいです。
3.過去問演習はいつから始めればよいのか?
(1) 過去問演習は夏休みから始めましょう。
科目によっての違いがはありますが、できれば夏休み中に演習をスタートさせましょう。国語は、未習単元がほとんどないので、早めの時期からのスタートが可能ですし、他の3科目も基礎的な力を身につけたうえで、少しでも早めにスタートしておきたいところです。
(2) なぜ過去問演習を夏休みから始める必要があるのか?
夏休みから過去問演習をスタートするのは早いのではないか、とお考えになるかもしれませんが、先程お伝えした過去問の演習量から考えると、夏休み中に始めなければ入試本番までに間に合わなくなってしまう危険性があるのです。
例えば、第一志望校を10回分、第二志望校を8回分、第三志望を6回分、第四志望以下(2校)で4回分×2校=8回分としても、全部で10+8+6+8=32回分となり、毎週2回分というペースで進めても16週=約4か月が必要です。1月校は早めに仕上げる必要があること、学校によってはプラスアルファの演習が必要であることなどを考えると、毎週2回以上のペースとなり、それを維持するのは、かなり大きな負担となります。本格的な演習は9月以降からとしても、ぜひ夏休み中から解ける問題だけでも解き始めておきましょう。
4.過去問演習をより効果的にするために必要なこととは?
(1) 目標点を「合格者最低点」に設定する。
合格するための基準点はあくまで「合格者最低点」です。「合格者平均点」は、上位合格者が大きく点数を上げている可能性がありますので、あくまで参考とすればよいでしょう。特に過去問を解き始めてすぐは、驚くくらいに点数がとれないケースが多くあります。まだ問題の傾向に慣れていないこと、過去問だからこそ少しでも高い点数をとりたいという気持ちから、普段はできている見直しや時間配分への意識が抜けてしまうことなどが理由として考えられます。
過去問を解き始めた段階での点数に左右されることなく、まずは「受験者平均点」を目標に、それがクリアされたら「合格者最低点」へと目標をアップさせていきましょう。
(2) 『過去問演習記録表』を活用する。
過去問をただ解いて終わりにしてしまっていては、演習した時間すら無駄になってしまいます。
間違えた問題をしっかりと復習することはもちろんですが、演習の結果をエクセルなどで管理しておくことで、点数が一目のもとにまとめられ、課題もより克明に把握できます。
鉄人会のHPより『過去問演習記録表』が無料でダウンロードできます(記入例もございます)ので、ぜひご活用ください。
5.まとめ
過去問演習は志望校の問題傾向、時間配分を知ることのできる唯一の教材であるだけでなく、苦手分野を克服しなければ志望校に合格できないと自覚できるという点でも、志望校対策に不可欠な最高の教材なのです。その教材を有効に活用するためには、第一志望であれば10回分など、十分な演習量が必要になります。そのため、過去問演習は夏休みからスタートすることが望ましいのです。過去問はただ演習して終わりにしてしまっては、効果が半減してしまいます。目標点を設定して、解き終わった問題は記録表で管理をして課題を把握する、という一連の流れがあって初めて、過去問が最高の教材となり得ることを、ぜひ心に留めておいてください。
以上、中学受験の現場から貝塚がお伝え致しました。
中学受験鉄人会 入試対策室
室長 貝塚正輝
(筑波大学附属駒場中高卒)