鉄人の一通入魂

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2018.7.24配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
なぜ、Y先生は開成の国語を簡単だと言い切るのか?

今回のメルマガは、開成の国語対策をテーマに、鉄人会にご在籍されています山浦先生へのインタビューを掲載します。
山浦先生は、男女御三家、筑駒、早慶付属校に毎年多くの合格実績を挙げておられ、開成中には平成30年、29年と合格者をお二人ずつ輩出されるなど、開成国語対策のエキスパートでいらっしゃいます。

山浦先生とのお話の中で、「開成の国語は簡単なんです!」というお言葉を何度もお聞かせ頂きました。
なぜ開成の国語は簡単なのか?
目からウロコの情報満載のインタビューです。開成志望の方だけでなく、ぜひご覧ください。

《開成の国語を簡単だと言い切れる、その意図とは?》

―男子最難関校のひとつである開成中の国語というと、とても難しい印象があります。まず開成の国語が簡単という点について、先生のお考えをお聞かせ頂けますでしょうか。

山浦先生:みなさん誤解されていますが、開成の国語は実に簡単なんですよ。その理由をこれからお話していきますね。
ただし、このお話にはひとつ前提がありまして、塾のテストで算数・理科・社会は80%以上の高得点をとれるのに、国語だけがどうしてもとれない、そんなお子さんを対象としたお話になります。
さて、開成の国語が簡単な理由、その1つ目は、点数のとり方にあります。合格するためには開成の国語は何点をとればよいのかを見てみましょう。過去のデータを見ても、年度によって多少のばらつきはありますが、85点満点で50点を取れば、合格平均点に達するんです。あとは他の3科目をしっかりとれば合格に一気に近づくんですね。

―たしかに85点中の50点ということは約60%ですから、頑張れば届くと思える水準ですね。

山浦先生:そうなんです。しかもその50点もちゃんとした取り方があります。それは後程ゆっくりお話するとして、国語が簡単なもう1つの理由、それは、問題の特徴にあります。開成の国語は漢字以外は字数制限のない記述問題がほとんどです。しかも文章は長いものは出されない。例えばサピックスの教材と比較したら3分の2くらいですよ。そして制限時間は50分ある。時間は十分にあるんです。ここに攻略のポイントがあるんですよ。

―記述問題と聞くと、どうしても点数が取りづらいという印象もありますが?

山浦先生:いや、そんなことはないです。例えば選択肢問題が多くて、その区別もしづらい問題を出す、聖光学院などの方がずっと大変だと私は思いますよ。開成の国語には確たる攻略の方法があるんです。

―ではまず、点数のとり方から詳しく教えて頂けますでしょうか。

山浦先生:先程50点をとる、とお話しましたが、まず大事なのは漢字です。開成では漢字が5問出されます。1問2点として10点。この10点を必ず満点とることです。開成の漢字は難しくないんです。毎日の漢字練習をしっかりしておけば満点がとれます。
これで漢字以外の読解の記述問題で、50点−10点=40点をとればよいことになります。
記述問題での得点の仕方、それが開成攻略の最大のポイントです。それは「各問で部分点をもぎ取ること」なんです。10点中の3点でもいいから、絶対にバツをくらわない、とにかく部分点をもぎ取るということです。
漢字で10点を確保して、残りの問題で何としても部分点をもぎ取るようにして、点数を重ねて合計50点に達するようにする。こうした戦略を明確に立てられるのが開成の国語なんです。

《記述問題で部分点をもぎ取る方法とは?》

―なるほど、漢字の10点を除いた75点満点で40点ということは50%と少しでよいということになる。これは受験生にとっては気持ちの負担が軽くなりますね。そこで先生のおっしゃる記述問題で部分点をもぎ取るためには、どのような対策をすればよいのでしょうか。

山浦先生:そうですね。ここからは私が進めている開成対策を具体的にお話していきましょう。
まず大前提として、お子さんとの間で明確なルール決めを行うことです。最初に行うのは目標点の設定。これは先程お話した50点とします。そして次に大事なのが時間配分です。国語のテストの見直しに10分も残そうというご家庭が多いのですが、10分も必要ありません。1分でよいのです。その1分で書いた文章に誤字脱字がないかどうか、漢字で満点がとれているかどうかを見直す。それで十分なんです。
問題を解く順番は漢字からでよいでしょう。漢字は5問であれば1分で書かせるようにします。ここが大事で、漢字は考えて解くのではない、問題を見て反射的に答えが書けるように、そのために徹底的に漢字の練習をしておくことが不可欠なんです。
そして読解ですが、例えば平成29年度は物語文と詩でした。詩の問題は読むのに5分として、物語文は10分とします。すると50分から読むのに15分、漢字と見直しで2分、残り33分になりますね。平成29年度は記述が7問でしたから、1問に4,5分の配分になります。
こうしたアウトラインを子どもと共有して、ノートに1問に何分かけられるかを記入してしまうんです。

―視覚化することで、より方針が明確になりますね。

山浦先生:その通りです。さあ、ここからは練習段階での進め方なのですが、まず私は子ども達に必ず音読をさせます。内容を理解できているかどうかは、音読させれば、すぐにわかります。子ども達に、何となく読む習慣をつけさせないことです。そして本文に線や印を入れながら音読を進めさせます。

―大事なところに線を引く、ということでしょうか。

山浦先生:そこがポイントなんです。大事なところ、と言われても子ども達はどうしてよいかわからなくなる、印の入れ方、線のひき方にもルールを設けるんです。
私は子ども達に、まず段落分けをさせます。段落の区切りに線を入れる。次には、物語文であれば登場人物に○、時間と場所には□で囲いをさせます。そして、次が大事です。「登場人物の情報にあたるところ」に線を引かせるのです。例えば、登場人物の母親の実家が福岡である、そこで線を引く、父親が翻訳の会社で働いている、そこでまた線を引く、という流れです。こうして人物の情報にしぼって線を引くと、人間関係や場面設定のイメージが断然わかりやすくなるんです。よく、気持ちの変化があるところに線を引く、なんて教えられることがありますが、それができるのはサピックスの偏差値で60を超えている子ですよ。 そうでないお子さんは本文に書かれている人物の情報に線を引いていけばよい、そうして人物のバックグランドに注目すれば、それが記述に生きてくるんです。

―なるほど、文章のそんなに深いところではなく、書かれている情報に線を引けばよい。となれば、まだ幼さの残るお子さんでも、文章をよく読んで、書かれていることに線を引けばよいのですから、とても取り組みやすくなりますね。

山浦先生:そうなんです。そこで難しい指示をしてしまうと、子どもは混乱してしまうんです。情報に線を引けばよいんです。 さあ、次に大事なことは、問題にも印を入れることです。問題をよく読んでいないために、どんなに理解力があっても失点が生まれてしまう。理由を聞いているのか、事実を答えるのか、問題で聞かれているところに印をつけて、方向性が間違わないようにします。 そして解答に進みますが、まずこういう答えであろう、というイメージを頭の中でして、そのイメージに合致する情報を本文から探し出して、印をつけます。それでもまだ書き始めません。まず頭の中で答えを言ってみます。テストでなければ口に出しても構わない。まず文章化した内容を再現します。その時に気をつけるのは、よい文章を書こうとして余計な加工はせずに、本文に忠実に書かせることです。 そして何より大事なことは、書くべき情報は全部書かせることです。

―全部ですか?解答の枠内におさまるのでしょうか。

山浦先生:そこです。そこが開成対策の大きなポイントです。私はお子さんに、読める範囲で、できるだけ小さな字、豆粒のような小さな字で書くように言います。読めるギリギリの大きさで構わない、とにかく小さな字で書くように習慣づけます。そうすれば書くべき情報を全部書くことができるのです。初めに言いました通り、部分点がもぎ取れるような答案をつくる。書くべき情報がより多く含まれていれば、採点する側も部分点をつけないわけにはいかないんです。私がこれまで指導してきたお子さんで、豆粒のような字で記述することをオープンテストで実践して、それが原因で減点されたことは、これまで一度もありません。読める範囲であれば、小さい字で構わないんです。

―なるほど、減点ができない答案になるんですね。ただ、先生、多くの情報を解答に盛り込もうとすると、文章が崩れてしまうことはないですか。

山浦先生:おっしゃる通り、大事なところです。私が常々お子さん達に注意するように繰り返し言っているのが、句読点の打ち方です。前に一度指導したお子さんで、記述問題では句点(。)を全部で1回しか使ってはいけないと思っていた子がいました。そうなると文章はぐちゃぐちゃになってしまう。句点の打ち方さえ間違わなければ、少々下手でも読める文章、上手くはないがわかる文章になる。それでいいんです。あともうひとつ大事なことは、接続詞の使い方です。私は接続詞は極力使わないように言います。接続詞の使い方を間違えると、大きな減点要素になるんです。情報ごとにひとつ句点を打つ、それで結論に達していれば、わかる答案、読める答案になるんです。

―美しい文章ではなく、情報がしっかり盛り込まれた文章を作り上げるということですね。

山浦先生:一般的に、よい文章を書こうとしますよね。そうすると、情報を何でも入れるとあふれてしまうから、よい文章、美しい文章になれるような要素だけを選んで書かせようとしてしまう。その結果、大事なポイントが外れてしまう、ということが生じるのです。開成はかっこいい文章なんて求めていないんですよ。多少幼くてもよい、持てる力を精一杯発揮する子を合格させて、入学してから育ててあげる。開成をはじめ、自信がある学校は、採点に愛が込められていると言えるでしょうね。

《夏休みには漢字の徹底練習と、開成の過去問を必ず解くこと!》

―開成の問題の特徴、それに対する戦略がとてもよくわかりました。間もなく受験生は夏休みを迎えます。これからの具体的な開成対策の進め方はどのようになるでしょうか。

山浦先生:大手塾でも、開成志望のお子さんに、夏休み中はまだ開成の過去問は解いてはいけない、と教えられることがありますね。私は、夏休み中に国語だけは5年分は解かせます。 それは、9月と11月のサピックスの学校別オープンテストで偏差値60をとることを目標としているからです。先程お話した問題の解き方を、夏休みの間に徹底的にお子さん達に習得させます。私も一緒になって取り組んで、音読させて曖昧なところは直させ、文章理解に必要な情報は与えていきます。夏休み中に5年分の過去問を解くことで、「開成の国語の解き方」のベースを確立させて、9月のオープンにまず送り出します。サピックス以外の生徒さんも学校別オープンは受けられますから、同じような目標設定ができるでしょう。9月の学校別オープンの国語平均点は40点くらいです。ですので50点をとれれば、偏差値にして60に達するのです。
それと夏休みに必ずやっておくべきこと。一にも二にも漢字です。親御さんの中には、漢字の重要性をなかなか実感されていないケースがありますが、点数を下支えするのは漢字ですよ。開成では85点中の10点が漢字なんですから。まして学校別オープンの場合、読解問題の平均点が非常に低いので、漢字ができると偏差値が下がりきらないんです。
漢字は毎日15分、塾の漢字テキスト、サピックスであれば『漢字の要』をひたすら繰り返すんです。夏休み中に1回、2回は徹底してやらせます。夏に漢字脳をつくり上げる。そうすれば入試の際に、漢字の問題は考えずに解くことができるようになるんです。

―漢字脳をつくり、開成の問題で部分点をもぎ取るためのベースをつくる夏、ということですね。9月以降はいかがでしょうか。

山浦先生:サピックスであれば日曜のSS開成のように、どの塾でも9月からは開成対策講座が開かれます。この講座とのタイアップで進めていきます。どういうことか。開成の学校別講座では、優秀な先生方が、生徒の答案に情け容赦なく、厳しい採点をして返してくれます。その返された答案を、私とお子さんでしっかり吟味します。本文のどこに線を引いていたのか、どの情報を使って答案をつくったのか、といった検証を本人と徹底的に行います。夏休みの間は、線引きや情報の選び方について、よほどかけ離れていなければ、私は否定しません。お子さんが間違いを恐れてしまいますので。
9月から、この塾とのタイアップが始まってからが、本格的な印の入れ方の調整を進めていきます。それを1月まで、徹底的に繰り返して、最後には、開成の過去問直近の5年分をもう一度解いてみます。ここでは確認作業ですね。できるだけ小さな字で、必要な情報をすべて解答欄に入れる練習を仕上げるんです。

国語は算数など他の科目と違って、どうしてもファジーにとらえられているケースが多い。
私は絶対的なものを逆算してつくっていく。それがプロのすべきことと思っています。そうしてロジカルに進めていくと、お子さんもこうすれば通る、ということが見えてきて、そこからはグンと伸びていきますね。

―本日は、貴重なお話の数々を、誠に有難うございました。
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