2018.7.13配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
筑駒 貝塚正輝のもう中学受験塾はいらない!(潜伏キリシタン関連遺産が世界遺産に登録されたニュースが、来年度入試のトピックスとなる3つの理由とは?)
こんにちは!入試対策室の貝塚です。
6月30日に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(以下、潜伏キリシタン関連遺産)」が、世界文化遺産に登録されることが決定しました。
このニュースを中学受験の視点から探ってみると、「なぜキリスト教は禁じられたのか?」「世界遺産としての特徴とは?」「今後の課題とは?」の3つのポイントが浮かび上がってきます。
《なぜキリスト教は禁じられたのか?》
その答えは各時代の統治者たちが、自らの為政を揺るがす存在として、キリスト教に脅威を感じていたことにあります。戦乱期の日本を統一した豊臣秀吉によるキリシタン禁教令は、秀吉が一方で南蛮貿易を進めていたために徹底されませんでした。禁教が本格化したのは江戸幕府の統制下で、1622年の「元和の大殉教」に代表される厳しい弾圧活動が展開されたのです。
こうした17世紀から19世紀までのキリスト教禁教期に、表向きは仏教徒として振る舞いながらも、ひそかにキリスト教を信仰していた人々が「潜伏キリシタン」と呼ばれています。ちなみに「かくれキリシタン」とは、キリスト教が解禁となった19世紀後半以降も、潜伏キリシタン以来の信仰を伝承した人々のことを指します。
《世界遺産としての特徴とは?》
日本国内の文化遺産の登録は、昨年の「沖ノ鳥島」に続き18件目となります。「潜伏キリシタン関連遺産」の特徴として、以下の3つが挙げられます。
1995年の登録された「白川郷・五箇山の合掌造り集落」も生活居住地でしたが、村落景観が主体となるのは初めてになります。
「潜伏キリシタン関連遺産」は12の資産で構成されますが、その象徴的な存在とも言える「大浦天主堂」は、日本に現存する教会建築では最古となります。豊臣秀吉のキリシタン禁教令で処刑された26人の殉教者のために建てられました。1865年に浦上地区に潜伏していたキリシタンが信仰を告白した「信徒発見」の舞台として広く知られています。
《今後の課題》
「潜伏キリシタン関連遺産」の多くは、人口が著しく減少している離島や半島部の集落に集まっ
ているため、今後いかにして遺産を保存していくかが、大きな課題となっています。そのそもキリ
シタン達が身をひそめていた場所ですから、交通の便も悪く、かつては居住地だった場所も、いま
は森となってしまった地域も少なくないようです。
日本で初めてキリスト教に関する遺産であり、宗教や文化、歴史的な要素を含めて様々な意義の
ある世界遺産ですので、より多くの人々に公開されるべきと強く感じます。それだけに、いかに公
開されやすい環境が整備されるかが、重要な課題と言えるでしょう。
世界遺産は中学受験で最頻出の時事テーマのひとつです。特に今回の「潜伏キリシタン関連遺産」
は受験生の方々にも馴染み深い歴史テーマが深く関わっています。これからも関連するニュースが
発信されると思われますので、注意しておくようにしてください。
その際、お手元に地図を用意して、どの場所に関するニュースなのかをチェックしておくと、よ
り記憶が鮮明になります。ぜひ試してみてください。
以上、中学受験の現場から貝塚がお伝え致しました。
中学受験鉄人会 入試対策室
室長 貝塚正輝
(筑波大学附属駒場中高卒)