鉄人の一通入魂

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2018.5.11配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
元日能研講師が語る、日能研V字回復の舞台裏

今回のメルマガは、元日能研の先生(本文ではM先生)へのインタビューを掲載します。日能研ならではの授業の進め方、意外と知られていない日能研の姿など、魅力的なお話の数々をお聞きすることができました。私共の生徒様でも、日能研にお通いの方々が増えており、日能研のV字回復を肌で感じています。今回のインタビューでは、その舞台裏もうかがうことができました。ぜひご覧ください。

―先生は20年近く、日能研でご指導されておられました。そのご経験から、日能研のシステムのよいところはどのような点と思われますか?

M先生:私は家庭教師として他の塾の生徒さんをご指導したことがありますが、『個人的には日能研の学習システムが一番優れている!』と思っています。
 日能研では15年ほど前から、中学受験がすべてではない、その先を見据えた勉強が大事なのだ、と提唱してきました。この方針が、中学受験で合格することがすべて、とお考えになるご家庭からからはご理解されないこともありました。ただ、誤解して頂きたくないのですが、講師の先生方も、合格させないとは少しも思っていません。もちろん生徒さんの合格を最優先としています。

―先を見据えた勉強とは具体的にどのような内容になりますでしょうか?

M先生:まず日能研には、中学に入ってから、さらに高校に進んでから、大学受験につながるような勉強の基礎を、中学受験を通して固めていこうという共通認識があります。国語で見てみますと、他塾の中には問題演習を重視して、どう教えるかより、とにかく解かせる、といった傾向が見られるところもあります。
 日能研では、例えば物語文であれば、文章をどう読むのかという意識を強く持って、登場人物に関する情報を集めながら読もう、時間の流れで場面分けをしよう、行動態度の理由を考えて心情を考えよう、という「読み」にこだわった授業をしています。
 それらのポイントは、テキストの中でも明記されています。授業で使う『本科教室』だけでなく、自宅学習用教材の『栄冠への道』にも、各回のはじめにポイントが明記されています。授業と家庭学習を通して、「読み」にこだわった進め方をしていますね。

―おっしゃる通り、中学に入ることがゴールではなく、そこからどう歩んでいくかが、子どもたちにとっては、大事になりますね。

M先生:実際の情報として、卒業生や保護者の方々から、筑駒・開成の上位層は日能研生が多い、と聞くことがあります。合格人数はサピックスさんが多いですが、入学してからの成績上位には日能研生も多いと聞きます。中学校の先生からは、日能研出身の生徒は、燃え尽きている印象がなく、中に入ってから伸びる、あきらめずによく考えようとする生徒さんが多い、と評価されることが多いのです。

―質と量という観点からすると、日能研では質を重視される一方、量が少ないとも思われることもあるのではないでしょうか?家庭学習を増やされたいというご家庭からご要望がありました場合は、どのようにお話されているのでしょう?

M先生:日能研の学習システムとしては、家庭学習を多く出す、というよりは、授業に集中して復習を最低限進める、ということに重きを置いています。そのシステムでも、しっかり実績を挙げているという自負があります。
 ただ、そうしたシステムではなく、課題をたくさん出してほしい、中学入学してからのことより、まず受験を突破することが第一、とお考えになるご家庭とはどうしても合わないことはありますね。
 自宅学習の教材としては、『栄冠への道』と漢字テキスト以外に、新たなテキストを追加して、ということはありません。日能研では、例えば5回シリーズで説明文を演習するとした場合、その5回で何をやりたいかというシラバスを毎回、紙のかたちで出しています。また、ホームページに「MY NICHINOKEN」という日能研生のみがログインできるページがあります。そこで、担当の先生からご家庭へのメッセージが掲載されているのです。
 ご家庭での復習は、まずシラバスで授業の方針を見て、「MY NICHINOKEN」で先生からのメッセージで授業のポイントを確認、そして『栄冠への道』を使って復習をする、という流れで進めるのがよいでしょう。『栄冠への道』もただ解いて答え合せをするのではなく、その一題で何が学べたかを確認することが大事です。間違いから学ぶこともある、と、生徒さん達には伝えています。

―日能研ならではの授業の進め方などはありますでしょうか?

M先生:みんなで書いた答案をお互いに見せ合い、討論する、といった形式を取り入れていて、これは特にお父様方にその意義をご理解頂いていますね。最近は保護者会に半分くらいはお父様がいらっしゃっていますが、実践的な授業の進め方に高い関心を示されることが多いです。この討論式の授業は、最近では私立中高で実践されている、アクティブ・ラーニングにつながるものと言えます。グループワーキングを実施することもあります。グループごとに答えをまとめて、グループごとに発表するという形式の授業です。実施するときは、1回に30分くらいはかかりますので、さすがに毎回は無理ですから、月1回くらいのペースで進めています。様子を見ながらできるだけ、普段発言しない子にアシストして、発言できるようにも進めているんです。グループは4名から6名くらいで構成されます。席順で進めたり、あみだくじで決めたりして、グループ決めの時は、盛り上がることが多いんですよ。

―そうした授業は6年生でも実施されるのですか?

M先生:6年生は基本的に行っていないのですが、夏期講習期間中に、最上位クラスだけに取り入れることがあります。最上位の中で、高いレベルでどのような発想で、答えを導き出したのかをお互いに学ぶという趣旨になります。

―実際の入試問題でも、自分の考えを述べなさい、というタイプの問題がありますが、そうした訓練は、自分の意見を述べる、他者の意見を聞く、いろんな意見があってよいのだということを認識できますよね。

M先生:その通りです。小論文形式の問題などでは、自分の考えだけで進めないことで、厚みのある解答がつくれるという効果があります。そういう練習にもなっているのかもしれないですね。

―いま教えて頂いた、討論式の授業にも象徴されますが、印象として、日能研の教室の雰囲気が、良く言えば活気がある、悪く言うとうるさいということがあると思うのですが、相互間コミュニケーションがなされている、風通しがよいからこその活気である、ということもあるんですね。

M先生:塾側も、他のお子さんへの妨害にならない限りは、生徒さん達に、発言をどんどんさせているんです。休み時間での先生との雑談なども特に制限していません。縦のコミュニケーションという意味では、中学受験で日能研に通っていた先輩方と、現役の生徒さんとの交流もあります。日能研の卒業生の大学生が、仕事の手伝いとしてアルバイトに来てくれるんです。授業の中に入ってもらって、OB、OGが生徒さん達の質問を受けるようにもしています。そうした質問ができるということだけでなく、受験生にとっては、志望校に進学した先輩の姿を見るだけでも、モチベーションが上がる効果があります。ですので、例えば、雙葉を目指す生徒さんの教室に、雙葉出身のOGに来てもらうようにすることがあります。

―受験生にとっては、貴重な体験になりますね。

M先生:特に女の子の反応がよいですね。憧れの先輩なので、握手してください、サインください、ということもありますよ。

―先生方と親御さんの間のコミュニケーションはいかがでしょうか?

M先生:日能研は先生と親御さんの距離が遠い、という声があるようですが、そうでもないんですよ。保護者会は6年生の教室単位で6,7回あって、先生が関わる科目説明のかたちでも4,5回はあります。それ以外にも、お弁当のお届けや、お帰りのお迎えなどで、しょっちゅうお話していますよ。日能研は受付から中まで入って来られて構わないようにしていますので、そこで親御さんとお会いして、生徒さんについてお話することがあるんです。

―親御さんと先生との間の風通しもよいのですね。

M先生:そうですね。塾によっては、受付から奥までは入れないところもありますが、日能研はそうした制限はしていないです。また、まとまって講師とお話を個別でされたい場合には、事前にお約束頂ければお受けしています。 

―例えば、授業の終わる少し前に、教室の様子をご覧になるということもできるのでしょうか?

M先生:さすがに教室の近くまでは入れないですが、モニターがありますので、スタッフに言えばモニターを見せてもらえますよ。

―開かれた塾で、とてもよい雰囲気が感じられますね。先生方と教室に常駐されている運営スタッフの方々は、よくお話されるのですか?

M先生:しますよ。教室長は社員の方ですが、室長をはじめ運営スタッフとの間で、セクショナリズムになって、先生方と軋轢が生まれるということはないですね。

―日能研の中にはテキストを作る部署があるのでしょうか?

M先生:あります。テキスト開発という部署で、専任のスタッフがテストとテキストを作成しています。その部署のスタッフの方々も、講師として授業をされた経験はありますから、現場の経験がフィードバックされるかたちになっています。テキスト開発のスタッフと現場の先生の間での意見の交流があるんです。特にベテランの先生の意見はよく聞いてもらえますね。

―ここからは、夏期講習のお話になるのですが、他塾との比較は難しいかと思うのですが、先生のご経験で、日能研の夏期講習のよいところを教えて頂けますでしょうか?

M先生:学年によって違いはありますが、6年になると、この期間にどれだけ力をつけられるか、ということを意識した教材構成、授業の進め方になりますね。全部で算数・国語それぞれ36コマあります。そこでまた問題演習だけでなく、またしつこく、今回のポイントは何かということに触れてから、問題演習に入るようにしています。コースが、難問・応用・標準の3つに分かれて、テキストもコースごとに異なります。

―夏休み中にクラス替えはあるのでしょうか?

M先生:夏休み中にはないですね。講習を通して同じコースを演習することになります。国語について言うと、テキストには文章題が2題掲載されていますが、講習期間中の授業では1題しかできないですね。 語句の量がかなり多いので、語句も毎回の授業でやりきることはできないです。今までやってきた語句の総決算のように集められています。上位クラスは、今までやっていない語句に限られるので、上位クラスは語句の時間は少なめになります。

―語句は、本科教室にこれまで出てきた内容を集めたようなかたちになるのでしょうか。

M先生:それだけではなくて、さらにプラスがあります。例えば反対語だけで50題など、かなりの量になるんです。予習シリーズの『四科のまとめ』よりもかなり多くなりますね。

―日能研は通常の授業は比較的ゆっくりかと思いますが、夏期講習では一気に密度が濃くなるという感じですね。

M先生:そうですね、特に6年生は、これが終わったところで行き先が見える、という方針で進められるんです。

―4.5年生はいかがでしょう?

M先生:5年生は算数・国語が20コマです。ただしプラスして選択講座で4コマが各科目であります。 この選択講座は6年にもあります。各科目6コマで、教室によってはスキルアップという名前で、普段扱わないような、短い文章をもとにした記述練習で、深く正確に速く解く、といった練習をしたりもしています。

―ということは6年生の算数・国語は36+6=42コマにもなるんですね。

M先生:そうです。理科・社会は24+6=30コマになります。

―かなりハードですね。そうなると講習中の家庭学習は難しいですね。夏期講習で、せめて復習しておいた方がよいところとは、どのような点でしょうか。

M先生:間違えた問題の見直しを、早めにやっておいた方がよいですね。わかった、で終わらせないで、じゃあどうするか、そこは一人一人違うので、なぜ間違えたのかを、自分の事情と照らし合わせて、何が生かせるかというのは、早い方がよいですね。授業で演習した1題の見直しを優先することが大事です。その際には、テキストに掲載されている、その回のポイントをしっかり見直してほしいですね。

―復習する時間として、6年生だと、次の日の午前中も使えますね。

M先生:午前中に、自習室に来ている生徒さんは多いですね。質問に対応してくれる貼りつきのスタッフはいませんが、低学年であれば教室スタッフが対応できることが多いですし、あとは休み時間に先生をつかまえて質問することがありますね。

―どこで先生をつかまえることができるのでしょうか。

M先生:われわれ講師は、同じスペースにいて、まわりが教室で、まるでさらしものみたいになっているんです(笑)。以前は、別の場所にいたのですが、10年以上前ですか、生徒と同じ空間にいるように、という方針に変わったんです。

―生徒さんは、いつでも先生を見られる状態にあるんですね?それでは、先生がお食事をとることも難しくないですか?

M先生:それは大丈夫です。後で何時頃だったら、空いてるよ、と伝えておくことで問題なく対応できるんですよ。

―改めて、とても風通しがよくて、活気に満ちている教室の雰囲気がうかがえますね。話は変わりますが、夏期講習期間中に実践的な入試問題を解くことはあるのでしょうか。

M先生:夏期講習のテキストはすべて入試問題で構成されます。6年生になると本科教室も入試問題で構成されています。

―夏期講習のテキストの改訂はどれくらいの頻度で行われているのでしょうか?

M先生:5、6年前に大改訂がありましたが、それからは6年生で言えば36コマのうち4,5回分の問題を入れかえるといった小改訂になります。新しい問題を入れる必要もありますので、夏期講習の小改訂は毎年行われています。『本科教室』は大改訂のみです。2020年に次の大改訂があるはずです。

―ちなみに生徒さん方は、講習期間中の食事はどうされているんですか?

M先生:ご家庭からお弁当を持参される用に、教室がクーラーボックスを用意しています。ご両親が共働きでいらっしゃるような場合、コンビニでお弁当などを購入されたり、塾が契約している業者がお弁当を届けてくれることもあります。業者のお弁当は、事前に予約をしておくと、届けてくれるんです。教室によっては、建物の下にファストフード店があり、そこからデリバリーしてくれることもあるんです。その場合、生徒さんが注文しておいて、時間を決めてデリバリーしてくれることもあります。

―中学校の偏差値から、日能研生が一番強いゾーンというのはあるのですか?例えば、中堅上位校など?男子と女子のどちらか、などですといかがでしょうか?

M先生:そうですね。今は中堅上位に強いと言えるでしょうね。上位は男子の方が多いと思いますね。 武蔵までならば、育てて何とかできる、と思ってやっています。

―ユリウスについてですが、本体とユリウスで連携するということはありますか?

M先生:あまりないですが、ユリウスからアドバイスを求められることがあります。ユリウスの講師は学生さん中心で、教室長は社員の方がされています。6年生の1学期などは、『栄冠への道』をユリウスで進めるケースが多いと思います。2学期は過去問をユリウスの方で見ることが多いですね。答案は本体でも見て、アドバイスをすることがあります。

―お話をうかがって、日能研ならではの授業の進め方、また教室が活気に満ちていること、などが、とてもよくわかりました。

M先生:日能研も一時期は生徒数が減って、クラスを減らすということもありましたが、今はだいぶ持ち直して、生徒数が20%くらい戻って、増えていますね。特に4年生、5年生の春期講習から入塾される生徒さんが多く、クラスを増設する教室もあちこちで見られるようです。日能研では、壁を飛び越えるのではなく、登る練習をしましょう、飛び越えてはいけない、と生徒に話しているんです。大学受験で壁が高くなっても、登り方は同じだよ、と伝えています。

―本日は、誠に有難うございました。

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