鉄人の一通入魂

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2015.3.10配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
入試で狙われそうな最近の時事ニュース(愛媛県の鹿野川ダムで国内初の水路トンネルが建設中)

愛媛県大洲市にある鹿野川(しかのがわ)ダムで、最大で毎秒1000立方センチメートルの水を流せる国内最大級の水路トンネルが建設されています。国土交通省の計画では2016年に完成する見込みです。ダムといえば小学校や中学校の社会科見学などの対象になる存在でもあり、また最近の大雨などの異常気象が発生するとその存在価値がまた大いに高まる存在でもあります。もちろん中学受験の出題対象にも十分なりうるものです。

そこでこんな問題が考えられます。

  • 「ダムの主な役割として、治水(ちすい)・利水(りすい)以外にどのようなものがあるか、説明しなさい」
  • 「鹿野川ダムのある肱川(ひじかわ)河口付近では、毎年10月から翌年3月にかけて『肱川あらし』と呼ばれる局地風が発生します。なぜ肱川河口だけでこの現象が起こるのか、流域の地形的特徴から説明しなさい」

今回はダムでの水路トンネル建設というインフラ整備事業をテーマに、ダムとその周辺地域について中学受験の社会・理科の観点から分析したいと思います。

【ダムの役割】

ダムの役割としてまず挙がるのは洪水量を調節して、台風や急な大雨の際に土砂崩れや浸水が起こることを防ぐ「治水」があります。また「利水」とは、言葉の通りダムの水を利用することで、具体的にはダムに貯められた水を水道用水や工業用水、農業用水あるいは灌漑(かんがい)用水として使うことを指します。

それ以外に考えられる役割として、まずは「発電」が挙がります。ダムに設置された水力発電所には、二酸化炭素を発生させずにエネルギー得ることができるという利点があります。一方で開発にはかなりの大規模で環境を変えなければならない(ダムの建設に伴う自然環境の破壊など)というデメリットもあることをおさえておきましょう。

さらには「環境保全」の役割もダムにはあるとの考え方もあります。降水量が極端に減ってしまう時期でも安定して水量を提供できること、また水質も保全できることから、河川環境を整え、多様な自然環境をつくり出すことも可能になると考えられています。ダムを建設することが自然破壊につながる、という一点に集中せず、自然を保つ効果もあることに注意しましょう。

今回の水路トンネルはこれらダムの役割のうち、特に「治水」の面で大きな効果を及ぼすものになります。ダムには大量の雨が降った時のために使用する洪水調整容量と呼ばれる容量があります。普段は洪水に備えて空けているところです。鹿野川ダムではダム内の水位を下げることで、この洪水調整容量を1.4倍に増やすこととしました。ところが鹿野川ダムのゲート(放水する口の部分)は標高が高いため、水位を下げてしまうと調整容量を増やす効果が望めなくなってしまいます。そこで考案されたのが、低い標高部に水路トンネル建設してそこから放流を進める、いわゆる「トンネル洪水吐き」の新設でした。

水路トンネルの入り口にあたる呑口(のみくち)はダムの右岸側に設置され、右側を沿うように内径11.5m、延長約457mのトンネルが通り、出口にあたる吐口(はけぐち)で川と合流することになります。
 ダムの建設は2012年の1月から開始され、来年2016年の3月末の完工予定です。鹿野川ダムがある肱川地域では、この10年で3度の床上浸水を伴う洪水被害が発生していました。無事に水路トンネルが開通することが期待されています。

【肱川あらし】

第2問はかなりマニアックな問題に思われるでしょうが、実際にこうしたタイプの問題が出題される場合には、地形図が添付されることが多いです。地形図から土地の特徴をつかんで解くという意味では、社会の知識を使って理科の問題を解くことになります。

『肱川あらし』は愛媛県大洲市長浜の冬の風物詩で、好天の夜間に内陸の大洲盆地で発生した霧(冷気)が、日の出とともに一気に河口に流れる自然現象のことです。強風は河口から沖合数キロにまで達するそうです。霧ができるシステムは雲ができるシステムと同じです(高度の違いで霧か雲になります)。雲ができるシステムは頻出の内容ですのでよく復習しておいてください。

この『肱川あらし』は毎日起こる自然現象ではなく、大洲盆地の冷気と瀬戸内海の海水の温度差に加えて、気圧の変化が関係して発生します。寒暖差があまりに大きすぎると辺り一面が霧で真っ白になってしまうそうで、適度な寒暖差があって初めて『肱川おろし』が起こるのだそうです。

大洲盆地と瀬戸内海を結ぶルートは他にもありますが、肱川河口だけでしかこの現象が起こらないのには、この地域の地形的な特徴が深く関係しています。肱川流域の山麓がV字型の特異な形をしていることで、盆地に発生した霧が行き場を失って、温かい海に勢いよく流れ込むのです。霧を運ぶ風はゴウゴウと音を立ててうねり、河口付近に至る頃には風速10mを超える勢いになります。ちょうど朝日が上ってくる瞬間はオレンジ色を帯びた海面を霧が駆けていくという絶景にもなるそうです。

インターネットでも『肱川あらし』の様子が動画で見られます。残念ながら朝日を浴びてとまでは行きませんが、その迫力は味わえますのでぜひ見てみてください。

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