2014.11.01配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
入試で狙われそうな最近の時事ニュース(今年の天体は要注意!人類史上初めて、探査機が彗星に着陸します)
太陽観測衛星「ひので」が撮影した金環日食の画像が公開されました。金環日食と言えば、日本でも2012年の5月20日に観測されましたので記憶に新しいお子さんが多いことでしょう。2013年度の入試問題でも金環日食は多く取り上げられました。
毎年、天体にまつわるニュースは理科の時事問題の恰好の題材になります。今回は天体をテーマに、少しマニアックと思われるかもしれないところまで踏み込んでみたいと思います。
そこでこんな問題が考えられます。 「皆既月食は、月面探査の観点からすると、重大な問題を起こしてしまう現象です。どんな問題が考えられるでしょうか」 「彗星の尾が伸びる向きには、決まりがあります。どのようなものでしょうか」
それでは解説していきましょう!
【皆既月食】
今年の10月8日、日本各地で2011年12月以来の皆既月食が見られました。多くの地域が晴天に恵まれたので、しっかり見られたお子さんも多かったのではないでしょうか。
この皆既月食をテーマとした場合、まず押さえておくべきは色についてです。皆既食になった時、月は赤く染まっていました。この理由についてはすでに塾でも取り上げられていると思いますが、太陽光が地球を取り巻く大気を通る際に、波長の短い青色の光は大気中の塵(ちり)などに反射して大気に吸収される(空が青い理由です)のに対して、波長の長い赤色の光は大気を屈折しながら通過して月に届く、というポイントはしっかり固めておきましょう。さらにこの波長の違いというポイントが、朝日や夕陽が赤いことの理由にもなることを、正確に説明できるようにしておいてください。
ここでは皆既月食と月面探査の関連について話を進めます。皆既月食が起きた時、道行く人々が足を止めて、写真を撮るなどの光景が見られました。地球上からすれば美しい天体ショーのひとつなのですが、これが月面になると話が違います。皆既月食は、太陽→地球→月が一直線に並ぶ時に起こりますので、月から見れば「皆既日食」が起きていることになります。月と地球の位置関係などから、地球が完全に太陽を覆い隠してしまう食となり、その時間が1時間以上も続くことになります。こうなると月は完全な影になってしまい、太陽光から電力を得る月探査機にとってはエネルギーを得られなくなるという重大な問題が生じてしまうのです。実際にはバッテリーの状態を監視するなどの対策で事なきを得たと言われていますが、同じ天体現象でも所変われば全く異なる状況になってしまうことのよい例と言えます。皆既月食を月の側から見てみる、などの視点の切り替えを求める問題は中学入試でしばしば出されますので、注意しておきましょう。
【人類史上初、探査機が彗星に着陸!】
2004年3月にフランス領ギアナから打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機「ロゼッタ」が2014年8月に探査目標のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に到着しました(彗星の地上に到着したのではなく、軌道に入ったという意味です)。ロゼッタは軌道を細かく修正しながら、徐々に彗星に接近をしていきます。そして11月11日または12日には着陸機「フィラエ」を彗星の地表に降ろす予定になっています。今後太陽に近づくにつれて活発化する彗星活動を10q未満の上空と地表からつぶさに探査することになるのです。
着陸機が無事に彗星に着陸すれば、人類史上初の快挙となります。小学生のお子さん達にとってはピンとこないニュースかもしれませんが、中学校の理科の先生からすれば、どれほどの快挙であるかを受験生にも知らしめんと出題したくてウズウズしているかもしれません。また、今年の桜蔭中学の理科では彗星をテーマにした出題がありました。他の学校が追随する可能性もあり、彗星についてはなおさら注意が必要になります。
彗星の基本的な構造について触れてみましょう。彗星の本体は核(かく)と呼ばれ、主に氷からできています。大きさ、質量ともに幅がありますが、直径10q程度の大きさで質量が数兆トン単位になると考えられています。
彗星は太陽の周りを回る天体のひとつで、その公転周期は数年から数百万年まで大きな幅があります。ロゼッタが到着したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は公転周期が6.57年になります。
太陽からの距離が離れているところでは、彗星の核は低温のために氷結してしまい、地球上から見れば、他の恒星と変わりはありません。それが太陽に近づくと、太陽熱で彗星の表面が蒸発を始め、それに伴って発生したガスや塵が大気となって核の周りを覆います。地球上からはぼんやり光っている状態になりますが、これを「コマ」と言います。そして、太陽からの放射圧と太陽風によって、太陽と反対側に彗星の尾が伸びるのです。2つ目の問題の答えは、尾は太陽と反対側に伸びる、となります。尾の向きについての問題は桜蔭でも出題されていました。
彗星は太陽に近づくことで、その動きを活性化させます。その活動を探査するのがロゼッタ&フィラエの役目なのです。人類史上初の彗星着陸が無事に成功することを祈りましょう。そして、ロゼッタに関するニュースには今後も注目しておきましょう。宇宙の観方が大きく広がるかもしれません。
ちなみにロゼッタという名前はエジプト文字解読のきっかけとなった石、ロゼッタストーンにちなんでつけられ、フィラエも同じくエジプト文字解読のために用いられた記念碑、フィラエ・オベリスクが名前の由来になっています。未知の世界を解読したいという思いが探査機に託されていることがよくわかる由来ですね。
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