2008.05.02 配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
『「場合の数の解法の理解」と「仕事算の攻略」』
今回は、なかなか原理や仕組みを理解しにくい二つの分野に取り組んで見 ましょう。いずれも「一応解ける」「解法は知っている」というものの、本 当に「理解」するところまでは至っていない受験生が多い分野です。
【問題1】
A、B、C、D、E、Fの6人の生徒がいます。この中から掃除当番、給食当番、 飼育当番をそれぞれ一人ずつ選びます。選び方は全部で何通りありますか。
【解説】
基本的な、そして典型的な場合の数の一行問題です。解き方としては「樹 形図(ツリー)」を描く人と「積の法則(要するに掛け算)」を使う人とに 二分されますが、効率よく解けるのはもちろん「積の法則」のほうです。し かし、この積の法則について、「どういう式にすればいいのかわからない」 「なぜそういう式になるのかわからない」という受験生はたくさんいます。 そこで、この「どうしてこういう式になるのか」をじっくり考えて見ましょ う。
まず、頭の中で大きなスポーツイベントの組み合わせ抽選会を思い浮かべ てください。サッカーのワールドカップなどの組み合わせ抽選会です。あの ときに、国の名前を書いた紙をくるくる巻きにして外からは読み取れないよ うにして、プラスチックのボール(ガチャガチャのようなもの)の中に入れ て、それを透明な大きなガラスの容器(つぼのようなもの)に入れます。こ の方式を、積の方式でも使うのです。
それではまず掃除当番から決めましょう。つぼの中にはA〜Fの紙の入った 6つのボールが入っていますから、掃除当番は6通り考えられます。そして、 頭の中でつぼの中に片手を突っ込み、くるくるとかき回した後どれか一つの ボールを取り出し、そのボールを開けて中からくるくる巻きにされた紙を取 り出し、集まった報道陣に向けてその紙を示してみてください。そしてその ボールをつぼに戻さず、どこか脇に置いてください。「使用済みボール回収 箱」でも用意しておくといいかもしれません。
続いて給食当番の抽選に入ります。この段階では5つのボールが入ってい るわけですから、給食当番の選び方は5通り考えられます。さあ、また頭の 中でどれか一つボールを取り出し、 …報道陣に向けて紙を示し、そのボー ルをつぼに戻さずに「回収箱」にポイしてください。
最後に飼育当番です。この時点でつぼの中には4つのボールが入っている のですから、飼育当番の選び方は4通り考えられます。
これをまとめて、6(掃除当番)×5(給食当番)×4(飼育当番)=120通りと計算することができます。
【問題2】
カードが6枚あり、それぞれのカードには0〜5の数字がそれぞれ一つずつ 書かれています。このうち3枚を並べて3桁の数字を作るとき、全部で何通り の数字が作れますか。
【解説】
先ほどよりも少しだけ難しい問題です。そして、これが「納得して」解け れば、積の法則についての理解は十分と言えます。それではまた組み合わせ 抽選会を始めましょう。
つぼの中には0から5までのす氏の書かれた6つのボールが…、ではありま せん。まず初めに百の位の数から抽選するわけですが、当然ながらここに 「0」は当てはまりません。ですから、0のボールだけ横に置いておいて、1 から5までの5個のボールが入っています。ですから百の位の数は5通り考え られます。では頭の中でつぼの中に片手を突っ込み、ぐるぐるとかき回して から1個を取り出し、それを報道陣に示し、回収箱にポイしてください。
続いて十の位です。この時点ではつぼには4つのボールが入っていますが、 「横においておいた0のボール」をつぼに戻してから抽選することが大事で す。ですから十の位の数はこれまた5通り考えられます。さあ、また頭の中 でどれか一つボールを取り出し、 …報道陣に向けて紙を示し、そのボール をつぼに戻さずに「回収箱」にポイしてください。
最後に一の位の数を抽選します。当然、つぼには4つのボールが入ってい るわけですから、4通りが考えられます。
これをまとめて、5(百の位)×5(十の位)×4(一の位)=100通り と計算することができます。
【問題3】
ある仕事を、A君一人でやると24時間かかり、B君一人でやると16時間か かります。これをA君一人出始め、4時間たったところでB君も加わったとこ ろ、全体の3分の2を終えることができました。B君は何時間働きましたか。
【解説】
仕事算の標準的な問題です。我々大人から見るとなんでもない問題なの ですが、受験生たちは驚くほど自信を持てていないようです。大切なこと は「手順を整理してあげる」ことです。私が示す手順は次の2つだけです。
- 掛け算の式を使うと考えを整理しやすい。
- それぞれの段階が終わるごとに「あとどのくらいの仕事が残っているのか」をまとめることが大切。
まず準備として、A、Bそれぞれが1時間あたりどのくらいずつの仕事がで きるのかを求めておきます。「全体を(1)とするか(48)とするか」という問 題もあるのですが、ここでは「全体を(48)として」考えます。
- A…1時間に(2)の仕事をする((2)/時と表します)
- B…1時間に(3)の仕事をする((3)/時と表します)
それでは第一段階です。Aが4時間働きますが、これを掛け算の式で表します。1時間につき(2)ずつ仕事をした × 4時間働いた =(8)の仕事が終わった ⇒全体(48)のうち(8)が終わったので、あと(40)が残っている。(これが大事!)
次に第二段階です。AとBが?時間働きます。二人で働くので、一時間に 付き(5)の仕事ができます。また、第一段階で(8)の仕事が終わっており、 さらに第二段階を終えた時点で全体の3分の2(つまり(32))を終えるわけ なので、第二段階では(24)の仕事をすることになります。これをまた掛け 算の式で表します。
1時間につき(5)ずつ仕事をした × ?時間働いた = (24)の仕事が終わった ⇒ 24 ÷ 5 = 4.8時間かかった
A. 4.8時間
【まとめ】
場合の数の「積の法則」は、原理を理解してしまえばかなり解き方の幅 が広がります。つまずくたびに樹形図を書いている場合に比べれば、解答 効率が格段にUPします。ぜひお子様にこの考え方を示し、理解を深めてく ださい。また仕事算については、多くの場合「なんとなく」「パパッと」 解いてしまい、本当の納得にまで至っていない場合が多いです。私が示したポイントのうち2の「それぞれの段階が終わるごとに、仕事の残量を書いておく」だけでも、かなり頭の中が整理されるものです。ほんの少しの アドバイスでずいぶん解きやすくなるものですので、ぜひご活用ください。
中学受験鉄人会のプロ家庭教師は、算数の原理原則が理解できるように、 様々な工夫をしながら、日々指導にあたっています。算数の勉強に少しでも不安を感じたら、ぜひ、われわれ中学受験専門プロ家庭教師にお子さんのご指導をお任せください!