鉄人の一通入魂

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2008.04.11 配信
絶対に役立つ中学受験専門プロ家庭教師からの必勝アドバイス!
『割合や比を「具体的な数字」で攻略する』

今回は、割合や比に関する問題で、抽象的な解き方や公式に頼るのではなく「具体的な数字を使う」ということにこだわって、公式の暗記ではない「本当の理解」をするイメージを作っていただきたいと思います。問題を2つ用意しましたので、ぜひお子様といっしょに解いてみて、解説を読んでじっくり味わってみてください。

【問題1】

AとBの2種類の食塩水があります。AとBを4::1の割合で混ぜると13%の食塩水ができ、1:4の割合で混ぜると7%の食塩水ができます。Bの食塩水の濃度は何%ですか。

【解説】

これは様々な問題集に載っている問題です。しかし、中学入試本番を迎える時点で「この問題は自信がある!」という受験生は3人に1人もいないようです。そこで、難しい比や割合を使わずに、「具体的な数字を使う」「全体の重さ、濃度、溶けている食塩の重さを地道に求める」ということだけを使って解く方法を解説します。

まず、AでもBでもいいのですが、どちらか片方の重さを勝手に決め、固定します。私の血液型がA型なので、では「Aを100gに固定」することにします。すると、次のようになります。  [1]を100gとBを25g混ぜると13%の食塩水が125gできる。(これで4:1です。)  [2]Aを100gとBを400g混ぜると7%の食塩水が500gできる。(これで1:4です。)

これらの「全体、濃度、食塩」を計算します。

[1] 全体 125g  濃度 13%  食塩 16.25g ( A 100gとB 25gで全体125g )
 [2] 全体 500g  濃度 7%  食塩 35g   ( A 100gとB 400gで全体500g )

ここで質問です。[1]と[2]の食塩の重さを比べると[2]のほうが18.75g多く溶けているわけですが、その食塩の差はどこで生まれましたか? ⇒[1]も[2]も、混ぜたAの量は同じ100gなのですから、ここで食塩の量に差がつくわけがありません。ということは、混ぜたBのところで差がついたわけです。[1]にはBを25g、[2]にはBを400g混ぜたので、この差が食塩の量の差となっているわけです。つまり

35g − 16.25g = 18.75g この食塩の量の差はどこで生まれたかというと 400g − 25g = 375g混ぜたBの差である375gによって生まれたのです。 Bの食塩水375gの中には食塩が18.75g溶けているわけですからBの濃度は 18.75 ÷ 375 × 100 = 5(%)で、5%であるとわかります。

 A. 5%

【問題2】

兄が3歩で歩く距離を弟は4歩で歩きます。また兄が5歩あるく間に弟は6歩あるきます。兄と弟の歩く速さの比は何:何ですか。

【解説】

これは難しい問題ではありません。「歩幅の比×(同じ時間での)歩数の比=速さの比」という公式を知っていれば問題ありません。ただし「歩幅の比は3:4ではなく4:3だ。」という点さえ間違えなければいいのです。

しかし、ここで敢えて「具体的な数字を使う」という手法で、皆さんに納得していただこうと思います。

まず、兄でも弟でもいいのですが、どちらかの歩幅を勝手に決めます。私は2歳上に兄がいるので、では弟の歩幅を60cmだということにしてしまいましょう。本当は100cmのほうがスッキリするのですが、それではあまりにも大股ですよね。また、できれば3で割り切れる数のほうが便利そうなので、ここは60cmにしておきます。

弟が4歩で進む距離とは、60cm × 4歩 = 240cmです。この240cmを兄は3歩で進むわけですから、兄の歩幅は240cm ÷ 3歩 = 80cmとわかります。こういう求め方でいけば、「歩幅は逆比!」などというあやふやな、納得できていない丸暗記をする必要はないわけです。

次に、同じ時間で兄は5歩、弟は6歩あるくので、そのとき進む距離は

兄 1歩が80cm × 5歩 = 400cm進む
弟 1歩が60cm × 6歩 = 360cm進む

ですから、2人の歩く速さの比は 400:360 = 10:9 です。

 

A. 10:9

【まとめ】

割合や比に関する問題というものは、小学生にとってはかなり抽象的で、具体性がなく、なかなか理解しがたいものです。たとえ公式を暗記してしまい、問題を解けるようになったとしても、それは「本当に理解した」ことにはなりません。そのような暗記に頼った学習では、目前に迫った今週末のテスト、今月末のテストは乗り切れても、いざ夏期講習会で復習しようと思ったときには何も頭に残っていないことが多いのです。今の時期には「とりあえずの暗記」よりも「理解と納得=本当の理解」が大切なのです。

11歳、12歳の児童の脳というものは、まだ抽象的な理論を理解することには慣れていません。もちろんこのくらいの低学年でもこういったことに長けた優秀な受験生もいます。しかし、多くの受験生にとっては「具体的な、目に見える数字」のほうが安心するものです。

今後も続く割合や比の学習の中で混乱してしまったりイメージがつかめなくなったときには、今回のことを参考にして、ぜひ「具体的な数字を使って」考えさせたり説明してみてください。

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