中学入試はゴールじゃない!
いよいよ2008年中学入試が関西でも関東でも始まった。これまで何年か準備してきた成果を試されるわけだ。わが家の受験生も現在試験場にいる。中学受験について長年色々なことを書いてきても、わが子となるとやはり浮ついた気持ちになる。しかしながら、上の子達が受験したときの経験から親がするべきことは分かっている。その経験を少しでも初めて受験に立ち会う皆さんにもお分けしたい。
【浮ついた気持ちを子どもに悟らせない】
誰しも直前になると不安になるもの。しかし子どもにそれを悟られるようでは受験生の親として失格だ。ここまできたら100%の力を発揮できるように環境を整えてやらなくてはいけない。入試前日の夜に翌日の持ち物を慌ただしく揃えたりせず、余裕を持って準備しておきたい。もちろん試験場に持ち込むものを子どもに準備させて構わない。
しかし子どもが用意した荷物の最終チェックは親がやっておかなくてはならない。準備中の子どもに向かって「受験票は持った?」「消しゴムは?」「塾のテキストは入れた?」などと畳みかけるように言葉を投げかけると、子どもに焦りが伝わってしまうだろう。できれば子どもが風呂に入っている時など、本人に悟られずに持ち物をチェックすると良いだろう。足りないものがあれば、まとめて「はい、これも持っていって」と渡せばよい。もし子どもが試験前に不安を訴えることがあったら、受験勉強に使ったテキストやプリント類を積み上げてみよう。それは相当の高さになるに違いない。「これだけやったのだから大丈夫」と目の前に見せてやれば安心できる。厳しい練習に耐えたスポーツ選手が、試合に立ち向かうのと同じだ。
【過ぎたことは振り返らない】
試験が終了し帰宅したらすぐに自己採点をする家があると聞く。中学入試では自己採点はしなくて良い。合否の判定に使える精度で採点できるならともかく、そうでないのなら予め決めたとおりに試験を受けていく方が良い。結果に一喜一憂しないで淡々とこなしていく方が、受験生の精神的負担は軽い。試験終了後も「受かりそう?」「できた?」と聞きたい気持ちをこらえて、「お疲れ様。美味しいものでも食べて返ろうか?」と気持ちを切り替えられるようにし向けてやろう。
試験の合否についても子どもに伝えるかどうか事前に考えておこう。例えば東京の受験生で1月校を受験する場合に、「1月校は合格しても、そうでなくても結果は教えないからね」と子どもに告げてしまうのも一つの方法だ。もちろん子どもの性格によって合否を伝える、伝えないは変える必要がある。難易度の高い1月校を受験して、本人の発奮をうながすつもりならストレートに伝えても良いだろう。逆に安心して本命校の受験に身が入らなくなる心配があるなら、合格していてもあえて伝えないことも考えられる。
おそらく親が何も言わなくても、受験生は試験を受けて不安に感じた出題があれば、その分野の復習をすると言い出すだろう。腫れ物に触るような雰囲気ではなく、もう終わったことは気にしないという空気を作ることが大切だ。
【中学入試は長い人生の一里塚】
今は目の前の中学入試で頭がいっぱいだろうが、これは長い人生では一つのイベントに過ぎない。受験すると決めてからのプロセスが重要だ。子どもから大人になる思春期の入り口で、一つの目標に向かって精一杯頑張った経験の方が何よりも大きい。そしてここで培った学習習慣は大学受験まで活きていくものなのだ。だから、みごと第一志望校に合格できれば大いに喜んでよいが、そうでなくても胸を張ろう。ここまで頑張った子どものために。万が一高校入試でリベンジすることになっても、中学受験のための勉強は大きなアドバンテージとなる。中学でもコツコツと学習を続ければトップレベルに立つことができるはずだ。
【手続きは確実に】
合格した書類の受け取りに始まり、入学金の振り込みなど指定された手続きを滞りなく進めよう。あるいは2月後半の入試戦線に参入する場合の出願手続きも同様だ、ここでミスをしては取り返しがつかなくなる。
親が最後まで冷静さを失わずに受験生をサポートし続けることで、どんな結果になろうとも後悔することはないはず。最後まで気を抜かずに入試に挑んでいただきたい。