続・中学受験、親の役割
前にも中学受験における親の役割全般について書きました。
今回は家庭学習での面倒の見方について考えてみます。
中学受験のための勉強は学校の勉強よりも内容が高度で、中学生に近い感性を必要とします。したがって子どもはあちこちでつまずくはずです。家庭教師の先生に見てもらえるとしても、その場ですぐにとはいきません。塾の先生は「家庭では教えないでください。質問に来てもらえばいつでも面倒みます。」と言います。
しかし、その回の教材がまるごと分からなかったり、引っ込み思案で聞けないお子さんもいます。また毎回質問していると帰宅が遅くなるという心配もあります。そんなわけで一般的にはどうしても親が見るという形になりがちです。
では親が子どもの勉強を見る場合は、どんなところに注意すればいいのか考えてみましょう。
【我流で教えない】
スポーツや武道に置き換えてもらうと分かりやすいと思います。専門家がフォームや型を教えてくれます。これをアマチュアが家で教えたら子どもは困ってしまいます。先生の指導どおりにできていない点を指摘して修正するのなら構いませんね。
同様に、例えば算数の解き方であれば塾での教え方に沿って、導いてやらなくてはなりません。
例えばお父さん、お母さんが小学生時代のつるかめ算の解き方は知っていても、最近の面積図での教え方は知らないかもしれません。
塾で面積図を使っていたら、そのやり方で教えるべきです。親が塾の教え方が理解できず、子どもが解けないときは、深入りせずに塾や家庭教師の先生に質問させましょう。
【やっぱり基本が大事】
塾の確認テストをしっかり分析しましょう。ともすればどのくらいできたか、平均点と比べてどうかという点数に注目しがちです。点数よりも皆ができているのに正解できなかった問題は何か、逆に皆ができなかったのにできた問題はどれかというのが大事な情報です。皆ができるべき基本問題は早い内に復習しておきましょう。学習した内容がまだ思い出せる内に復習することで定着をはかることができます。
そして何よりも大事なのは、決められている課題にきっちり取り組むことです。進学塾で上位クラスの生徒はこれができています。中位や下位に甘んじているのは、やはり基本をおろそかにしているからです。
まずは基本問題を解いてみる。解けなかった問題は解答を見て理解する。再度同じ問題か類題を解いてみて確認する。こうして、できなかった問題を理解して、解けるところまで持って行くことができます。
国語、理科、社会では知識問題をおろそかにしないことです。漢字の読み書き、各分野の基礎知識は確認テストで大問の1番、2番などで出題されます。知識の定着度合いを見るためです。ここは復習で100％にしておきます。それでも時間とともに忘却するのですから。算数では計算問題、一行問題は同様にやり直しで100％にします。
算数はスポーツ同様練習量が物を言います。また計算間違いをなくしましょう。子どもは「およその数」の分野では概算を使えるのに、普段の計算ではあまり使わないようです。それができる子は算数のできる子です。
例えば49×3.14であれば50×3で150前後になるとか、小数同士の割り算で21.28÷7.6ならば3×8＝24または3×7＝21で7〜8の間と当たりをつければ、小数点の位置を間違えることもありません。
このような基礎練習を怠らなければ、徐々にではありますが確実に実力がUPすることでしょう。
【声を出す】
子どもの勉強を見る際には、どの教科でも問題文の内容が理解できているかどうかを、よく観察して下さい。算数といえどもややこしい文章となっていることがあります。
問題文のとらえ方が不十分だと思われるときには、声を出して問題を読ませます。スラスラ読めずにつっかえてしまう部分が、よく分からない点であることが多いものです。声を出すことで問題に集中するために、理解も深まります。声を出して読ませるだけで、「あ、わかった！」となることもあります。子どもは意外と上っ面で問題文を読んでいることが多いものです。
2、3度読ませても理解しにくい場合は、区切りを指示してやりましょう。理解出来る単位に分解するわけです。堅い食べ物をかみ砕いて柔らかくするのと同じです。
【まとめ】
応用問題や発展的な問題は塾や家庭教師の先生に任せて、家では基礎・基本に重点を置きます。知識問題や計算問題、基本問題をしっかり確実に解けるようにすれば、1教科当たり5点〜10点UPできるはずです。特に中堅校を目指す生徒では、これができれば合格に一歩近づきます。
親が勉強を見る第一のポイントは、ミスによる失点を減らすということだと思います。
