ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

中学受験の理科・社会対策はどうする?(最終回)

最近は再び中学入試問題に、よく目を通すようになりました。実際に解いてみる問題も多くあります。一方で、高校入試問題にも触れる機会があり、両者を比較してみることができます。そうする内に気づくことがありました。高校入試での典型的な問題と類似の問題を出題する私立中学が多いことです。よく高校入試と中学入試の性質の違いを解説しているWEBページは多数ありますが、入試問題そのものを比較した記事はあまりみつかりません。マーケットが異なるからでしょうか。高校進学率は90%を超えていて受験者数が中学受験の比ではなく多いので、そこで出される入試問題は、難関私立高校などを除けば教科書の範囲から出題されます。都道府県立の高等学校に絞ってみれば、学校の定期テストで出題されるような問題が、入試でも出されるわけです。

一方の中学入試は、受験生が一般の公立小学生の中でも勉強ができる子が受験するので、教科書レベルの問題では得点に差がつかないので、選抜の役に立ちません。そのために、教科書をより掘り下げた問題が出題されます。また、知識レベルでも小学校の範囲を超えていて、特に理科や社会ではその傾向が強いのです。私も高校入試の参考書を書きながら、「これって中学入試でもよく出題される内容だ。」と感じていました。高校入試と中学入試で大きく異なるのは算数と数学の違いで、理社は中学受験生の優秀な生徒ならば高校入試の問題もかなり良い点数が見込めます。国語も学年配当漢字と古典を除けば、読解問題も中学受験生は健闘すると思います。ある塾では中学受験した小学生に県立高校の理科の問題をやらせたら50%得点できたそうで、後プラス何点かで合格最低点に届いたとのこと。

私は工学部出身なので小学生の理科の勉強のサポートをすることも多いのですが、中学受験の理科が苦手と言う子も少なくありません。難関校受験生が多い塾の問題を見ていると、中学理科の先取りのような内容も多々見受けられます。解き方や公式は教えてもらっていても、中学校の理科の授業を受けているわけではないので、公式の背景を知らないために、理解が伴わずに解いているのですね。

最近もある生徒が光の演色性の問題で、どうしても理解できないと言ってきました。赤緑青の三原色ではなく、例えば赤い単色光を七色のボールに当てたときに、どう見えるかという問題です。問題には赤緑青をそれぞれ単色で当てたときに、各色がどの色の光を反射するかどうか○×で表にしてあります。問は、さまざまな光を当てたときに、何色に見えるか、あるいは背景と同じ色に見えるのは何種類かというような問だったと思います。この説明に赤緑青の3本のサインペンを光の代わりに持って、赤いボールに当てると、緑と青が反射せずに赤だけが反射するから赤く見えると説明し、もし赤だけを当てたらそれを反射して赤く見える、もし赤紫=青+赤を当てると、赤だけが反射するので赤く見えるという説明をしたら納得してくれました。

このような理解をしてないと、習った直後は良いのですが、しばらくするとすっかり抜け落ちてしまうのです。進学塾の勉強の進み方にありがちなのは、進度が早いので丁寧な説明がなされないままに、どんどん進んでしまうことです。ある塾では、「これは前にやって知っているよね」という前提で進んでしまい、「さっぱりわからなかった」という塾生の声を聞いたことがあります。

また、中学入試問題で高校入試の頻出分野の類似問題を出す学校は、中堅校に多いように感じます。難関校やその併願校では小学生が頭を使って解くのにふさわしい良問を多数配していますが、中堅校ではそうした受験生ばかりではないからでしょうか。もしかしたら、学校側の作問力の違いがあるのかも知れませんが。理科について言えば、中学理科の教科書や参考書が役に立ちます。義務教育の教科書が手に入れづらい昨今では、教科書よりも教科書ガイドや参考書が有用だと思います。理科というのは4教科の中では最も対応能力に幅の広さが求められる教科だと思います。

なぜなら、その分野が第1分野の光・音・力・電気・エネルギー・化学・イオンなどと、第2分野の動植物・地学・天文・気象などの多岐に渡る分野を含んでいるからです。理科系人間の中にも、物理は得意だけれど化学は苦手だ、いや生物はさっぱりだとかいうタイプに分かれます。理科全般できるというのは珍しいのです。おそらく社会も似たようなものではないかと思います。地理・歴史・公民と分野が多岐に渡り、暗記部分と因果関係の理解が必要な部分がある。小学校の教科書では不足し、塾の教材ではいきなり学校以上の範囲が出てくる。

このように理社が苦手な生徒は、余裕がある内に納得がいく説明を読んだり、誰かにしてもらって暗記ではなく理解しておくと、後々苦労が少ないと思います。春休みはそのチャンスかもしれません。

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