中学受験に向かう親子の姿勢を再確認しましょう!
平成29年度入学のための中学入試は、ほぼ結果が出そろったころでしょう。筆者の子どものように、制服などを注文してから繰り上げ合格の連絡があって、あたふたすることもありますが。
塾では5年生は新6年生、4年生は新5年生、3年生は新4年生になり、中学受験のステップを一段上がります。今年、低学年の頃に勉強を見ていた生徒が中学受験をして、首都圏の難関校に軒並み合格した、とのご連絡をいただきました。その子が4年生になるときにお母様から、「中学は受験しようと思うのですが、そろそろ進学塾に行ったほうが良いでしょうか?」というご相談を受けたのです。
その子の地元では、幼稚園時代から続けていた読み書き計算の教室が3年生まであって多くの子が通っていました。4年生に学年が上がるときに、その教室が終わってしまうので、「この後どうする?どこの塾にやる?」と、みなそそくさとどこかの塾に入れてしまうのだそうです。
そもそも、その教室が3年までなのは、そこまでやったら自学自習の習慣ができるから、教室に通わなくてもよいでしょうという方針だったわけで、その後に別の塾に入るのは、なんだかおかしいように思いました。その子の場合は、中学受験も念頭においてのご相談でした。そこで、当時は次のようにアドバイスしました。彼は、計算スピードが速くて、とても地アタマが良かったので、4年からギュウギュウと入試問題のパターン学習をするよりも、試行錯誤や考える訓練をしたほうが良いのではないかと。
実際そのとおりにされて、パズルの教室に通ったり、ピアノ教室を6年の12月まで続けたりしながら、中学年までは思考力を伸ばすことを中心に、様々なアウトドア体験も加えていきました。小学5年生から地元の塾に行き、6年で大手進学塾に転塾して、中学入試で結果を出したのです。短期集中型だったので、受験を終えても燃え尽きるどころが余裕があるようなお話ぶりでした。
子どもにも様々なタイプがいるので、一例で全てを語ることはできませんが、このように本格的な受験勉強は1〜2年程度の期間に留めても合格するパターンもあるのだということを知って頂きたいのです。
芦田愛菜ちゃんが1日10時間勉強して御三家に受かったと週刊誌にありましたが、それもまた一例に過ぎません。その子どもに合った受験を見つけることが親の役目なのではないでしょうか。
お母様方は元々口コミを重視される性質があるうえに、今はSNSが発達しているので、「○○さんが、この塾で△中学に合格した!」という情報があっという間に広まって、われもわれもとその塾に殺到することも起こると聞きます。しかし、何度も言っているように、それも一例であって、自分の子にその塾が合うかどうかは、また別の話なのです。処理速度の速いタイプもいれば、じっくり時間をかけて理解するタイプもいる。集合授業でもしっかりついていける子もいれば、個別指導でないと理解しにくい子もいます。
長年幼児や小学生と関わってきた経験からすると、お母様方は案外お子さんをじっくり観察しておられないようです。我が子だから日常の様子はちゃんとわかっているつもりなのでしょうが、彼らにも思っていることや、彼らなりの考えがあるものです。もちろん大人の常識からしたら間違っていることも多いのですが。
「お母さんに内緒だから話してごごらん」と言うと、たいていの子が、お母さんには言えない不満や要望を話してくれます。第三者には言えても、親子だと言えないことがあるのです。だからこそ、言葉だけでなくボディランゲージをうまく読み取って、気持ちをすくい上げて欲しいのです。よくお母様方が口にする、「本人がやると言っています」という言葉について、ほとんどの子が「そう言えばお母さんは喜ぶはず」という気持ちで言っているのです。本心が違っていることはざらにあります。
後に「転塾したい」「受験をやめたい」などと言い出すことがないように、この時期に中学受験に対する姿勢が現状維持で良いのか、それとも見直しが必要なのか検討していただきたいのです。
- 勉強時間に過不足がないか
- 子どもの疲労度合いはどうか、睡眠時間は十分か
- デイリー、ウィークリーのタイムスケジュールは適切か
- 子どものやる気(モチベーション)は下がっていないか
- 塾の方針や、授業の形態が子どもにフィットしているか
- 志望校は、親の視点ではなく子どもの性質に合ったものになっているか
- 本当に受験して中学に入りたいのか(一番大事です)
塾で学年が進級する今の時期は、以上のような点について、親子での話し合いも含めて見直しをするチャンスです。しっかり見直しをして、これからの態勢を整えて頂きたいと思います。