過去問3つの取り組み方
2016年に入って1月の中学入試がすでに始まっています。本命校はこれからという受験生が多いとは思いますが。志望校の過去問対策は十分できたでしょうか。来年の受験生の方もお読みになっていると思いますので、過去問の取り組み方を改めてご紹介することにします。
過去問の取り組み方は大きく分けて3通りあると思います。1つは志望校の出題傾向を知るというものです。出題傾向と受験生の得意不得意がかけ離れていたら、志望校を再考する必要がありますし、その後の勉強の方針を決めるのにも有用です。さらに、その学校がどのような生徒を求めているかも入試問題に表れます。学校との相性を知ることができるわけです。
また、第一志望校の併願校を選ぶ場合にも、出題傾向が似ている学校が望ましいです。第一志望校向けの対策が、そのまま併願校に通用するからです。限りある勉強時間を効率的に使うことができます。
さらに、よく出題される分野の中に、受験生が苦手とするものがないかどうかの確認をします。もし、そうした分野が見つかったら重点的に補強することで、合格の可能性を高めることができます。進学塾のテキスト全てから出題されるわけではないので、重点ポイントを見つけるとても重要な手がかりとなるのです。
ところで、このように分析的に解くには、受験生だけでは難しいので保護者も一緒に取り組むことが望ましいです。問題を解くのは受験生ですが、出題分野の分類と把握は保護者がします。それが難しければ、塾の先生に相談しましょう。この相談に応じてもらえない塾は、ちょっとどうかなと思います。
2つ目の活用法は、言わずと知れた合格可能性を判断するために使うことです。できれば過去問を入試問題サイズに拡大コピーして、入試時間と同じ時間割で仮想入試を家庭で行います。終わったら採点をして、合格最低点を上回るかどうかで合格可能性を判定します。
入試に特色がある学校の場合は、合否判定模試に比べて過去問を使った疑似入試の方が実際に近い合否判定ができることが多いようです。2年分、3年分と同じように解けば、より判定材料として有力な結果が得られるでしょう。進学塾の模試ではわからない学校との相性はこの方法で確かめるしかないと思います。必ずやっておきましょう。
さて3つ目の活用法は、ひたすら過去問を解く方法です。資格試験の受験でよく使われるテクニックです。解き初めにまったく刃が立たなくても構わず、ひたすら過去問を繰り返し解くやり方。ちょうど野球やテニスなどで素振りをして、フォームを身につけるのと同じイメージです。
つまり、繰り返し過去問を解くことで、出題に対する答え方を身に付けていくというわけです。もちろん過去問はあくまで過去問。二度と同じ問題が出ることはないのですが、似たパターンの問題というものは存在します。また、パターンにはまらなくても、どのような考え方が必要なのかがわかってきます。
さらに、繰り返すことで入試問題に対する耐性が出来てきて、試験会場で問題を見ても冷静に取り組むことができるようになります。入試問題を初めて見たというのではなく、既視感を抱くことができたら、落ち着いて解けるはずです。
入学試験までの時間がない時に、志望校を絞り込んでひたすら過去問練習に打ち込み、できない問題がないようにするのは、一つの効果的な勉強法ではないでしょうか。
いずれの活用法を用いるにしても、忘れてはならないのは、できなかった問題や間違えた問題をそのままにしないこと。こう言うと、解答例をチェックするだけで済ませてしまう人がいますが、それでは不十分です。必ず解き直しをして、できるようにしておかなくてはなりません。できない問題ができるようになることが、実力UPしたということなのですから。
ところで、過去問を家庭で解いた場合ですが、採点基準がよくわからない場合があります。特に国語や理社の記述問題です。そんな時は迷わず塾の先生や家庭教師の先生に採点をお願いしましょう。数多くの問題を取り扱った経験から、部分点の付け方も把握されているはずですので。また、親だと多少甘くなりがちですが、先生は厳しく採点してくれます。そうしないと合格見込みが甘くなりますから。
入試直前の受験生も、これから受験生の学年になる現5年生も過去問を有効に活用して、入試に備えてくださることを期待しています。