勉強してもできない、しないのにできる
いよいよ2015年の中学入試シーズンに突入ですね。ここまで来たら受験生は体調を崩さないことを第一に考えて、コンディション作りに集中しましょう。ご健闘を祈ります。
同時に中学受験の世界では小学5年生が受験生へと進級する時期でもあります。1年後には受験を控えて、希望としてもっていた志望校と実力の関係が明らかになって来ます。着実に実力が身についていれば良いのですが、そうではなかったらどこに問題があるのか見直す時期に来ています。
■モチベーションの有無がポイント
色々な子どもを見ていて皮肉だなと思うことがあります。時間をかけて勉強しているのになかなか実力がUPしない。つまりテストの点数が向上しないケースがあります。それとは反対にガリガリやっていないのに、良い結果を残すケースもあるのです。その両者の違いはどこにあるのでしょうか。
どうやらその違いは、勉強に向き合う姿勢にあるようです。真面目なので勉強はするのだけれど、周囲から言われるから、あるいはみんながやっているから仕方なく自分もしている、そんな子どもは、かけている時間の割に学習内容が身につかないのです。
一方で、将来やりたい事がはっきりとしている子は、小学生であっても今やるべきことは何かが明確になっていて、目の前の勉強から逃げたりせず真剣に取り組むので、時間をかけなくても実力が伸びていくのです。
大人でもそうですが、ノルマに追われてイヤイヤ仕事をするのと、自分から企画した提案を実現しようとがんばるのとでは仕事の効率が格段に違ってきます。ですからモチベーションのありなしが最大のポイントだと言えます。
いかに受験生本人をやる気にさせるかを周りの大人は考えるべきです。本人にやる気スイッチが入ったら勉強しろと言わなくてもやり始めるからです。
■勉強にストレスを感じさせない
モチベーションというのは積極的に勉強させる、いわばエンジンに入れるガソリンですが、もうひとつのポイントはストレスです。
勉強することが本人のストレスになっているかどうかで、勉強の成果が大きく違ってきます。親から言われて勉強するにしても、嫌だと思わずにやれるのならストレスは少なく、勉強の効果も出てきます。ところが勉強することが苦になっていると、いくらでも時間を浪費します。テキストを広げていても、全くはかどらないのです。
ストレスが少ないということは、エンジンオイルが汚れずにエンジンが回っている状態と同じです。ですから勉強をストレスに感じさせないようにすべきです。それには、やる気を削ぐような言葉かけに注意しなくてはなりません。
「クラスの◯君はいつも10番以内にいるね。塾に入った頃はあなたの方ができたのに」と、他の子と比較されるのが子どもは大嫌いです。子どもは塾内の序列などに敏感で、親に言われるまでもなく本人も気づいているのです。それを改めて指摘されるとプライドがずたずたにされてしまい、大きなストレスになります。
「早くしなさい」と言えば「今やろうと思っていたのに」と反発します。実際には言われなかったら勉強に着手しないとしても、そう思うもの。命令されるとあまのじゃくな気持ちが湧いてくるので、そうならないようにします。「勉強はご飯食べてからにする?お風呂に入ってからにする?」と選択肢を与えたり、「何時頃から勉強する?それまでに◯◯済ませたいから」と自分から言わせたりすれば、ストレスになりにくいものです。
■自己肯定感を育てる
成績中位の生徒で、それまでぱっとしなかった子が、急にできる子に変わることがあります。そのきっかけはちょっとしたことで、例えばたまたま受けたテストがよく出来た時に先生に褒められたので、次もちょっとがんばってみたら、また成績が上がった。こうして好循環が始まって勉強ができるようになっていくのです。
どんな生徒でもいつかしら、どこかしら褒めるに値するタイミングがあるものです。そこを見逃さずにすかさず褒めるのです。結果がでなくてもプロセスが良かった時でも良いではないですか。「よくがんばったね」という一言でストレスが吹っ飛んでしまうかもしれません。気持ちよく勉強させる方が、親子共に幸せですよね。
■やるかやらないかは少しの差
結局のところ勉強ができる子は、ちゃんとした勉強をしている子です。そしてその勉強ができるようになるのは、気持ちよく勉強できる環境にあるかどうかにかかっています。その環境とは、ほんの一言かけるかどうか、あるいはNGワードを言わないかどうかの、ささいな差によるのです。親の一番の役割は、教科の内容を教えることよりも、子どもが勉強できる環境づくりにあるのではないでしょうか。