合格後の過ごし方が大事
2014年(2015年度入学)の中学入試がほぼ終了しました。ほぼというのは2月下旬や3月に入っての入学試験を設定した2次募集を行っている学校があるからです。どうしても私学に行きたいという受験生は、まだ可能性が残っています。
この時期に進学塾では来年の受験生である5年生を「新6年生」と呼んで、受験モードへの切り替えを促します。教室の廊下には「◯◯中学合格」という名前入りの短冊がズラリと張り出され、新聞の折り込みチラシには「◯◯中学◯名合格!」の文字が踊り、否が応でも受験の雰囲気が高まります。中学受験鉄人会のホームページも、来年度入試に向けたコンテンツに組み替えられました。世の中は来年度の中学入試に向かって動き出しています。
そのため、今年の入学試験を受けた受験生は、もう一丁上がりの雰囲気が作られています。受験が済んだご家庭でこのページを読まれているかどうか不安なのですが、受験が済んでほっとして気が緩みっぱなしになることへの、警鐘を鳴らしておきたいと思いました。来年の受験生には一年前に「そんな記事があったな」と来年の今頃、思い出していただけると幸いです。
■受験で培った家庭学習習慣を続ける
入試後は受験勉強中のわが子の大変さを思い返し「少しぐらい羽根を伸ばしてもいいだろう」と、封印していたゲーム機を与え、子どもがゲーム三昧にのめり込んだり、あるいはコミックを読み漁ったりを許してしまいがち。確かにがんばったご褒美として、リフレッシュさせてやりたい気持ちはわかります。
しかし、大会を目指してスポーツに励んでいた選手が、目的を達したり敗れてしまったりした時に、何もする気が起きなくなるバーンアウト(燃え尽き症候群)というものがあります。勉強も同じではないでしょうか。
夜遅くまで毎日勉強していたのに、急にやめてしまうとその後勉強に全くエンジンがかからなくなる子どもがいました。全力で走りきった後には、ゆっくり体をほぐす必要があるのです。受験勉強に比べたら、毎日1時間程度の家庭学習なんて全く苦にもならないでしょう。ですから1〜2時間程度は負担にならないように自主勉強を続けるべきです。
中学生になったら毎日の予習復習が欠かせなくなります。せっかくできた学習習慣をそのまま継続しておきたいもの。
■中学進学準備の勉強って?
公立中学に進学する小学生には、あまり先取り学習は薦めません。中学で学ぶ内容に新鮮味を感じなくなるからです。しかし、中学受験勉強そのものが中学の学習を先取りしている部分が多く、小学校の学習内容の総復習は受験勉強で学習済みなので、思い切って中学生の教材を学習するのも悪くないと思います。
自分で学習するのですから、解説が詳しく難易度の高くないものが良いでしょう。大手書店にいけば複数の問題集・参考書が見つかると思います。教科として始めての英語を中心に、加えるなら数学でしょうか。
先取りと言っても「入学式までの一月半では、あまりこなせない内に学校が始まってしまうから無駄ではないか」とおっしゃる向きには、英検・漢検・数検の3点セットはいかがでしょう。お子さんに合ったレベルから始められ、上位の検定級を持っていれば大学の推薦入試にも役立ちます。将来的には就職にも何らかのメリットがあるでしょう。
ポイントは学年と無関係に学習していくことができ、級の獲得で確実にステップアップしたことがわかるので、学習をするモチベーションが保ちやすいことです。全部でなくても1つあるいは2つをセレクトしてもいいですね。
私学によっては、入学予定者に問題集を送ってきて入学後に提出させるところもあります。そうした学校は、指示に従うだけで構いません。
また通信教育を始める生徒も多いようです。学習習慣の継続という目的には適っているように思います。ただし、入学後の課題の多い少ないによっては、やりこなすことができなくなる可能性もあるので、あまり長期の契約はせずに、中途解約できるような形で始めるようにしましょう。
受験生の中には、合格したけれども苦手分野は克服できなかったケースもあるでしょう。特に算数や理社の苦手分野は中学でも続いてしまう可能性があるので、時間的にゆとりのある今、基本問題で復習しておくことも大切です。受験の面倒を見て頂いた家庭教師の先生に、もうしばらくお世話になって苦手を潰すのも有りです。
受験勉強に通っていた進学教室が「中学就学準備コース」を呼びかけていたらどうしましょう。塾としては「中学生になっても通ってもらいたい」という下心を持って開講しているので、それと就学準備は別と切り離して考えられるのなら、このコースを利用して構いません。
■親がかりから自分で
中学受験は親子二人三脚で勉強していました。中学からは一人旅です。自分で問題を解いて、解答をチェックし、やり直して理解する。このサイクルを身につける必要があります。
またきちんとしたノートの使い方ができるようにしておきたいので、その点だけはアドバイスしてあげて下さい。適度に行を変えて見直し易くすること。追記ができる余白を設けておくこと。1ページに多くの問題を詰め込まないこと。
中学入学までに、一人で勉強できるような助走期間としてこの時期をすごしましょう。