ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

睡眠不足は学習の大敵

中学入試直前の追い込み時期ともなると、小学生が夜遅くまで勉強することが多くなります。子どもにとっては成長ホルモンの分泌を促すためには一定の睡眠時間が必要で、睡眠不足は身体のために良くないということが解っています。

それだけではなく、近年では学習する上でも睡眠の果たす役割がクローズアップされてきました。睡眠不足に陥ると学習に悪影響をおよぼすというのです。実験で課題を学習させた後に、徹夜させて翌日学習した内容の確認テストをすると極端に成績が低下しました。つまり文字通りの一夜漬けは効果がないどころか、まるっきり無駄になりかねないということです。

また記憶の課題だけでなく「ひらめき」や「集中力」についても、睡眠をしっかり取ったほうが、成績が良いことも実験で確かめられています。さらに、学習をしてその内容を睡眠時間と同じ時間を空けて昼間にテストをした時よりも、寝る前に学習して翌日テストをした時の方が、ずっと成績が良い、むしろ昼間の時間をあけてのテストでは徹夜組とあまり変わらないという実験結果もあります。

つまり睡眠は無駄な時間ではなく、学習を定着させるために必要なものというわけです。したがって睡眠時間を削ってまで学習するべきではないということがわかります。なぜ睡眠が必要なのかについては、まだよく解っていない部分も多いのですが、少しずつ解明されてきています。

脳の海馬を研究している東京大学・大学院薬学系研究科准教授の池谷裕二先生によれば、脳は起きている時よりも深い眠りに落ちている時のほうが、活発に活動しているというのです。深い眠りのシナプスの活動量を100とすると、起きている時には30程度しか活動していません。おどろくべきことに深い眠りの最中には起きている時の100倍速くらいで、記憶を再現し整理して圧縮しているのです。

この睡眠中の脳の活動には、単に昼間の記憶の再現だけでなく、起きている時には理性が切り捨てた可能性も試していると思われるシナプスの電気的活動が見つかっています。寝ている間に中間子論が閃いたというノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士のエピソードを裏付ける、科学的な証拠ではないでしょうか。

筆者自身もエンジニア時代に似たような経験があります。開発中の製品に不具合が起きて、どうにも原因が見つからないのです。午前2時ころにあきらめて家に帰りました。3時間ほどでしたが睡眠をとって目覚めて会社に向かう電車の中で、ふと「あれを試したら解決するかも知れない」と思いついた点がありました。実際に確かめてみると見事に上手くいきました。前日にあれだけやってもだめだったのに、です。

このように睡眠は単に記憶を深めるだけではなく、考えて理解し創造するという点でも重要なのです。

そうは言っても、入試が近づいたら普段よりは遅くまで勉強せざるを得ない状況。そうすると今度はベッドに入ってもなかなか寝付けないというお子さんが出てきます。直前まで脳が興奮していたのだから無理もありません。副交感神経が優位になって気分が落ち着かないと眠れないものです。ですからお子さんの眠りを助ける方法を家族が考えてあげる必要が出てきます。

入浴して直ぐには体温が高すぎて眠りにくいので、就寝の2時間くらいまでに入浴をすませます。またその後は明るい光の下にいると、睡眠のリズムがくずれるので部屋の明かりを落とします。就寝前のホットミルクが眠りの質を高めると一般的に言われています。寝付きまでの時間や寝返りの回数などから睡眠の質が牛乳によって変わるかという実験でも、200mlの牛乳は効果があると認められています。寒い夜にはなおさらホットミルクが温まって良いのではないでしょうか。

ところで、お子さんが眠れないと訴えてくるようなことがあると心配になります。しかしながら先程の睡眠中の脳の活動の研究では、暗い部屋で五感に入ってくる刺激を抑えると、眠っていなくても睡眠と同程度の効果があることもわかっているそうです。

ですから、もし眠れないということがあっても、ふとんの中で横になっているだけでいいんだよと安心させることで「眠らなければいけない」という強迫観念から逃れて、眠れるようになるのではないでしょうか。

朝スッキリ目覚めるには睡眠時間を90分の整数倍にすると良いそうです。深い眠りと浅い眠りのサイクルが1回約90分だからです。これも経験から確かだと思います。スマートフォンのアプリで、起床時間に近い浅い眠りの時に起こすものを試してみたところ、スッキリと目覚められました。しかもその時間はだいたい90分の整数倍だったのです。

6年生は、夜型の生活は年末までにして、年明けには入試に備え、朝方の生活に切り替えましょう。試験開始時間に最高のコンディションになるような(起床後2時間くらい)起床時間に生活のリズムを合わせるのです。時差ボケと同じように短時日では適応が難しく、2週間くらいは必要でしょう。元日は無理としても1月2日の朝からは早起きをしましょうね。

家族みんなで受験生の応援をして、質の高い睡眠を取り、学習効率を上げる手助けをしたいものです。

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