ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

通信講座で中学受験勉強

長引く不況のせいか教育費も聖域でなくなり、各ご家庭であれこれとやりくりにご苦労なさっているようです。最近は、できるだけ通塾のタイミングを遅らせて家庭学習で行けるところまで行く方針をとる保護者も増えてきました。経済的な理由だけでなく、長時間の勉強を子どもにさせるのは良くないという理由もあるようです。

今までも進学塾の通信講座はありましたが、大学受験の雄であるZ会が中学受験講座を開設し、にわかに注目が集まっています。

そこで主な通信講座の特徴を比較して、受験勉強として使えるものなのか、志望校との関係はどうなのかを検討してみたいと思います。

ただ、講座をすべて受講して比べたわけでないので、あくまでも公開された情報を元にしています。この記事を読んでお申し込みをお考えの方は、資料などを取り寄せて十分に検討されるようにお願い致します。

■通信教育はそれ自体継続する難しさがある

通信講座の比較に入る前に、通信教育のメリットデメリットを考えましょう。

(1)通学しないで自宅で学習できる

時間の無駄がない、交通費がかからない←→時間のけじめがつかない、遊びの強い誘惑がある、やらないで溜めてしまう

(2)地域に縛られないで受けられる

通学だと塾が限られてしまう、塾の少ない地域でも受けられる←→通信を行ってない塾のカリキュラムは受けられない

(3)費用が学習塾より格段に安い

先生の人件費がかからないから安い←→細かい指導が受けられない

通信教育の代表である進研ゼミのチャレンジを取っていて、やめてしまった経験のある保護者も多いのではないでしょうか。子どもは付録が目当てで、教材はあまりやらないという声はよく耳にします。

通信講座は「いつでもできる」と「その気にならないとやらない」の両方の面があります。家庭内個別指導のつもりで、学習時間を決めて保護者が側で見ているなど、ペースメーカーが必要です。小学生が自分で決まった時間に学習するという例は、とても少ないもの。

家庭で学習するということでありがちなことがもう一つ。親が子どもに勉強を教える際に、どうしても感情的になってしまいます。他人の子ならば平気なのに、わが子となるとお互いにケンカ腰に。女子では4年生、男子では5年生くらいから始まる思春期・反抗期が受験勉強と重なるとなおさら。

難易度の高くない教材ならば口は出さずに、答え合わせも本人にやらせるのがポイント。見守りで良いのです。子ども部屋の自分の机ではなく、リビングのテーブルが学習する場所としては良いのではないでしょうか。

その代りに子どもが勉強している間はテレビもスマホも遠ざけてください。もし家庭教師が指導中にスマホをいじっていたら文句を言いたくなりますね。それと同じです。親が側で漢検や英検の勉強をするのも良いかも知れません。自分だけが勉強しているのではないと感じれば、子どもだって集中してくれるはず。

こうして自学自習のペースができるまでは、勉強に付き合うようにします。また、難易度の高い教材は、場合によって解説してやる必要があります。幸い通信教材は解説が詳しいので、先生でなくても教えることはできると思います。

もう一点通信講座の弱点があります。通信教育は大多数が書き込み型の教材。ノートの上手な使い方が練習できないのです。これでは中学に入学した時に困ると思います。書き込み型では間違えた問題をやり直そうと思っても、前に記入した答えが邪魔をします。

どこかでノートに切り替えて、復習ができるようにした方が良いのではないでしょうか。小学校受験のように同じ教材をコピーして使うなら構わないと思いますが。

■通信講座と受験体制

最近人気の公立中高一貫校を受験したい。でも1校しか受けられないので、そのために塾に行くのは時間と費用で二の足を踏む。そんな時に通信講座が役に立つでしょう。あるいは小学3年生で塾通いは避けたいと思う、それならしばらく通信講座で学校の勉強と受験勉強の進度ギャップを埋めようという考え方です。

また、志望校によって選ぶ通信教育が違っても良いはずです。上に書いた公立中高一貫校志望なのか、公立中学はいやなので偏差値40台の私立中学を狙っているのか。中学受験の偏差値40は高校受験なら+10ですし、お買い得感もあります。指導要領レベルと発展的な内容をマスターすれば、合格の可能性は高いです。

しかし、私立中堅以上の学校志望ならば中学受験用教材を学習しておかないと、入試問題が解けません。この場合はそうした問題を提供してくれる講座を選べば良いでしょう。

■各種通信講座の特徴

●小学館 ドラゼミ(小1〜小6)

教科書プラスアルファをうたっている内容です。カリキュラムの進度は学習指導要領並です。先取り学習はありません。作文学習が取り入れられています。また国語が充実しているように思います。記述問題も多いので、主に基礎・基本問題を出題する中学なら対応可能です。また公立中高一貫校受験の基礎づくりにも適しているようです。

●Z会中学受験コース(小3〜小6)

Z会は受験しないコースもありますが、これは中学受験にも耐える内容。難易度が高い教材です。ただし自主学習では消化不良の恐れがあります。また受講料は他の講座と比較すると高めです。もちろん塾よりはずっと安いですが。

クラスで真ん中くらいの生徒では、中学進学塾のカリキュラムと学校の授業の進度はギャップが大きいので、これを埋めるには小3からのZ会受験コースくらいの内容でないと厳しいかなと思います。例えば公立では5年で習う「平均」がZ会では4年で登場していますし、進学塾でも同様です。勉強ができる子の場合は、通信教育でなくても市販の問題集でキャッチアップすることは可能ですが。

コースが3つあり、全部入のパッケージと、テキストのみ、添削のみです。市販の教材で学習を進めて、添削で定着度を確認するという使い方ができます。6年生になると学校別講座がいくつかの私立中学について提供されています。

Z会受験コース+個別指導または家庭教師という組み合わせによって、深夜までの通塾なしで中学受験というスタイルが可能となるのではないでしょうか。

●日能研 知の翼(小1〜小6)

体験型と銘打った教科別ではない独特のカリキュラム。内容を見るとPISA型問題に強くなると考えられます。受験用というよりも、中学に向けての基礎学力作りに主眼が置かれているようです。上手に使えば公立中高一貫校対策に向いているのではないでしょうか。知の翼+過去問で準備し、弱点補強に家庭教師を短期間依頼して公立中高一貫校受験というスタイルができるかも知れません。

●進研ゼミ 小学生講座チャレンジ

教科書レベル+アルファですが、中学受験教材としては物足りないです。あくまで公立中学に入って十分にやっていける力をつけるためのものだと思います。

●進研ゼミ 考える力プラス 中学受験講座(新小4)

2013年度開講する進研ゼミの中学受験講座。対象は新小4からのみです。Z会対抗と思われます。今後5年、6年と対象学年が加わっていくのでしょう。

テキスト+演習+添削+映像授業の構成。進研ゼミお得意の暗記対策グッズが準備されます。動画は魅力かもしれません。追加料金無しで見放題。4教科セット価格というのもお手頃。また見本の教材を見ると難関校でなければ十分対応できるかも知れないと思わせる内容です。この教材を学習しながら進学塾の模試を受け、その結果をみながら通塾に切り替えたり、個別指導や家庭教師をプラスしたりもありですね。今後Z会中学受験講座の有力対抗馬となっていく期待があります。

●リトルくらぶ(小1〜小3)

四谷大塚の低学年向け通信講座です。高学年はビデオ学習の進学くらぶに移行します。ビデオ学習の講座は今回のテキスト中心の通信講座とは毛色が異なるので、ここではご紹介しません。普通はリトルくらぶ→四谷系の進学塾へと橋渡しするためのものだと思います。

●ピグマキッズくらぶ(小1〜小4)

4年生までのSAPIX通信講座です。言わずと知れた関東の中学受験の雄SAPIXが作っています。入試問題に取り掛かる前の基礎を、少し先取りも含めて体系的に学習できるように作られています。4年までしかないことからわかるように、その先は通塾を前提にしているのだと思います。

いかがですか?思ったよりも様々な特徴を持つ講座がたくさんありました。「これだ!」とピンと来るものがあれば、検討してみてはいかがでしょうか。

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