手抜き学習を改めさせる方法
■手抜きしたがる受験生
受験生にとっては大事な夏がやって来ました。普段できない苦手(科目・分野)の解消に、なんとか時間を割きたいものです。
ところで塾に通っているし、机にも向かっているけれども、なかなか成績が上向かない生徒さんがいます。その中で一番多く見られるのが「面倒くさがり」ではないでしょうか。「とにかく楽をしたい」「最小の努力で結果を出したい」そういう生徒です。
今の世の中が、とにかくなんでも上手いことやって成功を手にすると勝ち組ともてはやされる時代なので、子どもだって最小限の努力で最大限の効果を求めるのは無理もありません。ただ最小限の努力と、最大限の効果を正しく理解してはいないのですけれど。
彼らにとって最小限の努力とは「手を抜くこと」です。国語の長文読解であれば、問題文を読まずに解答を見つけること。算数の複雑な文章題であれば、答えを聞いている前後だけ読んで、解こうとすること。理社でも設問の前提の文を、できるだけ読まずに済ませようとします。
一見楽をしているように見えて、実は正解から遠いところを探るという無駄なことをしているのですけれど。誰かに「それではダメ」と指摘された時は、一時的には直しますが、いつの間にか元の木阿弥になってしまいます。一度こうした習慣がついてしまうと、修正するのはなかなか大変です。
どうして直らないかと言うと、それは中学受験のゴールがしっかりと解っていないから、プロセスを省略しても良いと考えているのです。自分から進んで受験したのではない場合に陥りがち。言われたから、親に敷かれたレールになんとなく乗っかっている。
受験勉強が志望校に合格するためと言うよりは、日々こなさなくてはいけないノルマとしか見えていないのです。主体性がないから、何のために今の勉強をしているのか解っていない。ノルマならできるだけ楽してこなしたいと考えるのは、小学生でなくても無理はありません。
とは言うものの、そのままでは成績が伸び悩んだままになってしまいます。どうしたらやる気を出してくれるでしょうか。ノルマではなく、自分からやらなくてはいけないものと思い直してもらうには…。
それにはアプローチの仕方が二通りあると思います。
■手抜き学習を改める方法1
一つは学習面からのアプローチ。手抜き学習を改めさせます。全部の教科を一度に全て直すのは大変。とりあえず1教科だけにしぼり重点的に行います。
例えば国語を選んだら、家庭学習する際には問題の長文のみコピーして、与えて読ませます。大切と思う部分に印をつけながら精読。その後設問に取りかかります。手元に設問がないので長文を読むしかありません。問題文を読んでいればできるはずの設問を取りこぼしていた面倒くさがりの生徒なら、正答率が上がり必ず効果が出るはずです。
一つの教科で正答が増えて「できる」と自覚すれば、面白くなって学習方法を改めるモチベーションとなるでしょう。他の教科でも設問を隠して、問題の前提を読ませてから、とりかかるようにさせるのです。
■手抜き学習を改める方法2
もう一つの方法は、行きたい学校を早く見つけて決めることです。その学校に入学するために勉強するのだから、手抜きをしていては、目標に近づけないことを話して聞かせます。遠回りのようですが、これが本気を出すためには効果的です。志望校への憧れが強ければ強いほど、学習方法を改めようとするはずです。
私の子が中学受験した際に、ある塾の先生が「6年生の夏休みを受験勉強一色でつぶすことになって、初めて『これだけやるのだから、合格しなくちゃ損だ』とあきらめて、エンジンがかかるものです」という話をしていたことを思い出します。
つまり、ぎりぎりまで往生際が悪く、受験生としての気持ちが固まらない生徒が多いということ。それでも、夏休みをきっかけに変わる生徒は多いということです。この、ある種のあきらめにも似たスイッチが切り替わった時に、合格するために手間を惜しんではいけないということが解れば、手抜きから脱却できるはずです。
この夏休みが、本気モードへ切り替わるチャンス。周囲はそれを手助けしてやりたいものです。