ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

子どもの将来を考えた育て方

■勉強ができるということ

今まで中学受験という視点で子どものことを考えてきました。パパとママの勉強部屋の読者のみなさんは、そうした情報を求めてやってこられた方だと思います。けれども、時にはもう少し広い視野でお子さんの将来を考えて、その上で再び進学という進路問題に立ち返ってくることも必要なのではないかと考えます。

というのは、あまりに目先の志望校のことばかりに注意を奪われて、無理なスケジュールをお子さんに強いたり、受験勉強に疲れて心身の不調を訴えるお子さんがでてきたりするからです。

毎年約3000人が入学する東京大学。さぞや勉強のできる天才・秀才の集まりかと思われるかも知れません。しかし内部にいる子どもの話では、確かにそうしたカミソリのように切れる頭脳の持ち主もいるけれども、努力して入った普通の学生もたくさんいるそうです。

ものすごく頭の良い人は、例えば中学受験・高校受験の模擬試験で、全国のトップ10に入るような生徒です。(トップ100でも十分すごいでしょうけれど)

そうした生徒は、スポーツの全国大会で争うような才能の持ち主と同様に、勉強において特別に秀でた才能の持ち主です。普通の人がフィギュアスケートのトリプルジャンプを飛べないように、センター試験で満点をとるような力を発揮するのです。ただ、スポーツは誰でもがやるものではありません。勉強だけがみんなが取り組まなくてはならないものなので、特別視されがちなのです。

■勉強以外の才能の見つけ方

仕事で幼稚園から小学生までの子ども達と触れ合う機会がたくさんあります。すると実に様々な個性を持ち、得意不得意があることに気が付きます。ある意味で「普通」とはなんだろうと思うくらいに、みな違っています。

子ども一人ひとりがボールのような丸い球だとすると、あちらこちらが出っ張ったり引っ込んだりしていて、その体積を平均したものが「普通」というイメージです。

けっして教科書通りの美しい字ではないけれども、豪快で味のある字を書く子。手本通りに直すのがもったいない。生き生きとした絵を次から次へと夢中になって描く子。勉強ができないわけではないけれど、絵の才能があるのでは?と感じます。

そうかと思うと、空き箱や折り紙を使って様々な造形をする子がいます。作りながら創意工夫を加えて改良していきます。色のセンスや絵も上手。写真を撮らせると構図が優れている。でも単に絵がうまいと言うよりも、総合的なデザイン力を感じるので、グラフィックデザイナー、建築家、写真家といった方面に向いていると思います。

また、算数が大の苦手。特に図形が大嫌い。そのかわり耳から聞いたことは、さながらテープレコーダーのようにスラスラ口をついて出る。病院でのやりとりや主治医の言葉、お父さんが好きなドリフターズの番組の中の台詞、車で聞いている落語を再現。もしかしたら、この子は口移しでおぼえるような伝統芸能に向いているのではないだろうかと、思いました。

このように、実は一人ひとりのお子さんには、何がしか興味をもってのめり込むものや、得意なものがあるはずです。そうしたサインを見逃さずに、子どもの才能の芽を見つけると良いのです。

■才能教育と勉強のバランス

もちろん才能の芽が見えたとしても、その道で食べていくにはそんじょそこらの努力では難しいことは承知しています。代々それを継ぐ歌舞伎役者の家に生まれた子どもと違って、幼少期からそれに人生を賭けるわけには、簡単にいかないでしょう。

卓球少女の福原愛やゴルフの石川遼といった成功例の陰には、同じように力を入れたがうまく行かなかった多くの家族の姿が埋もれていると思います。トップレベルになるためには、努力+才能が必要だからです。

しかしながら、その道のプロとして食べていくのではなくても、打ち込めるものを持つということは、人生でプラスになることが多いもの。まずは、好きな事を見つけてキラキラ目を輝かせる時間を持つこと。それが充実した人生の第一歩ではないでしょうか。その上で、将来好きな道に関連した職業につくために勉強するという目的を持つ。

こうすることで勉強に対する姿勢が違ってきます。今の多くの小学生は宿題に追われています。とにかく早く終わらせてしまうことが目的となって、理解することや考えることは二の次。しかし、将来に対する夢があれば、今をいい加減にしてはいけないことが、子どもにもわかります。

■そして進学・進路へ

お子さんの夢をかなえるための一つの手段として、中学受験というものが浮かび上がってきたのなら、お子さんの納得感も高いでしょうし、自覚して勉強する姿勢が生まれるはずです。

わが子の例で恐縮ですが、小学生の頃から国旗や外国の地理に興味を持ち、普通の人が覚えていないような国と首都が言えるような子どもでした。外国で仕事をしたいというので、それには例えば商社マンや外交官、海外駐在員などがあるという話をしました。

するといつの頃からか「将来は外交官になりたい」と言うようになり、それなら大学で国際関係の専門に進んだ方がいいよという話で、今は大学で学んでいます。この後で本当に外交官になるかどうかは、わかりませんがモチベーションを保ち続けています。中学受験もその途中の道として、イヤイヤでなく通ってきたように思います。

また、ある知り合いのお父さんは、小学生のお子さんについて次のように言っておられました。「うちの子は必ずしも勉強が得意ではありません。けれども機械いじりが好きで、その上生き物にもたいへん興味を持っていて、本人は動物写真家になりたいと言っています。将来はそうした方面の専門家に進ませたいと思います」勉強はそこそこでも、芸術関係の学校を進路として検討しているというお話でした。そういう方面に進学しやすい私立学校があればと中学受験も考えておられます。

非正規雇用が増えて不安定な世の中になっていますが、必ずしも良い中学、良い高校、良い大学、良い会社が幸せかどうかわかりません。何が何でもそうした道をというのではなく、お子さんの適性というものを、日常生活の中から見つけ出して頂ければと思うのです。

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