小学校3,4年生の家庭学習はどうすればいいの?
中学受験勉強も追い込みの季節がやってきました。この時期の取り組みについては過去にも書いていますし、プロ家庭教師の先生が有用な記事を書かれているのでそちらに譲ります。今回は小学校3年生、4年生くらいの中学年と呼ぶこともある時期の家庭学習について考えてみたいと思います。
■小学校中学年での学習内容の変化
小学校の理科社会は通常3年生から始まります。1,2年生の内は国語と算数の2教科で良かったのが4教科になります。また国語では覚える漢字も増えるし、書けるようにする1学年下までの漢字も多くなっています。それに伴って文章を書く機会が増えます。
そして算数では「割り算」が加わり、さらに「単位」「10000を超える数」「表とグラフ」などの計算力だけでは通用しない分野が出てきます。4年生では「小数分数」「円と球」「図形と角度」など中学入試にもよく出題される範囲の学習になります。低学年では算数=計算だったのが、算数が数学の基礎としての導入となる重要な時期です。
中学受験のための塾通いを小3から始めるご家庭も多いようですが、学校での学習もおろそかにできないことがわかっていただけるでしょうか。
■小学校中学年での子どもの変化
1,2年生というのは幼児の頃からすると大きく進歩したように思えるのですが、実はまだファンタジーの世界の感覚で生きています。論理的に説明したりするのは苦手で、複雑な気持ちや事柄を言葉で伝えられません。
個人差はありますが3,4年生になってくると言動も大人びてきて、かなり論理的な話し方ができるようになってきます。勉強を学問として学ぶ入り口に立つ時期と言えるでしょう。俗に言う9歳の壁がこの時期で、大脳皮質の9割が完成してそこからは後天的に学習することで精神を発達させるようになると言われています。
■正しい自習方法を身につける時期
小学校1,2年生は親に言われたとおりに勉強しています。自分でやらなくてはならないという動機づけではありません。進んで学習する子も「親が喜ぶから」ということが隠れた動機であるのがほとんどです。中学年になれば「勉強はしなければならない」という理解はできています。どうせならこれに「面白いから勉強する」を加えたいものです。
そこでいきなり「あなたは○○中学へ行くのだから、塾に行って勉強しなさい」と言っても納得できないでしょう。中学受験をさせるなら大人の脳に近づいたこの時期に、じっくり話しあって本人に納得させたいもの。ある程度勉強する動機が自分の中に取り込めたら、正しい学習法を身につけるようにするべきです。正しい学習法とは学問の基本と同じです。
学問的研究の仕方では、未知の事柄に出会う→調べる→推論を立てる→検証する→結果を確認する→推論を修正する→検証する…とサイクルを回します。勉強も同じように、問題を読む→解法を考える→解答を書く→答え合わせをする→違っていたら解法を考え直す→解答を書く…とサイクルを回します。
ほとんどの場合が答え合わせの段階でストップしてしまっています。解けなかった問題が解けるようになることが学力がつくということです。
■基礎力を身につける時期
自分の子どもで4回の中学受験を経験し、また他のお子さんに勉強を教える機会もあり、そこから学んだことがあります。問題の量をこなすのはもっと後で良いということです。それよりも中学年の時期=中学受験勉強開始時期では、基礎力をしっかり身につけることが一番なのです。
厚さの厚い問題集で段階別に難しくなる教材があります。いきなりそのようなものに取り組むよりも、基本問題をまとめた薄い問題集をきっちりできるようにした方が、早く実力の底上げができるように思います。難しい問題集はトップレベルの難関校を目指す生徒には向いているのでしょう。けれども大多数の平均的生徒には難しすぎます。
それよりも、算数で言えば一行問題を集めたもの、国語で言えば語彙力をUPするもの、長くない読解問題集など子どもの負担にならないボリュームのものを、正しい学習法ですべて解けるようになれば、難易度の高い問題に立ち向かう準備ができます。
私たちはスポーツや芸術ならば、わが子にいきなり難易度の高い技に挑戦させようとしないのに、勉強だとそれをしてしまいがちです。学習も基礎を固めてから応用に進むのが遠回りのようで近道なのです。このように小学校3年生、4年生という時期は中学受験だけでなく、その後の学習の基礎を作る大切な年頃。あまり過大な負担を与えないで、じっくりと基礎力を身につけさせてやりたいものです。