合格に近づくため、わが子を冷静に見る
■第三者から見た子どもの評価は似ている
夏休みに入って中学入試を目指して勉強している生徒たちは、それぞれの学年に応じた課題に取り組んでいることでしょう。
私も小学生の保護者とお話をする機会が多々あります。この時期学校で個人面談を受けたという方も多く、学校の先生からどのような話があったかも耳にします。するとほとんどの生徒について、私が普段感じていたのと同じことを学校の先生も指摘されています。つまり第三者の見方はそれほど違わないということです。
保護者の方は自分の子どもしか見ていません。他の生徒がどんな風に勉強をしているのか、どのように先生と接しているのか知る機会がないでしょう。
そのため我が子を客観的に見ることができにくいものです。もし子どもを見る目が曇っていたら、塾や家庭教師の先生の指導を素直に受け取れないことがあるかも知れません。
■わが子の事情は他人にはわからない
多くの子どもを見ていると、それぞれ個性はあるものの、ある程度のパターンに分類できるようになります。塾や家庭教師の先生はそうした過去の経験と、現時点での生徒の様子から今の時点で何をすべきかアドバイスをしてくれます。
良い点があれば、それを活かして成績が向上するように、改めるべき点があれば欠点を補って学力の底上げにつながるようにです。
けれども、教材の進め方や教科の内容についてはアドバイスがあっても、家庭での過ごし方、勉強のさせ方について個々に細かく指示をしてもらえることはまれです。というのも先生は家庭学習の様子まで見ていないからです。生徒が一人でやっているのか、親がつきっきりでやっているのか、どの程度勉強に関わっているのかなど、実際の学習を知っているのは保護者だけなのです。
「今は多少応用問題を取りこぼしても、基礎をきっちりやりましょう。」とアドバイスを受けたら、宿題プリントでやるべき問題と、できなかったら飛ばしてもよい問題をわけてやります。「なかなかエンジンがかからず集中できる時間が短いようです」という指摘があれば、注意をそらすような環境下で勉強していないか、消化不良に陥ってオーバーフローしていないか、睡眠時間が不足していないかなど、要因となる背景をいろいろ検討してみます。
カリキュラムをきっちりこなそうとすると、学習時間が長くなり睡眠時間が不足していると解れば、その点についてあらためて具体的に相談すれば良いのです。
塾や家庭教師の先生は、目の前で勉強している生徒の様子と、課題への取り組み方、答案というアウトプットを見て判断しています。アウトプットがそうなった背景はそれぞれのご家庭にしかわかりません。アウトプットがそうなっている要因をその背景から探り出せるのは保護者です。その要因をどのように取り除いたり、改善したりするかは先生に相談することができます。
そのためには、お子さんに対する評価を客観的に冷静に受け止める必要があります。
中には面談中に、「そんなことを言われても、やれることはやってます!」「家の子も私も精一杯なんです!」「これ以上どうしたらいいんでしょうか?」と感情的になってしまわれる保護者があります。 くどいようですが、今のお子さんの様子はどんな背景から生まれたかを知らなければ、その先の対処法は見つけられないのです。その点を良く検討して再度相談するなり、ご家庭なりの改善をしていくしかありません。たいていはなんらかの思い当たる節があるはず。冷静にご家庭でのお子さんの学習を見つめ直してみましょう。
塾任せにしても合否の責任はとってくれません。中学受験に主体的に取り組むご家庭であってくださるよう、保護者の方にお願いします。