親が子どもの勉強をみる場合に注意すべきポイント
小学校3年生の男の子を持つお母様とお話しする機会がありました。中学受験をさせるつもりですが、塾に行くのは負担になるので家庭で受験教材の勉強をしているとのこと。けれども親が教えると子どもがうまく乗ってこないので、どうしたらいいでしょうかとたずねられました。
皆さんも塾や家庭教師の先生に勉強を見てもらっていても、家庭学習時に手伝わないと教材が終わらないということがあると思います。では家庭で親が子どもの勉強を教える場合に注意しなくてはいけないポイントはなんでしょうか?
■ 子どもは大人に教えるように言ってもわからない
大人びている子は大丈夫かも知れませんが、普通の子どもは一人前の口をきいても、頭の中はまだまだ幼いのです。特に論理的な思考は高学年で使えるようになり始めたばかりです。それなのに三段論法を持ってきたり、簡単な例で考えて実際の問題に当てはめるように言っても、実はピンと来ていないことが多いのです。
例を挙げましょう。植木算を学習しているとします。一列の場合は植木の数は間隔の数+1で、円周上に配置していたら植木の数=間隔の数です。ところが植木と間隔の数の関係を忘れてしまいました。そこで子どもに「3本の植木で考えたら簡単でしょう?」と植木を3本書かせて直線上配置ならば間の数は2つしかなくて、円周上配置なら同じと説明しても、3本ではそうでも100本なら本当にそうなのかどうか、子どもには納得できないものなのです。まして3本で円周上に配置と言われても丸く見えないですし。
一応説明してみて、どうやら解っていないようだと感じたら、その問題は時期が来るまで後回しにするか、問題の数で実際に書き出してみてもいいかも知れません。「とにかく決まりとして覚えなさい」と頭ごなしに言うよりも、子どもが実感できる方が大切だと思います。
■ あれこれ説明を駆使し過ぎない
私自身にも覚えがあるのですが、子どもに説明しても分からないと、手を変え品を変え違う説明を持ち出してなんとか分からせようとしてしまいませんか?色々な説明を一度に受けると子どもは混乱してしまい、よけいに分からなくなります。しかもこちらは説明しても理解できない様子にいらだちを感じたりもします。こうなると子どもは「叱られる!」と身構えてしまい、そちらの方が心配になって問題に集中できなくなるのです。
子どもに説明していて自分ばかり話していると感じたらちょっとストップしてください。「どこが分からないの?」と子どもに尋ねてみましょう。その際に口調も詰問調にならないように気をつけて。冷静に聞いてもらえると感じれば、問題の意味が分からないのか解き方が分からないのか、分からない点を上手く説明できないのか、ヒントになる情報を子どもの方から与えてくれます。そうすれば親子共に落ち着いて考えることができます。矢継ぎ早に質問して子どもを追いつめないようにしましょう。答えるまで待ってあげるとよいのです。
■ 感情的にならない
「こんな簡単なことがどうしてできないの」「私の言うことを聞いてないでしょ」「よそ見ばかりしてやる気が見えない」などちょっとしたことで腹が立ってきませんか?「そんな態度だったらもう教えないからね!」と気づいたら最後通告をしていたとか。親子で先生と生徒をする場合は勉強に限らずこうしたことが起こります。ピアノやバイオリンの先生が自分の子どもを友人の先生に指導してもらうのもこうした理由からです。
他の子どもなら許せることが何故か自分の子どもだと我慢できないものです。それならば、自分の子どもだと思わずに、よそ様のお子さんを教えているつもりになればいいのです。私がわが子の相手をするのに3人目にしてなんとかできるようになったのは、このやり方です。
子どもの勉強の相手をするときは自分の子であることを忘れるのです。ロールプレイングだと思えばなんとかなるもの。自分は家庭教師をしているとイメージします。最初にそう意識するだけで意外と冷静さを保てるから不思議です。一度冷静になれれば自分も子どもも問題に集中することができます。
教科の具体的内容は塾や家庭教師の先生にお任せした方が良いのですが、どうしても親が見なくてはならなくなった時には、今述べた3つのポイントを思い出してお子さんの指導にあたって頂ければと思います。