ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

スランプにどう対処するか

 中学入試の難しさは子どもが思春期の入り口に立つ時期に、受験がやってくることだと思います。気づくのが遅いと言われればそれまでですが、4人目の受験でやっとそのことに気づきました。個人差はありますが、小学校4年生くらいまでは割と素直に親の言うことを聞いています。しかし、5年生の途中ぐらいから言うことを聞かないことが多くなってきます。それと同時にスランプがやってくるのです。 そこで「うちの子は『勉強しなさい』と口を酸っぱくして言っても、ぜんぜんやってくれない。」と親は嘆き、「ぼく(わたし)の顔を見ると、『勉強しろ』ってうるさい。」とお互いに不満を抱きます。このすれ違いはどこから起きるのでしょうか。まず第一には親の勘違いにあると思います。子どもの心の変化に気づかずにそれまでと同じ接し方をしているからです。10歳を過ぎてティーンエイジャーの仲間入りをすると、それまでより自己の意識が強くなってきます。そこで

  • ・中学受験したいなんて自分から言い出したわけじゃない。
  • ・こんなに勉強ばっかりで、したいことを我慢しなくちゃいけないなんて知らなかった。
  • ・学校が休みの日でも塾があると休みにならないじゃん。

 などと親のレールに乗せられて中学受験生活に入った不満が出てきます。

 第二に、この時期は塾の勉強も学校の勉強とは異質の難しい領域に入って来るのです。算数では割合や速さといった重要単元を学習しますし、理社でも入試に出やすい分野を学習します。テキストを見ていただければわかりますが、今の多くの大学生が聞かれても答えられないような内容を学習しているのです。したがって、いろいろなことを我慢して塾に通っているのに、成績が伸び悩んでくるとますます不満が高まっていきます。場合によっては爆発して塾をやめるのやめないのという騒ぎに発展します。外に出す分にはまだいいかも知れません。内側にため込むと心身の具合が悪くなったりする可能性があるからです。

 では、こういった時期を乗り切る方法はあるのでしょうか

【子どもをよく観察する】

 まずはお子さんをよく観察してください。毎日接しているお母さん方は「子どもの様子はちゃんと把握しています。」とおっしゃるでしょう。でも毎日見ていることが、かえってその目をくもらせているかも知れないのです。子どもの成長は少しずつ連続的に続いているものと思いがちですが、生物は機械と違って柔軟性があり、内部を組み替えてポンとステップを踏み越えるように進みます。停滞している時期があるかと思えば、突然ブレークスルーして見違える能力を発揮するのが子どもです。伸び悩んでいる時期は飛躍への準備なのです。どこでつまずいているのか、何に悩んでいるのかをよく観察しましょう。「もっと頑張らないからよ。」などと声をかけても逆効果です。不機嫌な顔をしているときは、どこかでつまずいているのです。本人も思い通りにならず、ストレスがたまっています。

 そんな時は、「遅くまで塾に行ってたいへんね。最近頑張っているけど、なかなか結果が出ないみたいね。今やっているところは苦手なところなのかな?」と声をかければ、「算数の速さの普通の問題はわかるんだけど、通過算ていうトンネルに入ったり、ホームですれ違ったりする問題が苦手なんだ。」などと話してくれるのではないでしょうか。そうやって説明している内にその理由が見えてきます。(この場合は苦手分野ということ)理由がわかれば苦手対策を立てるとか、入試は6割目標だから他で頑張ろうとか、安心材料がみつけられるでしょう。お子さんの悩みを親子で共有することで、彼らのストレスを軽くしてやり、親子のきずなが深まります。

【子供の成長を喜ぶ】

 中学受験の勉強をしていると、おとな顔負けの知識が身につきます。家庭の中でも「○○ってどんなこと?」と子供に聞かれて答えられないこともあります。すると子どもの心の中には、「これまで親はすごいと思っていたけれど自分の方が知っていることもある」という気持ちが芽生え、生意気な言葉を親に向かって口にすることもあるでしょう。

 そこでカチンときて叱るのではなく、「ああ、こんなことを言うようになってこの子も成長したな」と余裕を持って受けとめてやりたいものです。そうすれば腹も立ちません。また、一緒になって百科事典や広辞苑、地図帳、年表で調べるのも親子のコミュニケーションを深めるのに役立ちます。わからないことがあっても調べるという姿勢を子どもに見せてやれば、別の意味で尊敬を受けるのではないでしょうか。例えば理社などでは、おとながすっかり忘れてしまっている知識がたくさん出てきます。天体や岩石、生物の仕組み、水溶液の定性分析、各地方の特色、歴史上の出来事と文化等々、はっきり言ってついていけないことばかりです。そこで、「私たちはおとなになって忘れてしまってもいいようなことを勉強しているのか」と思わせてはなりません。細かい知識は忘れてしまっても、理科的な考え方や社会的な考え方はおとなになってからも役に立つんだということを、話してやれるといいでしょう。そしてわからないことは、子どもの説明を聞いて「そうだった。それって面白いね。」という反応をしてやるといいのではないでしょうか。

【受験生だけに苦労させない】

 お子さんが一生懸命勉強しているのだから、他の家族も協力するべきです。子どもが机に向かっているのに親がテレビを見ているのでは、「何でぼく(わたし)だけ?」という不満のもとです。子どもが子ども部屋で勉強していてもです。兄弟がいる場合にもっとも注意が必要です。兄(姉)や弟(妹)が見たい番組を好きに見るのではなく、DVDやVHSに録画しておいて受験生が塾へ行っている間に見るようにするなどの協力をしてもらいたいもの。特にアニメやバラエティなど受験生が好きな番組においてはそうです。勉強も子ども部屋にこもるよりリビングやダイニングで誰かのそばでやった方がはかどるという受験生も多いようです。わからないところを聞くことができるということよりも、皆が協力しているという雰囲気が良いのかも知れません。特に受験が近づいたこの時期は家族みんなで入試に臨む体制をつくって、入試会場で家族がそばにいてくれるような心強さをもって、受験できるようにしてやろうではありませんか。

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