ーAll About受験ガイド高橋公英さんー
わが子を合格に導くヒントとテクニック

公立中高一貫校に向いている子ども

公立中高一貫校が広く認知されるようになってきました。日本の経済状況が低迷しているため、学費が安いながらも良い教育を受けられ、進学実績も良いという結果が出ているので、かなり多くの志願者を集めています。

例えば2015年の東京都内の公立中高一貫校の応募倍率を見てみると、最も低い都立武蔵の4.73倍〜都立桜修館の9.18倍と相当の狭き門だということがわかります。

実は私の教え子の中から今年始めて公立中高一貫校を受験する生徒が出てきて、実際に合格しました。その生徒はいかにも公立向きの生徒と思われたので、今回は公立中高一貫校に向いている生徒について考えてみます。

■小学校での成績と活動が大事

公立中高一貫校では私立中学と異なり、小学校から出される調査書が入学者決定に使われます。したがってまず、小学校での学業にしっかり取り組んでいる子であることが望まれます。

学校の授業をそっちのけにして塾通いしていて、塾での成績が仮に良かったとしても、調査書に授業で手抜きしていることが表れてしまっては元も子もありません。

私立中学を受験する子どもの中には、学校の勉強が易しすぎるとバカにして真面目に授業に取り組まない子がいます。私立中入試では調査書が不要で通知表のコピーで済ますことも多く、欠席日数を知ることが主眼と言われているので、それでも済むのです。

また、調査書には学業成績以外に特別活動についても記載があるので、委員会活動などでもがんばっているとさらに良いでしょう。多くの公立中高一貫校が21世紀のリーダーたる人材を育てるということを謳っているので、そうした人材であることがわかると有利になります。

■適性検査と私立中入試問題との違い

公立中高一貫校の選抜は入学試験を課さないという建前から、試験とは呼ばず適性検査としています。この適性検査といわゆる中学入試問題とは大きな違いがあります。

適性検査の問題は、小学校の学習範囲に概ね収まっていて、私立中入試問題のように難問は出題されません。中学受験生であれば4年生で学習するような内容で十分なのです。例をあげると算数の植木算や規則性の問題レベル。

算数・理科の領域では、計算自体は難しくないのです。その計算式を導くまでに問題の読み取りや、考え方の記述の仕方が問われるのです。どのようなプロセスを経て、その計算にたどり着いたのかが大事です。

また、国語であれば読解をして本文中から抜き書きするよりも、問題意識を持って自分の経験を踏まえて、自分の意見を的確に表現できる力が必要です。この記述力では、私立中入試とは全く次元の異なる力が必要だと思います。

私立中入試問題では、出題者の意図を読んで、どう答えて欲しいかまで推測して答えを記述するという、ある意味いやらしい生意気な子どもがよくできます。

それに対し、適性検査では子どもらしい素直な問題意識や考え方を堂々と述べる直球勝負が好まれるのだと感じます。

■公立中高一貫校向きの子どもはどんな子?

さて、問題の傾向がわかれば、どのような子が公立中高一貫校向きかが浮かび上がってきます。

前の項で述べたように、少し生意気でひねた子が私立中入試向きです。一方の公立では素直で伸び伸びとした子が向いています。実際今年合格した子もそんなタイプでした。

私立中受験では、やはり学校の勉強だけでは入試問題に対応できないので、どうしても進学塾に頼ることになりがちです。しかし公立中高一貫校では、学校の授業の範囲を超えないので、まずは授業をしっかり聞くことが大事です。授業に集中する真面目な態度。

また、自分の考えを記述する力が求められるので、先生の問いかけに対して授業中にしっかり発言できる積極性も欲しいです。「ぼくはこんなことも知っているよ」と知識をひけらかすのではなく「ぼくはこう思います。なぜならば〜」と意見と理由をしっかり述べる力です。

ほとんどの学校の適性検査では作文が課せられますが、これはよくある生活作文とは異なるもの。作文する際にテーマと書き方に条件がついていて、その制限に基づいてちゃんと構造化された文を書く必要があります。

これができるには、子どもながらも幅広い領域への関心を持ち、それなりの知識があることが望ましいのです。そのためには物語だけではなく、説明文やノンフィクションを読んだり、テレビで科学やドキュメンタリー番組を見たり、博物館へ足を運んだりといった、子どもの教養を磨いて欲しいです。

「なるほどね」と大人をうならせる視点で作文が書ける子がいますが、こういう子が公立中高一貫校には適していると思います。

■おわりに

「入試問題は学校から生徒へのラブレター」で「答案は生徒から学校へのラブレター」であるわけです。適性検査の過去問を研究していると、学校は幹の太い良い素材を探しているという気がします。

一方の私立中学では、学校説明会では幹の太い木を求むと言っていますが、実際は見事な盆栽を選んでいるように思えるのです。

公立中高一貫校では、塾で鍛えられた子どもより、子どもらしさを残した将来伸びしろのある子どもが向いています。あまり早くから適性検査専門塾に通わせるよりも、子どもらしい活発な活動をしながら、直前に適性検査に慣れる練習をすることで、適性検査に臨むのが良いのではないでしょうか。

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