低学年・中学年で身につけておきたいこと
今年も多くの小学生の面倒を見ています。年々感じるのは、言葉の理解力が低下しているということ。それは国語だけでなく理科や社会、算数でも同じです。言葉の理解力のレベルにもいろいろな段階があります。その各段階について考えてみましょう。
■言葉の理解力1…国語文章読解力
真っ先に国語の文章読解力が頭に浮かびます。 ちょうど2014年4月の一通入魂の記事『GW中に読解力をグンと伸ばすきっかけをつかみませんか』に読解力を伸ばす方法が掲載されていますね。
文章読解で引用される文の多くは「大人の言葉」で書かれているから、語彙を増やして多くの文章に触れることを推奨しています。入試問題に引用された文章を読むのは、大人にとっても興味深い話題が満載です。これを小学生が読むというのは、なかなか難しいだろうと思いながら読む題材も数多く見られます。理解する以前に、言葉遣いや文章の構成に慣れることが必要です。
■言葉の理解力2…算数入試問題
中学受験の国語の文章が難しいということは、どなたも認識されていることでしょう。しかし、算数の入試問題も作っているのは中学校の先生なので、読んでみると難しい問題が多々あります。
算数問題の読解には国語とは一味違った能力が求められます。それは論理的に構造を読み解き、問題を解く手順＝アルゴリズムを導き出す力です。何段階かに積み上げられたり、入れ子になっている数の関係を解きほぐしたりして、どこから手を付けたら良いかを見極めます。
実は公立の中学生では、平均的なレベルの生徒でも案外これができていません。小学生時代に文章問題の練習が多くないからだと思います。つまりこれは公立小学校の学習では身につかない力と言えます。
論理的な文章を理解するには、多読という方法では上手くいかないと思います。論理的な考え方を身につけなければ、論理的になれないからです。
そのためには、いきなり多段階の問題を解くのではなく、学校の学習で出てくる1段階の問題にプラスして、2段階の問題を解く練習をします。それができるようになったら3段階の問題にと難易度を上げて練習を積みます。例を示しましょう。
第1段階
花子さんは昨日、本を23ページ読みました。今日は17ページ読みました。花子さんが今日までに読んだページ数は何ページですか？
23+17＝40
第2段階
花子さんは昨日本を23ページ読みました。今日は昨日より6ページ多く読みました。花子さんが今日までに読んだページ数は何ページですか？
23+（23+6）＝52
第3段階
花子さんは昨日本を23ページ読みました。今日は昨日より6ページ多く読みました。明日も今日と同じだけ読むページ数を増やすと、花子さんが明日までに読むページ数は何ページになるでしょう？
23+（23+6）+（23+6+6）＝87
■言葉の理解力3…日常会話
子どもが小学校へ通うようになると、1日に最も会話する相手は同じ小学生。小学生どうしの会話を聞いてみるとわかりますが、ブロークンイングリッシュならぬブロークンジャパニーズです。日常会話なので当然ですね。
私が彼らに加わって話をするときには、言葉の使い方が間違っていたり、もっと適切な言葉があったりしたら、「それは◯◯って言ったほうがいいよね」とアドバイスしています。案外素直に聞いてくれます。
先日は幼稚園児がそうしたやりとりを聞いていて「晴天」「曇天」を覚えて「きょうは晴天だね」と使いこなしてしまいました。子どもの吸収力には驚かされます。まずは日常会話で、複文をつかった接続詞を理解し、慣用句に数多く触れることが必要だと感じます。
俳句カルタや百人一首は、もちろん良い教材なのですが、昔ながらの「犬も歩けば棒に当たる」のいろはカルタでも遊んで欲しいもの。低学年ではオノマトペ。いわゆる擬声語や擬態語（「ぎらぎら」「しとしと」）の数も増やしておくと良いでしょう。
少し発展的なプリントを新1年生にやらせると、設問の言い回しが理解できないシーンを多く見かけます。これは話し言葉ではない書き言葉に触れる経験が少ない子で見られるのです。改まった言葉、きちんとしたセンテンスで話しかけることが、言葉の理解力を向上させる第一歩です。
